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「聞く AI」から「進める AI」へ: OpenClaw / ClawPilot / Microsoft Scout が見せる仕事エージェントの未来🦞

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Last updated at Posted at 2026-06-03

こんにちは、最近 AI エージェントに仕事を任せすぎて自分の仕事量が分からなくなってきたアーキテクトのやまぱん!です。
補足コメントや質問、いいね、拡散、ぜひお願いします 🥺!
間違っていたら 優しく 教えてください!

今回は、Microsoft の公開情報と、実際に触れた 社内版 Microsoft Scout の手触りを重ねて、「仕事エージェント」がどこまで現実味を帯びてきたのかを整理します。

2026/06/05 時点の整理です。
Microsoft の公式 blog / Learn / GitHub repo で確認できる情報と、GeekWire や Omar Shahine 氏の個人ブログに基づく情報は、本文中でも出典を分けて示します。特に Microsoft Scout / ClawPilot / Project Lobster は public brand と internal naming が混ざりやすいので、表と注記で切り分けます。

TL;DR

  • 私が触った 社内版 Microsoft Scout (ClawPilot) は、M365、ブラウザ、自動化、ファイル操作を束ねた仕事用エージェントシェル でした
  • OpenClaw は OSS の personal agent runtime、Microsoft Scout は Build 2026 で前面に出た public name、ClawPilot / Project Lobster は internal / transitional naming
  • OpenClaw の実行力Work IQ の文脈理解 と Microsoft 側の統制レイヤー(MXC / Agent 365 / Windows 365 for Agents)が重なり始めている

先に体感を書く: Outlook を開く回数が減りそうだった

体験から入ります。

私の社内環境では ClawPilot という名前で展開されていました。後述する Learn の Intune setup にも Allow Clawpilot Frontier access の policy 名が残っているので、internal product name として扱います。以下では、この環境を 社内版 Microsoft Scout として書きます。private data は出せませんが、どんなツールがあり、どう振る舞ったかは共有できます。

そもそも私自身、OpenClaw は前から好きでした。ずっと動かしてアプリを作らせたり、株式の情報を調べさせたり、「自分の PC の上で仕事を進める runtime」として使っていたので、それが Microsoft 側の Work IQ や M365 連携と噛み合い始めたのは素直に嬉しかったです。単に新製品が出た、というより、好きだった runtime が仕事の本流に接続され始めた 感覚でした。

「明日の仕事教えて」が API 呼び出しに落ちた

最初に試したのは、だいぶ雑な依頼でした。

明日の仕事教えて

普通の chat AI なら「予定表を確認してください」で終わりがちです。でもこの 社内版 Microsoft Scout では、内部で m365_list_events が起動し、翌日の 00:00 から 23:59 の time range を指定して Microsoft Graph の calendarView を叩いていました。

曖昧な自然言語が、そのまま実務的な API 呼び出しに変換されていました。自然言語で会話しているのに、中身は完全に業務ツールでした。

空き時間探しからメール送信まで流せた

Outlook でやっていた軽い調整作業も、実務に近い形で扱えました。

上司との空いている時間を探して、その候補にメールを送り、予定をブロックするところまで流せました。社外宛てのメール作成もできます。もちろん送信前には「この内容で送っていいですか?」と確認を挟めます。

個人的には、日々の軽い調整なら Outlook を開く回数が減るかもしれない、と感じるくらいスムーズでした。ここは今回、強く刺さったところです。

画面はチャットというより仕事を仕込む agent だった

セッション開始時のシステムメッセージには、次のようなツール群が並んでいました。

  • File System Access
  • Shell
  • Browser Control
  • Search Web
  • WorkIQ
  • M365 Tools (m365_*)
  • Self-Control tools (m_*)

設定画面には Schedule、Condition、Steps、Headless Browser、Teams notifications、Permissions がありました。チャットで答えるだけの UI ではなく、定期実行する仕事を仕込み、通知先と権限まで含めて運用する agent を前提にした画面でした。

公式ドキュメント側でも、Scout overview には 15 分から 120 分ごとの periodic background check-in とあります。私が見た画面の印象とも噛み合っていました。大きめのタスクをしばらく流し続けて改善させるとか、深掘りリサーチを継続させる、といった long-running な使い方も相性が良さそうでした。ここは「1 回聞いて 1 回返す」AI より、明らかに仕事向きです。

