はじめに
使わなくなった Amazon Echo Show 5 第1世代(2019)。
まだ液晶もタッチパネルもスピーカーも使えるのに、Fire OSの制約によって活用方法が限られてしまうのは少しもったいない。
そこで、
「普通のAndroid端末として再利用できないだろうか?」
と思ったのが今回のきっかけです。
最初はFire OSの開発者オプションから USBデバッグ を有効にして、ADB経由で何とかできないかと考えました。
ところが、開発者オプションを表示しても、一般的なAndroidスマートフォンにある 「USBデバッグ」 が見当たりません。
PCとMicroUSBで接続して、
adb devices
を実行してもEcho Showは出てきません。
USBデバッグが使えないなら、これは無理なのでは?
と、一度は諦めかけました。
しかし、さらに海外の情報を調べていくと、XDA DevelopersでEcho Show 5 第1世代(コードネーム checkers)向けの amonet-checkers が公開されていることを発見しました。
そして重要だったのが、
amonet-checkersのOption 1ではUSBデバッグ自体が不要だった
ということです。
しかも今回の方法なら、
- 本体の分解不要
- 基板のショート作業不要
- はんだ付け不要
- Windows PCで作業可能
- MicroUSB接続で実行可能
でした。
実際に手元のEcho Show 5 第1世代で試したところ、
FASTBOOT → amonet-checkers → TWRP → LineageOS 18.1 → MindTheGapps
まで進み、
Echo Show 5をAndroid 11 + Google Play環境で起動することに成功しました。
この記事では、2026年8月に実機で実際に成功した手順を記録します。
先人の開発に感謝
最初に明記しておきます。
今回使用するアンロック手法、TWRP、ROMなどを私が開発したわけではありません。
Echo Show 5 第1世代(checkers)を解析し、アンロック手法、TWRP、カスタムROM、復旧方法などを開発・検証・公開してくださった XDA Developersをはじめとする海外の開発者・コミュニティの成果によって実現できたものです。
長い時間をかけて端末を解析し、その成果を公開してくださった先人の皆様に感謝します。
参考にしたXDA Developersのスレッド
Echo Show 5 第1世代(2019 / checkers)のUnlock / Root / TWRP / Unbrick:
この記事は、それらの成果を利用して、
「2026年8月時点で手元の実機でも実際に成功するのか」
を追試した記録でもあります。
⚠️ 重要:作業前の注意
この作業では、
- ブートローダーのアンロック
- System領域の消去
- Data領域の消去
- カスタムRecoveryの使用
- カスタムROMの書き込み
を行います。
失敗すると端末が起動しなくなる可能性があります。
特に amonet-checkers による書き込み処理が開始された後は、
処理完了まで電源・USB接続を中断しない
ことが重要です。
作業中は、
- AC電源を抜かない
- MicroUSBケーブルを抜かない
- PCをスリープさせない
- コマンド画面を閉じない
- 処理を強制終了しない
ようにします。
この記事は私の実機で成功した記録です。実施する場合は自己責任でお願いします。
今回使用した環境
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 端末 | Amazon Echo Show 5 第1世代 |
| 発売年 | 2019 |
| 型番 | H23K37 |
| コードネーム | checkers |
| 元のFire OS | 6.5.6.9 |
| PC | Windows |
| 接続 | MicroUSB |
| Platform Tools | 37.0.1 |
| アンロック | amonet-checkers v1.1.6 |
| Recovery | TWRP 3.2.3-0 |
| ROM | LineageOS 18.1 |
| Android | Android 11 |
| Google Apps | MindTheGapps 11 ARM |
今回使用したROMは、
lineage-18.1-20260624-UNOFFICIAL-checkers.zip
Google Appsは、
MindTheGapps-11.0.0-arm-20230922_081034.zip
です。
1. PC側の作業フォルダを準備
今回は次のように整理しました。
C:\home\EchoShow\
├─ PlatformTools\
├─ Amonet\
├─ ROM\
└─ GApps\
必須ではありませんが、ROMやツールを探し回らなくて済むので先に整理しておくと楽です。
2. Android SDK Platform-Toolsを準備
