FastRTCは、Pythonでリアルタイム通信を実現するライブラリであり、ユーザーの入力に即座に応じた出力変更や音声操作デモの構築を容易にすることを目的としている。
現在のGradioデモは静的な動画生成に限定され、双方向性が不足しているが、FastRTCを活用すれば、リアルタイム性やインタラクティブ性を付加できる可能性がある。
検証では、公開されているサンプルコードを実行しつつ、一部コードを読んでその構造を把握した。特に、WebRTCを基盤とした通信機能がどのようにPythonに統合されているかに注目した。
簡単な動作
実験では、シンプルなテキスト入力からリアルタイムで応答を返すデモを構築し、動作を確認した。結果、技術的には期待通りで、例えば音声入力をテキスト化し、それに応じた処理を返すフローがスムーズに実現できた。
テストに、多少不具合はでたが、バグの修正は継続しており。Pull Requestに対するレビューも早い。
しかし、実用化には課題が浮上した。最大の障壁はTurnサーバーの問題だ。
Hugging Faceは最近、無料Inference提供から有料外部プロバイダー推奨へと戦略を転換し、その後に無料Turnサーバーを導入したが、その規模や安定性、継続性はまったく期待できない状況だ。現在の無料Turnサーバーは、実験段階では使えるものの、同時接続数が1~2程度の小規模デモにしか耐えられない。
今のHuggingfaceは昔の使い切れないほどInference回数があった時代とは異なる。
本格運用
本格運用では、TwilioやAWSのような有料Turnサーバーの利用が必須となり、映像配信や複数ユーザー対応では、同時接続数に応じたサーバーインフラの整備が必要だ。これにより、開発コストが大幅に増加する懸念がある。
Gradioの貧弱な機能—特にリアルタイム処理やUIの柔軟性の低さ—を補うにはFastRTCが有力な選択肢だが、クライアントサイドでの処理強化のためにOnnxを使ったJavaScript連携も視野に入れる必要がある。
一方、最近登場したsmolagentsがAIエージェント分野で注目を集めており、軽量かつ手軽な音声サービス構築プラットフォームとしての可能性を示している。
FastRTCと組み合わせれば、音声ベースのリアルタイムデモがより簡単に実現できるかもしれない。
結論
結論として、FastRTCは小規模な技術デモには十分な価値を持つが、本格的なサービス展開にはサーバー環境の整備やコスト管理が不可欠だ。今後は、smolagentsとの統合も含め、さらなる検証が必要だろう。
ただ、開発陣の注力が、音声・特に携帯電話での通話のように思える。Gradioユーザーが期待する、映像出力は豊富なPythonライブラリーから自分で選択していかないといけない。