VS Code の GitHub Copilot Chat とは役割が違う

私の体感では、この 社内版 Microsoft Scout の方が軽く感じました。モデルの速度差もあると思いますが、それ以上に IDE を経由しない のが効いています。

VS Code の Copilot Chat は、コードとワークスペースを読むには最高です。一方で「予定を確認して、メールを見て、ブラウザで調べて、次の作業まで進める」は、IDE の中でやる必然がありません。私が触った環境は、そこに寄せた 仕事用の軽い agent shell でした。

体感としていちばん近かったのは、GitHub Copilot CLI に M365 直接操作とブラウザ自動化を足した感じ でした。メール送信などの実務寄りの操作も、敏感な操作では確認を挟みつつ進められる。skill を使った繰り返し作業まで 1 つの流れで扱えて、全体としてサクサクしていました。

もちろん、ログやスクリプトを 1 つずつ確認しながら実行する作業は、今までどおり VS Code の GitHub Copilot Chat の方が向いていると思います。社内版 Microsoft Scout が良かったのは、そこよりも 「やりたいことを雑に言うと、業務アクションまで進めてくれる」 ところでした。

で、Microsoft Scout とは何者か

ここまで読むと、「それって結局 Microsoft Scout なの? M365 Copilot なの? ローカル agent なの?」が気になると思います。ここはいったん、今の公開情報ベースで短く切っておきます。

Microsoft Scout overviewFAQ をそのまま読むと、Microsoft Scout は Windows と macOS で動く desktop AI application です。ローカルのファイル、shell、browser を扱えますが、同時に Microsoft 365 データにもつながります。完全なオンデバイス専用 agent ではなく、ローカル実行 + クラウド連携のハイブリッド です。

公開情報だけで見ると、次の整理です。

  • M365 Copilot そのものではない: Microsoft 365 管理センターや Microsoft 365 データ連携は使いますが、Scout 自体は別の desktop app です
  • 完全ローカルでもない: FAQ では GitHub Copilot SDK を使い、外部モデルに接続する場合があると説明されています
  • GitHub Copilot 前提の preview です: Admin access overview では、Frontier access だけでも駄目、GitHub Copilot license だけでも駄目、と明記されています。現時点の docs では business / enterprise が前提です
  • 前提条件は重い: Frontier preview 参加、Microsoft 365 管理センターでの Copilot Frontier 有効化、Intune policy、管理者 attestation、GitHub アカウント、GitHub Copilot Business / Enterprise license が揃って初めてサインインできます

ちなみに私の会社環境でも Microsoft Scout のインストールまでは試せましたが、起動すると Ask your admin to enable Microsoft Scout で止まりましたw これは docs の説明どおりで、ユーザーがアプリだけ入れればすぐ使えるものではなく、テナント側で Scout / Frontier access を有効化してもらう必要があります。

私の会社環境で起動したときの画面です。テナント側でまだ有効化されていないため、admin への依頼が必要でした。

Microsoft Scout の admin 有効化待ち画面

いま公開されている docs だけで見ると、Scout は Microsoft 365 の管理とデータを使う desktop agent です。GitHub Copilot 系の runtime を業務向けに寄せたものです。

名前だけ先に整理します

この話題は名前が本当にややこしいので、先に整理しておきます。

名前 現時点で確認できる位置づけ どこで確認できるか
OpenClaw OSS の personal agent runtime OpenClaw 公式サイト / GitHub
OpenClaw on Windows OpenClaw を Windows 上で使う companion / runtime 側の公開入口 openclaw-windows-node / Windows Developer Blog
Project Lobster Microsoft 社内 initiative 側の名前として読める Omar Shahine 氏の個人ブログ / GeekWire
ClawPilot 社内や preview 周辺で使われた internal / transitional naming GeekWire / Microsoft Scout Intune setup
Microsoft Scout Build 2026 で前面に出た public name Microsoft 365 blog / Learn

公開名は Scout、Windows 側の公開入口は OpenClaw on Windows、その途中や社内側の呼び方として ClawPilot / Project Lobster が出てきます。

ClawPilot という名前や「3,000+ users」の数字は GeekWire など報道ソース比重が高いです。一方で Learn の Microsoft Scout Intune setup には Allow Clawpilot Frontier access という policy 名が残っていて、Clawpilot を internal product name と説明しています。なので本文では「public は Scout、ClawPilot は internal / transitional」と分けて扱います。