Google公式からAndroid SDK Platform-Toolsを取得します。
展開後、PowerShellで動作確認します。
.\adb.exe version
.\fastboot.exe --version
今回の環境では、
Android Debug Bridge version 1.0.41
Version 37.0.1-15733141
Fastbootは、
fastboot version 37.0.1-15733141
でした。
3. amonet-checkers v1.1.6を準備
Echo Show 5 第1世代(checkers)用として、
amonet-checkers-v1.1.6.zip
を使用しました。
XDA Developersのcheckers用スレッドから取得します。
ZIPを展開すると、
fastbrick.bat
fastbrick.ps1
bootrom-step.sh
fastboot-step.sh
boot-recovery.sh
brom-payload
lk-payload
modules
などが入っています。
今回はWindowsなので、
fastbrick.bat
を使用します。
4. LineageOS 18.1を準備
Echo Show 5 第1世代のコードネームは、
checkers
です。
必ずcheckers用のROMを使用します。
今回使用したファイルは、
lineage-18.1-20260624-UNOFFICIAL-checkers.zip
です。
保存先:
C:\home\EchoShow\ROM\
ZIPは展開しない
TWRPからZIPのままインストールするため、ダウンロードしたZIPをそのまま残しておきます。
5. MindTheGappsを準備
Google Playを利用したいので、LineageOSと一緒にMindTheGappsも導入します。
LineageOS公式Wiki:
LineageOS 18.1はAndroid 11なので、今回選択したのは、
Android 11 / ARM
です。
ARM64ではありません。
使用したファイル:
MindTheGapps-11.0.0-arm-20230922_081034.zip
保存先:
C:\home\EchoShow\GApps\
こちらもZIPを展開せずに使用します。
6. 最初の壁「USBデバッグがない」
ここでかなり悩みました。
Fire OSで開発者オプションを表示しても、
USBデバッグの項目がない
のです。
PCと接続して、
adb devices
を実行してもEcho Showは表示されません。
最初は、
USBデバッグがない
↓
ADB接続できない
↓
LineageOS化できない?
と考えてしまいました。
しかし、ここが今回最大の勘違いでした。
amonet-checkersのOption 1ではUSBデバッグは必要ありません。
ADB経由でFire OSへ接続するのではなく、
Echo Showを直接FASTBOOTモードへ入れる
という別ルートを使用します。
USBデバッグが見つからなくても、ここで諦める必要はありません。
7. Echo Show 5をFASTBOOTモードへ入れる
Echo Show 5のAC電源を一度抜きます。
本体上部の、
- 電源/マイクボタン
- 音量-
- 音量+
の3ボタンを同時に押した状態でAC電源を接続します。
そのまま押し続けます。
成功すると画面に、
FASTBOOT mode...
と表示されます。
ここまで来ればUSBデバッグは関係ありません。
FASTBOOT表示後、Echo Show背面のMicroUSB端子とPCをデータ通信対応MicroUSBケーブルで接続します。
8. PCからFASTBOOT認識を確認
PowerShellでPlatform Toolsフォルダへ移動します。
cd C:\home\EchoShow\PlatformTools\platform-tools
確認:
.\fastboot.exe devices
今回の実機では、
G0911B0593030DBR fastboot
と表示されました。
FASTBOOT接続成功です。
この時点で、
- Echo ShowのFASTBOOT起動
- MicroUSBデータ通信
- WindowsからのFastboot認識
がすべて成功しています。
9. amonet-checkersを実行
amonetを展開したフォルダで、
.\fastbrick.bat
を実行します。
今回の実機では、
Detected: CHECKERS - Echo Show 5 1st Generation - 2019
LK build: 44O72a3-20240709_170103
Will use payload: fastbrick-20240709.img
と表示されました。
CHECKERSとして正常認識されました。
続いて、
Run amonet-fastbrick to unlock the bootloader?
