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自然非言語処理第24日目:意識そのものの非言語処理(応用編)

Last updated at Posted at 2017-12-25

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あなたには意識はありますか?
というか意識ってなんですか?

そんなこと考えちゃうとか意識高いですね!

はい

今回は現状不可能だと考えられている他人との意識の共有について議論したいと考えております。

意識って何さ

意識とは、私たちが、夢を見ない眠りから覚めて、再び夢のない眠りに戻るまでの間持っている心的な性質のことである

と哲学者ジョン・サールは言っています。
ジョン・サールの言うとおりに解釈すると、意識があるときには少なくとも起きているようです。この起きている具合を覚醒度といいます。
また、意識のあるときは感覚から刺激を認識することができます。また、認識するだけではなく、赤い林檎などのあかさを知覚できると思います。この知覚をクオリア(感覚質)といいます。
逆に、入力だけではなく出力も考えると、意識のあるときは随意運動を起こすことができます。
以上が意識の働きだと思われます。
ただ、その働きも覚醒度が落ちたり、脳の機能障害が起きてしまうと、意識の度合いが下がってしまうと考えられます。
その場合はグラスゴー・コーマ・スケールなどで意識を定量化することがあります。

それにしても意識とは他人と共有できるものなのでしょうか。
コミュニケーションとは記号のうち、記号表現だけを相手に伝え、記号内容を相手の中に復元させるというものでした。
しかし、意識そのものは記号内容そのものであり、コミュニケーションでは記号内容そのものは他人と共有できません。
したがって、コミュニケーションにより意識の内容そのもの、たとえばクオリアなどを伝えることは現代科学ではできないように思えます。

意識のメカニズム

意識が生じる原因はいまだに解明されていません。
意識が生じる原因はわからないのですが、意識と相関している脳活動なら少しずつ分かってきています(c.f. 因果関係と相関関係)。
この脳活動を意識に相関した脳活動(NCC)といいます。
意識に相関した脳活動は実はこれまでにたくさんしてきました。
たとえば、赤いリンゴを見たときに下側島皮質が活動すると認識できるだとか、体性感覚野が活動すると知覚できるだとか、運動野などが活動すると随意運動を起こせるだとかたくさんしてきました。
つまり、意識とはすごく分散されたシステムであることはわかります。
でも、たとえばその下側島皮質をディープラーニングのようなアルゴリズムを持った機械で置き換えてしまうとどうなるのでしょうか?
なんか意識はそれでも保てそうな気がします。
ただ、脳を起きさせる部分を取り除いちゃうとダメなのでは発送したあなた、さすがです。
脳全体の覚醒度を制御する脳幹網様体賦活系という部分を取り除くと、意識がなくなります[1]。
しかし、脳幹網様体賦活系をディープラーニングのようなアルゴリズムを持った機械で置き換えてしまうとどうなるのでしょうか?

こうやって全部機械で置き換えてしまうとどうなってしまうのでしょうか。

現代科学では謎のままです。

なお、意識のメカニズムに関する有名な仮説として統合情報理論(IIT)がありますが、
説明するのがすごくややこしいため今回は紹介しないことにしました。
興味のある方は調べてください。

意識を伝える方法とは

子供の頃からおそらく脳をくっつけないと意識は共有できないと思われます。
そういう意味では脳活動を共有している双子の姉妹は意識を伝えあっていることができているのだと思います。
しかし、その意識を我々にそのまま伝えることは現代ではできないでしょう。
たとえば、意識の一部であるクオリアを共有することを考えてみると、同じ赤いリンゴを同じ視点で見てても、個々人では脳活動が微妙に異なるため、どのような脳活動を引き起こせば、同じクオリアを共有できるのかよくわかりません。

実装: プログラミングの限界

我々には人工意識なるものを作成することはできます。
しかし、それが人間の意識とどう違うのかは、我々にはわかりません。
プログラムとはあくまで量を操作するための技術です。
しかし、クオリアを含む意識とは質の世界の話なのです。
我々がこの壁を超えなければ、つまり、質そのものを取り扱う技術を確立しなければ、この問題には太刀打ち出来ないと考えられます。

まとめ

今回はコミュニケーションで取り扱えない意識を題材に現代科学の限界を紹介しました。

次回はこれまで1ヶ月に渡る非言語処理を1日でわかるように総まとめしましょう。

参考文献

[1] http://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E8%84%B3%E5%B9%B9%E7%B6%B2%E6%A7%98%E4%BD%93%E8%B3%A6%E6%B4%BB%E7%B3%BB
[2] http://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E6%84%8F%E8%AD%98

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