OpenClaw は何者か

OpenClaw は、Peter Steinberger 氏が開発した OSS の personal AI assistant runtime です。2025 年 11 月に Clawdbot として公開され、その後 OpenClaw にリネームされました。

OpenClaw は runtime です。公式サイトと GitHub README を読むと、次の能力が前提になっています。

  • Persistent memory
  • Browser control
  • Full system access
  • Skills & plugins
  • Multi-channel messaging

要するに、OpenClaw は 自分の PC 上で常時動く personal agent runtime です。メールも予定表もブラウザもファイルも、全部またいで「仕事を進める」側に寄っています。

Windows 向けには openclaw-windows-node も公開されていて、システムトレイ常駐、画面キャプチャ、シェル実行まで扱える形が見えています。

Omar Shahine 氏の Lobster が見せたもの

私が OpenClaw を面白いと思った決め手の 1 つは、Microsoft の Corporate Vice President である Omar Shahine 氏の個人ブログでした。公開情報として追うなら、まず Meet Lobster: My Personal AI Assistant が入口になります。

2026 年 2 月、Shahine 氏は自宅の MacBook Air M1 に OpenClaw を入れ、Lobster 🦞 という personal agent を作っています。

単に「便利でした」で終わらず、AI を新人アシスタントのように扱うメンタルモデル が具体的に書かれていたのが良かったです。

記事に出てくる使い方も、単なる技術デモではありません。たとえば「明日の予定は?」に対して未読メールや配送通知までまとめて返してくる。家族から「フライトいつ着く?」と聞かれれば到着時刻と迎えの段取りまで返す。旅行の相談では、いきなりリンクを投げるのではなく「何泊? 二人だけ? ホテル派?」と確認質問から入る。ここが、ただの chat bot ではなく 仕事や生活の流れに入り込む agent らしさでした。

Shahine 氏は、Lobster を 3 つのエージェントに分けていました。

  • Lobster: 本人専用。メール、ファイル、シェルまでフルアクセス
  • Lobster-Groups: 家族のグループチャット用。Docker サンドボックスで制限付き
  • Lobster-Family: 家族が個別に DM する用。共有カレンダーや旅行情報だけ見える

制御の中心は prompt だけではなく、そもそも渡すツール自体を分ける ところにもありました。これが後で Microsoft 側の security / governance 話にも繋がってきます。

Project Lobster と Ocean 11

ここから Microsoft 側の文脈に繋がります。Omar Shahine 氏はその後、OpenClaw と personal agents を Microsoft 365 側へ持ち込む役割に移り、その流れの中で Project LobsterClawPilot という名前が出てきます。公開情報としては、Shahine 氏の Lobster Got Hired と GeekWire の Microsoft's OpenClaw team takes on the personal assistant challenge が主な手掛かりです。

GeekWire の報道では、チーム名が Ocean 11 で、Product、Architecture、Security、M365 Integrations、Teams Surface、Identity などのロールで構成されていること、さらに 2026 年 5 月時点で Microsoft 社内で 3,000 人以上が日次利用していたことが紹介されていました。一方で、Shahine 氏本人の Lobster Got Hired でも、Microsoft 365 側へ personal agents を持ち込む流れやチームの熱量が伝わってきます。ここは Microsoft 公式 docs ではなく報道や個人ブログベースなので扱いは慎重にしたいですが、少なくとも「週末の個人実験」で終わらず、社内で大きな動きになっていたことは伝わってきます。

私はこの流れが好きです。OpenClaw という personal runtime が、個人の遊びや実験から、M365 や Work IQ とつながる仕事の道具へ寄っていく。その橋渡しとして Lobster / ClawPilot / Scout という名前が順に出てきました。

Build 2026 で public に出てきた層

Build 2026 では、「すごそうな社内デモ」だった話に、公開名と公開レイヤーが付きました。

Build 2026 では、Autopilots というカテゴリが前に出ていました。「always-on」「long-running」「autonomous agents」という塊で見せていて、1 つのアプリ名が増えただけではないことが分かります。

Autopilots という新カテゴリの紹介スライド

スライド上では、agent が継続実行する仕事の単位として置かれていました。Scout も Autopilots の 1 つとして紹介されています。

出典: Introducing Microsoft Scout: Your always-on personal agent - Microsoft 365 Blog