(Type "YES" to continue):
と表示されます。
内容を確認して、
YES
と入力してEnter。
⚠️ ここから電源・USBを抜かない
ここから実際の処理が始まります。
- ACを抜かない
- USBを抜かない
- PCをスリープさせない
- コマンド画面を閉じない
処理が進み、最終的に完了するとEcho Showが再起動します。
10. TWRPが起動
再起動するとAmazonのFire OSではなく、
Team Win Recovery Project
3.2.3-0
が起動しました。
TWRP起動成功!
最初に、
Unmodified System Partition
という画面が表示されます。
今回はFire OSを維持するのではなくLineageOSへ置き換えるため、
Swipe to Allow Modifications
を右へスワイプしました。
11. System / Data / Cacheを消去
TWRPメニューから、
Wipe → Advanced Wipe
へ進みます。
今回選択したのは、
- System
- Data
- Cache
の3つです。
選択しなかったものは、
- Dalvik / ART Cache
- Internal Storage
- Storage
です。
特に、
Internal StorageとStorageは選択しません。
選択後、
Swipe to Wipe
を実行します。
成功すると、
Wipe Complete
Successful
と表示されました。
12. TWRPではADBが使えた
Fire OSではADBからEcho Showが見えませんでしたが、TWRP起動後はADB接続できました。
PCで、
.\adb.exe devices
を実行。
結果:
G0911B0593030DBR recovery
TWRPからADB接続成功です。
ここからPCに用意したLineageOSとGAppsをEcho Showへ転送できます。
13. LineageOSをEcho Showへ転送
私のPCではAndroid Emulatorも起動していたため、最初は、
adb: error: failed to get feature set: more than one device/emulator
というエラーになりました。
複数のADB端末が存在する場合は、-s でEcho Showを指定します。
.\adb.exe -s G0911B0593030DBR push "C:\home\EchoShow\ROM\lineage-18.1-20260624-UNOFFICIAL-checkers.zip" /sdcard/
実際の結果:
1 file pushed, 0 skipped.
6.5 MB/s
(476787102 bytes in 69.616s)
LineageOS転送成功。
14. MindTheGappsを転送
続けてGAppsを転送します。
.\adb.exe -s G0911B0593030DBR push "C:\home\EchoShow\GApps\MindTheGapps-11.0.0-arm-20230922_081034.zip" /sdcard/
結果:
1 file pushed, 0 skipped.
6.5 MB/s
(184892888 bytes in 27.062s)
これでEcho Show側に、
/sdcard/lineage-18.1-20260624-UNOFFICIAL-checkers.zip
/sdcard/MindTheGapps-11.0.0-arm-20230922_081034.zip
の2ファイルが入りました。
15. LineageOS 18.1をインストール
TWRPで Install を選択。
続いて、
lineage-18.1-20260624-UNOFFICIAL-checkers.zip
を選択します。
ここで、
Reboot after installation is complete
はOFFのままにします。
LineageOSの直後にGAppsを入れるためです。
Swipe to confirm Flash
を実行。
しばらく待つと、
Install Zip
Successful
となりました。
ログにも、
script succeeded: result was [1.000000]
Install boot patch... OK
Install recovery patch... ALREADY INSTALLED
と表示されました。
LineageOS 18.1インストール成功!
ただし、まだReboot Systemは押しません。
16. MindTheGappsをインストール
続けてTWRPのInstallから、
MindTheGapps-11.0.0-arm-20230922_081034.zip
を選択します。
インストールを実行すると、
Setting up environment
Mounting partitions
Copying files
Unmounting partitions
Done!
まで進み、
Install Zip
Successful
となりました。
MindTheGappsもインストール成功!
