Model Context Protocolとは
Model Context Protocol(MCP)は、AIアプリケーションが大規模言語モデル(LLM)にコンテキストを提供する方法を標準化するオープンプロトコルです。AIアプリケーションのためのUSB-Cポートのように、MCPはAIアシスタントがファイルシステム、データベース、APIなど、さまざまなツールやデータソースにアクセスできるようにする標準インターフェースを提供します。
Anthropic社が開発し、オープンソースとして公開されたMCPは、AIアシスタントの能力を大幅に拡張し、より実用的なタスクの実行を可能にします。今回は、無料で利用できる優れたMCPサーバーを15個ご紹介します。
試すべき15の無料MCPサーバー
1. Filesystem
ファイルシステムMCPサーバーは、設定可能なアクセス制御を備えた安全なファイル操作を提供します。ローカルファイルの読み取り、書き込み、検索などの機能を備え、AIアシスタントがファイルシステムとやり取りするための安全な方法を提供します。
npx -y @modelcontextprotocol/server-filesystem /path/to/allowed/files
2. Git
Gitサーバーは、Gitリポジトリの読み取り、検索、操作のためのツールを提供します。コードベースの探索、コミット履歴の確認、ブランチの管理などが可能で、開発者にとって非常に便利です。
uvx mcp-server-git --repository path/to/git/repo
3. GitHub
GitHubサーバーは、リポジトリ管理、ファイル操作、GitHub API統合などの機能を提供します。GitHub上のプロジェクトの管理、イシューの追跡、プルリクエストの確認などが可能です。
npx -y @modelcontextprotocol/server-github
4. Memory
記憶サーバーは、ナレッジグラフベースの永続的なメモリシステムを提供します。会話履歴を保存し、長期間にわたって情報を記憶することができ、AIアシスタントの記憶能力を向上させます。
npx -y @modelcontextprotocol/server-memory
5. Fetch
Fetchサーバーは、効率的なLLM利用のためのウェブコンテンツの取得と変換を可能にします。ウェブページのコンテンツを取得し、AIアシスタントが処理しやすい形式に変換します。
npx -y @modelcontextprotocol/server-fetch
6. PostgreSQL
PostgreSQLサーバーは、スキーマ検査機能を備えた読み取り専用のデータベースアクセスを提供します。データベースのクエリ、テーブル構造の確認など、データベース操作をAIアシスタントが行えるようにします。
npx -y @modelcontextprotocol/server-postgres postgresql://localhost/mydb
7. Sqlite
SQLiteサーバーは、データベース操作とビジネスインテリジェンス機能を提供します。軽量データベースへのアクセスを可能にし、データの分析や処理を支援します。
npx -y @modelcontextprotocol/server-sqlite
8. Terminal-Control
Terminal-Controlは、標準化されたインターフェースを通じて、安全なターミナルコマンドの実行、ディレクトリナビゲーション、ファイルシステム操作を可能にするMCPサーバーです。
npx -y terminal-control-mcp
9. Brave Search
Brave Searchサーバーは、BraveのSearch APIを使用したウェブおよびローカル検索を提供します。プライバシーを重視した検索エンジンを通じて情報を取得できます。
npx -y @modelcontextprotocol/server-brave-search
10. Everything
Everythingサーバーは、プロンプト、リソース、ツールを備えたリファレンス/テストサーバーです。様々な機能を検証するのに役立ち、MCPの可能性を探るのに最適です。
npx -y @modelcontextprotocol/server-everything
11. Sequential Thinking
動的で反射的な思考シーケンスによる問題解決を提供するサーバーで、AIアシスタントの推論能力を向上させるのに役立ちます。複雑な問題を段階的に解決するプロセスをサポートします。
npx -y @modelcontextprotocol/server-sequential-thinking
12. Time
時間とタイムゾーン変換機能を提供するサーバーで、異なるタイムゾーンでの時間計算や変換を可能にします。国際的なコミュニケーションに役立つツールです。
npx -y @modelcontextprotocol/server-time
13. Calculator
計算機能を提供するサーバーで、AIアシスタントが正確な数値計算を行うことを可能にします。シンプルながら非常に便利なツールです。
npm install -g calculator-mcp
calculator-mcp
14. FastMCP
FastMCPは、Golangで構築されたMCPサーバーライブラリで、速度と効率性を重視しています。自分自身のカスタムMCPサーバーを構築するための優れた基盤となります。
go get github.com/strowk/fastmcp
15. Basic Memory
Basic Memoryは、Markdownファイルからセマンティックグラフを構築するローカルファースト知識管理システムで、LLMとの会話全体で永続的なメモリを可能にします。
npx -y basic-memory-mcp
MCPサーバーの活用方法
MCPサーバーは、Claude DesktopなどのAIアシスタントクライアントと組み合わせて使用することで、その真価を発揮します。以下は一般的な設定例です。
{
"mcpServers": {
"filesystem": {
"command": "npx",
"args": ["-y", "@modelcontextprotocol/server-filesystem", "/path/to/allowed/files"]
},
"memory": {
"command": "npx",
"args": ["-y", "@modelcontextprotocol/server-memory"]
},
"git": {
"command": "uvx",
"args": ["mcp-server-git", "--repository", "path/to/git/repo"]
}
}
}
この設定により、AIアシスタントは複数のMCPサーバーにアクセスし、ファイルシステム、メモリ、Gitリポジトリなど、さまざまなリソースとやり取りすることができます。
MCPエコシステムの発展
MCPエコシステムは急速に成長しており、コミュニティによって多数のサーバーが開発されています。現在では、公式のリファレンス実装だけでなく、第三者によって開発された多くのサーバーが存在します。これらのサーバーは、データベース接続、APIインテグレーション、ウェブスクレイピングなど、さまざまな機能を提供します。
MCPサーバーを管理するためのツールも充実しており、mcp-get
やMCPHub
などのアプリケーションを使用して、サーバーのインストールと管理を簡単に行うことができます。
まとめ
Model Context Protocol(MCP)は、AIアシスタントの能力を拡張するための強力なフレームワークを提供します。この記事で紹介した15の無料MCPサーバーは、AIアシスタントがファイルシステム、データベース、ウェブコンテンツなど、さまざまなリソースにアクセスし、操作するための道を開きます。
MCPエコシステムは急速に発展しており、今後もさらに多くのサーバーやツールが登場することでしょう。オープンソースのMCPを活用することで、AIアシスタントの可能性を最大限に引き出し、より実用的で効率的なAIの利用が可能になります。
ぜひこれらの無料MCPサーバーを試して、AIアシスタントの能力を拡張してみてください。新しい可能性が広がることでしょう。