私が追っていたのは次の 4 層です。

1. Microsoft Scout

2026 年 6 月 2 日付の Microsoft 365 blog では、Microsoft Scout が first Autopilot として公開されました。Microsoft Scout (Frontier) overview を読むと、desktop app、browser、local resources、MCP servers、autonomous background execution まで docs 化されています。

Microsoft Scout が public brand として紹介された場面

ここで初めて、Project Lobster / ClawPilot 側の流れに Microsoft の public name が付きました。

出典: Microsoft Scout (Frontier) overview - Microsoft Learn

2. OpenClaw on Windows + MXC

Windows Developer Blog では、MXC を early preview として出し、その上で OpenClaw runs natively on Windows leveraging MXC と説明しています。microsoft/mxc の README では、まだ early preview で security boundary としては未成熟とも明記されています。

現時点で公開されている Windows 側の入口は openclaw/openclaw-windows-node です。触ってみたい方は、まずこの repo から companion app、Windows node、shared library、PowerToys Command Palette extension の構成を追えます。

Microsoft Scout 本体をすぐ使えなくても、OpenClaw 側を触ってみる入口はあります。Scout は前述のとおり前提条件が重く、テナント管理者の有効化が必要です。

一方で OpenClaw Windows Hub / Companion 側は READMESETUP.md に公開手順があり、エンドユーザー向け installer なら Windows 10 20H2 以降または Windows 11、WebView2 Runtime、OpenClaw account と gateway token が主な前提です。

OpenClaw Windows Hub / Companion に LLM が固定で入っているわけではありません。OpenClaw は接続先の Gateway 側で provider / model を選ぶ構成で、Models docs では agents.defaults.model.primary や fallback を使って provider/model を指定すると説明されています。

OpenClaw Windows Hub は「どの LLM を使うか」よりも、Windows PC を OpenClaw agent から扱うための node / companion 側の役割が中心です。モデルは Anthropic、OpenAI、OpenRouter、Ollama、GitHub Copilot provider など、Gateway 側で設定したものを使います。

もちろん、PC 上で agent を動かす以上、なんでも許可すればよいわけではありません。OpenClaw Windows Hub には pairing、Windows permission、gateway 側の allowCommandssystem.run の exec policy などがあり、どこを許可してどこを止めるかを見ながら使います。Companion が要求する権限や、allowlist で許可していく操作を見るだけでも、「agent を PC 上で安全寄りに動かす」ときの現実感が出ます。

Windows 側は、OpenClaw を企業利用に寄せるための containment も担い始めています。

ここは実際に私の環境で触ると、MXC の前提がかなり分かりやすかったです。Sandbox 画面を開くと、Node Sandbox unavailable - commands run uncontained と表示され、私の環境では Windows build 26200 が MXC supported build 26300 に届いていないため、まだ sandboxing が有効になりませんでした。Docs にある「最近の Windows build が必要」という話が、画面上でもそのまま見えるのは良かったです。

OpenClaw Windows Companion の Sandbox 画面で Node Sandbox unavailable と表示されている場面

Windows build 26200 は MXC 対応 build 26300 未満のため、commands run uncontained と表示されていた。

ステージデモでも、Node Sandbox や permission の見せ方が前面に出ていました。「Windows でも動きます」だけで終わらず、「どう閉じ込めて、どう permission を切るのか」を product surface として見せる構成でした。

Build の絵として、いわゆる 「Microsoft × OpenClaw」感 がいちばん強かったのもこの塊でした。Windows 側の公式 blog は OpenClaw を正面から扱い、GitHub 側では Windows Companion / Windows node の実装が公開されています。research demo で止まらず、product 側の導線に近づいてきた印象でした。

OpenClaw on Windows デモで Node Sandbox が見えている場面

OpenClaw on Windows デモでは、Node Sandbox、Security level、Permissions が UI に並んでいました。Windows 側の containment 設計まで含めて productize しようとしているのが分かります。

出典: Build 2026: Furthering Windows as the trusted platform for development - Windows Developer Blog

OpenClaw Windows Companion のメニューと Windows Node capabilities が見えている場面

Windows Companion 側では、Gateway、Windows Node、Permissions、Sessions まで並んでいて、「動く」より「管理して使う」方向が前に出ていました。

出典: openclaw/openclaw-windows-node - GitHub

ここからの 2 枚は Build の画面ではなく、OpenClaw Windows Companion を早速インストールして私の環境で試してみたときの画面 です。