これで、
- LineageOS 18.1
- Google Play環境
の両方が入りました。
17. ついにAndroid 11を起動
ここで初めて、
Reboot System
を実行します。
初回起動なので少し待ちます。
そして……
Hi there
GoogleのAndroid初期設定画面が表示されました。
🎉 Echo Show 5のAndroid 11化に成功!
Fire OSだったEcho Show 5 第1世代が、
LineageOS 18.1 / Android 11
として起動しました。
MindTheGappsも正常に入っているため、このままWi-Fi接続やGoogleアカウント設定へ進めます。
一番ハマったのは「USBデバッグ」
今回一番時間を使ったのは、実はROMの書き込みではありませんでした。
USBデバッグです。
最初は、
開発者オプションを表示
↓
USBデバッグを探す
↓
ない
↓
adb devicesにも出ない
↓
無理なのでは?
となりました。
しかし実際には、
USBデバッグ
↓
不要
ADB(Fire OS)
↓
不要
3ボタン同時押し
↓
FASTBOOT
↓
amonet-checkers
でした。
「USBデバッグがない=LineageOS化できない」ではありません。
これを最初から知っていれば、かなり早く進められたと思います。
分解・はんだ付けは本当に不要だった
amonet-checkersには、端末の状態によっては本体を開けて基板へアクセスする方法もあります。
しかし今回使用した個体では、
Option 1だけで成功しました。
つまり、
- Echo Showを開けていない
- 基板に触れていない
- テストポイントをショートしていない
- はんだ付けしていない
状態です。
使用した物理的な接続は、
AC電源 + MicroUSBケーブル
だけでした。
最終的な流れ
今回成功したルートをまとめると、
Amazon Echo Show 5 第1世代
2019 / H23K37 / checkers
│
▼
Fire OS 6.5.6.9
│
▼
3ボタン同時押し
│
▼
FASTBOOT mode
│
▼
Windows PCからFastboot認識
│
▼
amonet-checkers v1.1.6
│
▼
Bootloader Unlock
│
▼
TWRP 3.2.3-0
│
▼
System / Data / Cache Wipe
│
▼
LineageOS 18.1
│
▼
MindTheGapps
│
▼
Android 11
│
▼
Google Play環境
です。
まとめ
今回、2019年発売のEcho Show 5 第1世代を Android 11端末として復活させることができました。
特に大きかったのは、
分解・はんだ付けなしで成功した
ことです。
そしてもう一つ。
USBデバッグがなくても諦める必要はなかった。
これが今回一番伝えたいポイントです。
古い端末でもハードウェア自体はまだ十分動きます。
メーカーのOSやサポートが古くなったというだけで端末そのものまで使えなくなるのは、やはりもったいない。
LineageOSを利用することで、古いスマートディスプレイにもう一度役割を与えられるというのは面白い結果でした。
謝辞
今回の作業は、私自身がEcho Show 5を解析して実現したものではありません。
Echo Show 5 第1世代(checkers)を解析し、アンロック手法、TWRP、カスタムROMなどを開発・公開してくださった XDA Developersをはじめとする海外の開発者・コミュニティの成果によって実現できました。
また、LineageOS、TWRP、MindTheGappsなど、Androidのオープンソースコミュニティで開発・維持を続けている皆様にも感謝します。
私は今回、それらの成果を利用して、
2026年8月、手元のEcho Show 5 第1世代で実際に導入できるか追試
したものです。
先人の解析・開発と、その成果を公開してくださる文化に敬意を表します。
次にやること
Android 11として起動するところまでは成功しました。
次は、
「Echo Show 5は普通のAndroid端末として実際どこまで使えるのか?」
を試します。
具体的には、
- Google Play
- Androidアプリのインストール
- Wi-Fi
- スピーカー
- マイク
- タッチパネル
- スリープ
- 常時表示
- 実際のアプリ動作
などを確認してみる予定です。
「起動した」で終わらず、実用品としてどこまで使えるのかを試してみます。
