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Source Generatorでプロパティを自動実装してみた

Last updated at Posted at 2023-12-16

この記事はUnity Advent Calendar 2023 17日目の記事です。
前日は@tkooler_lufarさんのUnity でスクリーンセーバーを作る方法を模索してみたでした。
明日は【AudioMixer】exposed parametersの操作クラスを自動生成する が公開されます!

※2024.01.17 Incremental Source Generatorを利用したバージョンを公開しました。
 別の公開URLを導入方法の項目内に追記しています。

なんの記事?

メンバ変数からプロパティを自動実装するSource Generatorを作りました!
具体的には、以下のコードが、

        [SerializeField]
        private float _brabra;
        public float Brabra
        {
            get => _brabra;
            private set => _brabra = value;   
        }

次のように書けるようになります!

        [AutoProp(AXS.PublicGetPrivateSet),SerializeField]
        private float _brabra;

動作環境

Unity 2022.3.4f1
Rider 2023.2 での動作を確認しています。

Unityは Unity 2021.3 以上、
IDEは以下条件で動作するはずです。

JetBrains Rider Editor v3.0.9以降
Code Editor Package for Visual Studio v2.0.11以降
Code Editor Package for Visual Studio Code v1.2.4以降

バージョンによっては追加工程が必要な場合があります。(後述)

導入

導入は簡単です。

  • 以下のGithubにアクセスします

▼Unity2022.1以下をご利用の場合

▼Unity2022.2以上をご利用の場合

  • 右側のリリースページにアクセスします。
    名称未設定-2.jpg

  • AutoGenerateProperty.dll をDLします

    名称未設定-2.jpg

  • Assts以下の好きな場所に配置し、InspecterからGeneralとSelect platforms for pluginのチェックをすべて外します。
    名称未設定-2.jpg

  • 同じくインスペクターから、 RoslynAnalyzer という名前でラベルを付与します。
    名称未設定-2.jpg

以上で導入完了です!

ただし使っているIDEによっては、IDE側に設定が反映しない場合もあるそうです。
Cysharp様が公開されているCsprojModifierを設定することでIDEに反映できるとのことですので、併せて紹介しておきます。

機能紹介

[AutoProp]アトリビュート

以下のように変数にAutoProp属性をつけると、コンパイル時に自動でプロパティを生成します。
変数を格納するクラスは partial class で記載してください。

[AutoProp]をつける変数は、文頭を小文字から始めるか、アンダースコア(_)を付した後、すぐに小文字から書き始めてください。
他の文字列でも生成はされますが、理解し辛いので運用上オススメできません。

public partial class HogeHolder
{
    [AutoProp]private float _hogehoge;

    //例えば以下のようにアクセスできます。
    private void DebugHoge()
    {
        Debug.log(Hoge.ToString());
    }
    
}
実際に生成されるコード
// This class is generated by AutoPropertyGenerator.
public partial class HogeHolder
{

    private float Hogehoge
    {
        get
        {
            return this._hogehoge;
        }
    }

}

元とする変数名と生成されるプロパティ名は以下のようになります。
○ 変数名:hogehoge  →プロパティ名:Hogehoge
○ 変数名:_hogehoge →プロパティ名:Hogehoge
☓ 変数名:Hogehoge →プロパティ名:HOgehoge
☓ 変数名:HOGEHOGE →プロパティ名:NoLetterCanUppercase

アクセスレベルのコントロール

引数無しで登録したAutoPropは、publicなGetterだけを実装します。

GetterやSetterのアクセスレベルを制御する場合は、引数にAXSというEnumを渡してください。
例えば AXS.PublicGetSet を指定すると、publicなGetterとSetterを実装します。
コード例を示します。

public partial class HogeHolder
{
    //AXSを引数として渡す
    [AutoProp(AXS.PublicGetSet)]private float _hogehoge;

    private void DebugHoge()
    {
        // Setterがあるので書き込みもできる
        Hoge = 0.5f;
        // 当然読み込みもできる
        Debug.log(Hoge.ToString());
    }
    