私が今回あらためて良いなと思ったのは、OpenClaw Windows Companion が runtime の中身を黒箱にしない ところです。Workspace には、OpenClaw でおなじみの AGENTS.mdSOUL.mdTOOLS.mdIDENTITY.mdUSER.mdBOOTSTRAP.mdMEMORY.md などの md 群がそのまま並び、agent の初期コンテキストや役割を人間が読めます。

私の環境で実際に開いた画面でも、どの md が first run や session startup に効いているかが分かります。単に「すごい agent が動いている」ではなく、何を前提に起動しているのかを後から追える のが良いところでした。

OpenClaw Windows Companion の Workspace で bootstrap 用 md 群が見えている画面

AGENTS.md や SOUL.md などの起動コンテキストが並び、runtime の前提を人間が読める構成。

さらに Skills 画面では、有効化されている skill が一覧で並びます。healthcheck や node-connect のような host / node 向け skill から、gh-issues、skill-creator、apple-reminders のような task 系まで幅広く入っていて、「この agent に何をさせられるのか」が最初から見渡せる のも安心感がありました。安全に OpenClaw を触る入口として、かなり筋が良い設計だと思います。

OpenClaw Windows Companion の Skills 一覧画面

enabled な skill が一覧されていて、Windows Companion が束ねる実行面を把握しやすい。

Voice & Audio 画面には All speech processing runs locally on your device と明記されており、Whisper 系 speech model をローカルに落として使う前提です。クラウド側の Work IQ とは別に、手元で完結する処理がきちんと切り出されている のが確認できました。Sessions 画面では agent:main:smoke-test-4OpenClaw Windows Tray が並び、gateway が複数セッションを channel 単位でハンドリングしていることが分かります。ここでやっと「assistant app」というより agent runtime / gateway だなと感じました。

OpenClaw Windows Companion の Voice & Audio 設定画面

Voice & Audio: speech model のダウンロード状態やローカル処理設定が 1 画面にまとまっている。

OpenClaw Windows Companion の Sessions 画面

Sessions: gateway が handling 中の会話を channel 単位で表示。複数セッション前提の設計。

3. Work IQ APIs

2026 年 6 月 2 日付の Microsoft 365 blog では、Work IQ APIs が 2026 年 6 月 16 日に GA と明示されました。Work IQ API overview と合わせて見ると、Chat / Context / Tools / Workspaces という agent 向けの surface が揃い始めています。

Claw / Scout 系の文脈で見ると、ここは重要です。REST API と CLI だけでなく、remote MCP support や A2A communication まで含めた接続面が出てきたことで、「仕事の文脈」と「実行系 runtime」をつなぐ層がはっきりしました。

IQ スライドで Context / Decisions / Actions が並んでいる場面

このスライドが良かったのは、Work IQ / Foundry IQ / Web IQ が Context → Decisions → Actions をつなぐ共通知能層として並んでいたことです。Scout や Cowork が同じ基盤の上に乗っていることが分かります。

出典: Announcing the new Work IQ APIs - Microsoft 365 Blog

4. Agent 365 と Windows 365 for Agents

Agent 365 overview は governance 側の control plane として、Windows 365 for Agents in Agent 365What’s new in Windows 365 for Agents は execution 側のレイヤーとして読めます。

Build 2026 では、Scout、Work IQ、MXC、Agent 365、Windows 365 for Agents が同じ流れの中で紹介されました。仕事エージェントを動かし、文脈を渡し、企業側で管理するための部品が並んだ形です。

なぜ enterprise 文脈だと別物になるのか

企業利用で差が出るのは、仕事の文脈をどこから取り、実行環境をどこまで管理できるかです。

Work IQ はざっくり言うと、次の 3 層でできています。

  • Data: Microsoft 365 テナントデータや外部接続データ
  • Context: Semantic Index、Memory、行動パターン
  • Skills & Tools: agentic skills と実行ツール

OpenClaw 単体だと「よく動く runtime」までは作れても、仕事の文脈は自前で集める必要があります。Work IQ 側には M365 データに grounding された回答を作る力がありますが、ローカル PC 上で常時動く runtime は別に必要です。Scout / ClawPilot 系では、OpenClaw の実行力Work IQ の文脈理解 が同じ体験の中に入ってきます。