}
実際に生成されるコード
// This class is generated by AutoPropertyGenerator.
public partial class HogeHolder
{

    public float Hogehoge
    {
        get
        {
            return this._hogehoge;
        }
        set
        {
            this._hogehoge = value;
        }
    }

}

他にも、GetterがPublic、SetterがPrivateなどの選択肢を用意しています。
名前を見ればわかるようになっていますので、AXSの一覧のみ掲載します。

AXS一覧
        PublicGet,
        PublicGetSet,
        PublicGetPrivateSet,
        PrivateGet,
        PrivateGetSet,
        ProtectedGet,
        ProtectedGetSet,
        ProtectedGetPrivateSet,
        InternalGet,
        InternalGetSet,
        InternalGetPrivateSet,
        ProtectedInternalGet,
        ProtectedInternalGetSet,
        ProtectedInternalGetPrivateSet,

プロパティアクセス時の自動キャスト

Unity側でシリアライズする値はプリミティブ型にしたいけれど、
なるだけ早い段階で自作のValueObject型にしてしまいたい場合ってありませんか?
ありますよね? わかります。ありますよね。

そこで活躍するのがこの機能です。
仮に、floatにキャスト可能なHPというStructを定義したとして例示します。

Getterでのキャスト

以下のように引数にTypeを渡してやると、
floatをHPにキャストして値を取り出すGetterが実装されます。

public partial class HogeHolder
{
    //Typeを引数として渡す
    [AutoProp(typeof(HP)),SerializeField]
    private float _hogehoge;

    private void DebugHoge()
    {
        //Getter内でHP型にキャストしてから出てくる
        HP currentHp = Hogehoge;
        //逆にfloatに戻すにはキャストが必要
        float HPFloat = (float)Hogehoge;
    }
}

Setterでのキャスト

また、以下のようにセッターも実装する指示をしてやると、
HPをfloatにキャストして_hogehogeに格納するSetterも実装されます。

public partial class HogeHolder
{
    //Setterの実装を指示する
    [AutoProp(typeof(HP),AXS.PublicGetSet),SerializeField]
    private float _hogehoge;

    private void DebugHoge()
    {
        //プロパティはHP型で扱われる。SetするときにはHP型を要求する
        HP newHp = new HP(50f);
        Hogehoge = newHp;
        //プロパティはHP型で扱われる。GetするとHP型が返る
        HP hp = Hogehoge;
        
        //SetするときにはHP型を要求する
        Hogehoge = (HP)50f;
    }
}
実際に生成されるコード
// This class is generated by AutoPropertyGenerator.
public partial class HogeHolder
{

    public HP Hogehoge
    {
        get
        {
            return (HP)this._hogehoge;
        }
        set
        {
            this._hogehoge = (float)value;
        }
    }

}

前提条件

この機能は以下のようにexplicit operatorを実装し、
HPが直接floatにキャスト可能であることを前提にします。

public struct HP
{
    readonly float value;
    public static explicit operator float(HP value) => value.value;
    public static explicit operator HP(float value) => new HP(value);
    
    public HP(float value)
    {
        this.value = value;
    }
}

もちろんimplicit Operator でもOKです。

デフォルトアクセスレベルの変更

デフォルトのアクセスレベルを変更したい場合は、プロジェクトのソースコードをダウンロードするかCloneして頂いて、以下の三箇所を書き換えてください。
仮に PublicGetSet を標準にしたい場合の例を示します。

AutoPropertyGeneratorクラス SetDefaultAttributeメソッド内
        // デフォルトアクセスレベルを変える場合は、ここを変更する
-        public AutoPropAttribute(AXS access = AXS.PublicGet)
+        public AutoPropAttribute(AXS access = AXS.PublicGetSet)
        {
            AXSType = access;
        }

        // デフォルトアクセスレベルを変える場合は、ここを変更する
-        public AutoPropAttribute(Type type, AXS access = AXS.PublicGet)
+        public AutoPropAttribute(Type type, AXS access = AXS.PublicGetSet)
        {
            Type = type;
            AXSType = access;
        }

AutoPropertyGeneratorクラス Executeメソッド内
        var arguments = field.attr.ArgumentList?.Arguments;
        (IFieldSymbol field, ITypeSymbol sourceType , ITypeSymbol targetType , AXS acess) result =
-        (fieldSymbol, fieldSymbol.Type, fieldSymbol.Type, AXS.PublicGet); // デフォルトアクセスレベルを変える場合は、ここを変更する
+        (fieldSymbol, fieldSymbol.Type, fieldSymbol.Type, AXS.PublicGetSet);

その上であたらしいDLLをビルドして、上記と同じ手順で導入して貰えればOKです。

おまけ

Pre-release のv0.2.0を導入すると、アトリビュートのコンストラクタに、
generateInterface というbool値を指定できるようになります。

これをTrueにすると、Interfaceを自動作成し、それを自動実装します。

具体的なコード例と、自動実装されるコードの例を示します。

人間が書くコード
public partial class HogeHolder
{
    //AXSを引数として渡す
    [AutoProp(AXS.PublicGetSet,true)]private float _hogehoge;
    [AutoProp(AXS.PublicGet)]private float _fugafuga;
    [AutoProp(AXS.PublicGet,true)]private float _mogemoge;        
}

自動実装されるコード
    // This class is generated by AutoPropertyGenerator.
    public partial class HogeHolder: IHogeHolder
    {
        public float Hogehoge
        {
            get { return this._hogehoge;}
            set { this._hogehoge = value;}
        }

        public float Fugafuga
        {
            get { return this._fugafuga;}
        }

        public float Mogemoge
        {
            get { return this._mogemoge; }
        }

    }
    // This interface is generated by AutoPropertyGenerator.
    public partial interface IHogeHolder
    {
        public float Hogehoge
        { get; set; }
        public float Mogemoge
        { get; }
    }

generateInterface を true にしたプロパティのみが、Interfaceに登録される仕様です。
Interfaceの名前は、クラスの名前の先頭に I をつけた名前になります。

便利かと思って作ったのですが、SourceGeneratorの仕様上、
Interfaceを作成するアセンブリを分けることができず、
かといってこの形式で同じアセンブリ上にInterfaceを切る利点があまり無いように感じ、Pre-release としました。

なにか有効に活用できるアイデアなどあれば、コメントやDM、ISSUEなどで教えてください!

おわりに

記事の内容は以上です。
何度も繰り返し書くような処理はSourceGeneratorで省略して書けるようにしてあげるとスッキリして気持ちいいですね!
もしよろしければ試してみてください!!

謝辞

本記事は、以下の記事のアイデアに大きく影響を受けて制作いたしました。
記事を書いていただいた@RyotaMurohoshiさまにこの場を借りてお礼申し上げます。

また、型の自動キャスト機能は、UnitGeneratorを使いながら、
Unityのシリアライズを便利に使うために作ってみました。
UnitGeneratorは非常に強力なValue Objectの生成支援機能です。
ご興味のある方はぜひ覗いてみてください。

Source Generatorの実装には複数のサイトを見させていただきましたが、中でも以下のゆっち~さまの記事が特に実践的でわかりやすかったです。
ご興味のある方はぜひ覗いてみてください。なお、AutoPropertyGeneratorクラスにメソッドを一つ追加する必要がありますので、私がつくったものを置いておきます。

AutoPropertyGeneratorへの追加コード
private string GetPropertyName(string fieldName)
    {
        //プロパティ名がアンダースコアから始まる場合は、先頭一文字を削除
        if(fieldName.StartsWith("_")) fieldName = fieldName.Substring(1);
        //フィールド名の先頭を大文字にしてプロパティ名にする
        return Regex.Replace(fieldName, @"^\w", m => m.Value.ToUpper());
    }

※最適とは言えませんが、処理内容が理解しやすいものを置いておきます。

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