私が見たその環境でも、ツール一覧に WorkIQ と M365 tools が含まれていました。だから「明日の仕事教えて」が、そのまま Graph API ベースの実作業に落ちたわけです。

4 者を並べると、違いはこんな感じです。

ここで比べているのは 「仕事を任せる主体」 としての 4 者です。OpenClaw on Windows は別の 1 者ではなく、OpenClaw を Windows 上で動かす companion / execution layer として扱ったので、列には入れず直前の節で分けて書いています。

観点 OpenClaw(素) Microsoft Scout / ClawPilot 系 M365 Copilot Chat Copilot Cowork
常時稼働 ○(ローカル PC) ○(ローカル PC) × ○(クラウド)
M365 データアクセス 自前で接続が必要 Work IQ 経由 Work IQ 経由 Work IQ 経由
ブラウザ / PC 操作 × 限定的
実行環境 ローカル ローカル クラウド サンドボックスクラウド
Windows containment openclaw-windows-node + MXC(公開済み) Windows / policy story あり なし なし
governance なし Entra / policy 導線あり テナント権限準拠 テナント権限 + DLP

Copilot Cowork との違い

Copilot Cowork は、ユーザーが頼んだ仕事を 背景のクラウド環境で計画・実行 する方向です。重要な操作では承認を挟み、sandboxed cloud execution が前提です。

Scout / ClawPilot 系は、ローカル PC 上で俊敏に仕事を進める 方へ寄っています。どちらも Work IQ を共有しつつ、実行場所と統制のかけ方が違います。

私の普段の仕事に引き寄せると、正直 Copilot Cowork よりも Scout / ClawPilot 系の方が使いやすい と感じました。理由はシンプルで、メールを送る、skill を呼ぶ、ブラウザで確認する、といった流れが同じ場所で繋がっていて速いからです。Cowork のクラウド実行は魅力ですが、日々の細かい仕事をテンポ良く進める感覚は、私にはこのローカル寄りでバックグラウンド実行も使える体験の方がしっくり来ました。

セキュリティとガバナンスの整備が進んでいる

私は OpenClaw 系を「危ないらしい」で雑に語るより、Microsoft がどう enterprise 向けに整備しようとしているか を見たいです。

Microsoft Security BlogSecuring AI agents on Windows を読むと、少なくとも次の姿勢が出ています。

  • local agent は governance / identity / containment 前提で運用する
  • Agent 365 が control plane を担う
  • Windows 365 for Agents や MXC が execution / containment を担う
  • OpenClaw みたいな local runtime も、そのまま自由実行するのではなく hardening しながら public に寄せる

Shahine 氏も enterprise-hardening を最優先課題だと話していますし、prototype agents に専用の Entra ID や Exchange mailbox を持たせる設計も、その延長線上にあります。

OpenClaw は、そのまま企業導入向けに閉じた技術ではありません。Microsoft が Scout / MXC / Agent 365 / Windows 365 for Agents を通して企業利用向けに整えている途中の技術 です。

今まだ分かっていないこと

現時点で分からないことも、まだ多くあります。

  • Scout が Frontier / preview からどのタイミングで広く開くか
  • Project Lobster が今後も public に残る名前なのか
  • 3,000+ daily users という規模が Microsoft 公式にどこまで出るか
  • Work IQ / Agent 365 / Windows 365 for Agents と Scout の内部実装がどこまで共通しているか
  • agent ごとの Entra ID、mailbox、Teams presence がどこまで実装済みか
  • 一般ユーザー向けに公開される場合、どの SKU / ライセンスに乗るか

このあたりは、今後の Learn 更新や Build 後追いブログが重要になりそうです。

まとめ

OpenClaw は、もともと ローカルで仕事を進める personal agent runtime として面白い存在でした。そこに Microsoft が Scout という public name、Work IQMXC / Windows 365 for Agents / Agent 365 を重ねてきたことで、企業利用の絵が急に具体的になりました。

私が触った環境では、予定確認が API 呼び出しに落ち、メール作成や予定ブロックまで同じ流れで進みました。答えるだけではなく、予定を見て、選択肢を出して、作業を一歩先へ進める。AI が「聞くもの」から「進めるもの」へ変わるなら、この系統はその変化に近い場所まで来ています。

Build 2026 前後の動きは、引き続き追いかけたいです。ここはまだ始まったばかりですが、もう追いかけるだけの材料は揃っています 🧠🦞

参考

公式情報

報道・個人ブログ

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