『ざつ旅』『ぽんのみち』は尾道の観光に影響を与えたか テキストマイニングに挑戦
この記事は、大学の課題で挑戦したものをブログ用に再調整したものです。
はじめに
広島県尾道市は観光都市として知られていますが、歴史を見ていくと、現在でいう「コンテンツツーリズム」のかなり早い段階の事例だったのではないかと考えられます。そして、現在の尾道もそのような系譜を継いでいるようにみられます。
今回は、旅アニメ『ざつ旅-That's Journey-』の放送に際して第8旅に登場する尾道に、SNS投稿データを使って「尾道とコンテンツツーリズム」の関係を「ワードクラウド」と「共起ネットワーク図」を通して分析することで、観光都市にとってアニメで取り上げられるということはどういうことかについて考えてみました。
尾道とコンテンツツーリズム
映画の街・尾道
尾道は、大林宣彦監督の「尾道三部作」をはじめとして、多くの映画の舞台になってきました。
そのため尾道は「映画の街」として知られています[1]。
また玉井(2009)[2]では、江戸時代の歌枕からアニメ『かみちゅ!』の聖地になるまでを歴史的に分析しています。
つまり尾道の場合、コンテンツツーリズムの流れはかなり古く、尾道を語るうえで「作品の舞台」という要素はかなり重要だと言えそうです。
近年の尾道舞台作品
尾道は現在でも多くの作品の舞台になっています。
例えば次のような作品です[6]。
- アニメ『ぽんのみち』
- アニメ『ざつ旅-That's Journey-』
- 映画『リライト』
- ゲーム『龍が如く6』
また、『はるか咲きそふ、刻どきの』の単行本化も発表されており[7]、尾道を舞台にした作品は今も増え続けています。
仮説
尾道は長い間コンテンツツーリズムの土壌を持っている都市です。
そのため、今回は次の仮説を立てました。
仮説
近年の尾道舞台作品も、尾道への観光意欲を生み出している。
調査方法
データ
今回は特にアニメに注目して分析します。
検索ワードは「尾道」です。
対象期間は
2025年6月15日〜6月19日
これは、アニメ『ざつ旅-That's Journey-』の尾道回(第8旅)が放送された直後の期間だからです。
この期間で、およそ 2000ポスト を対象にしました。
分析方法
今回は次の2つの方法で分析しました。
① 共起ネットワーク分析
まず、全ポストを使って共起ネットワークを作成します。
ここでは
- 作品関連ワード
- 旅行関連ワード
のつながりがあるかを確認します。
もし
作品 → 観光関連ワード
というつながりが見えれば、コンテンツが観光意欲を生み出している可能性があると考えました。
② 作品別分析
次に
- 『ぽんのみち』
- 『ざつ旅-That's Journey-』
を含むポストに絞って、
- 観光関連ワード
- 聖地巡礼関連ワード
の出現状況を確認しました。
分析結果
共起ネットワーク(全体)
まず、全ポストで共起ネットワークを作成しました。
ストップワードは次の通りです。
amzn co jp be com youtu st s
x X to 2025 月 日 年
/ . # ( ) 1
@ ¥ ¥ @ ,
する れる
15回以上共起したものだけをネットワークにしています。
結果
中心語「尾道」とつながる語を見ると、
- 過去の映画
- 映画作品
などが多く見られました。
特に
- 『リライト』
- 大林監督の作品
などが目立ちます。
つまり、
尾道 × 映画
という関係は現在でもかなり強そうです。
一方で
- 『ざつ旅』
- 『龍が如く6』
などは他の語とのつながりが弱く、観光関連語との関係ははっきり見えませんでした。
聖地巡礼ポストの分析
そこで、「聖地」という単語を含むポストだけを抽出して分析しました。
結果
このネットワークでは
リライト → 聖地巡礼
というつながりが確認できました。
つまり映画『リライト』は観光につながっている可能性があります。
一方で
- 『龍が如く6』
- 『ざつ旅』
とのつながりは見られませんでした。
『ざつ旅』投稿のワードクラウド
次に、『ざつ旅』を含むポストだけでワードクラウドを作成しました。
結果
多かったのは
- 尾道ラーメン
- 階段
- キャラクター名
など、アニメ内容に関する言及でした。
つまり、この時点では
観光よりも作品内容の感想が中心
という印象です。
ただし
- 聖地
- 巡礼
という語も少し見られました。
そのため、完全にアニメツーリズムが起きていないわけではなさそうです。
『ぽんのみち』の分析
放送から時間が経った『ぽんのみち』でも同様の分析を行いました。
結果
ここでは
- 聖地
- 巡礼
- 旅行
- 観光
といったワードが複数見られました。
この結果から、
アニメツーリズムは放送直後よりも、時間が経ってから影響が出る可能性
があると考えられます。
また面白いことに、『ぽんのみち』のポストにも関わらず
- 『ざつ旅』
- キャラクター名
などの語も見られました。
つまり
新しい作品が、過去の作品を思い出させる
という現象も起きている可能性があります。
まとめ
今回の分析から、次のことが分かりました。
- 尾道は今でも映画との結びつきが強い
特に『リライト』は聖地巡礼とのつながりが確認できました。 - アニメの観光影響はまだ小さい
『ざつ旅』『ぽんのみち』では聖地巡礼の言及は少数でした。ただし、完全にゼロではありません。 - アニメツーリズムは時間差で起きる可能性
放送直後よりも、時間が経ってから観光言及が増える可能性が見えてきました。
おわりに
尾道は
- 歌枕
- 映画
- アニメ
と、長い時間をかけてコンテンツツーリズムの都市として発展してきました。
SNSデータを使うと、こうした
「作品 → 観光」
の関係をある程度定量的に見ることができます。
今回はかなり簡単な分析ですが、
- 時系列分析
- 作品別比較
- 観光地名抽出
などを行うと、もっと面白い結果が出そうです。
参考文献
巨人の肩の上へよじ登らさせていただいております。
[1] 内閣府,”第3章 第5節 ケーススタディ1:「映画の街」尾道”,https://www5.cao.go.jp/j-j/cr/cr07/chr07_3-5-3.html ,内閣府,2007(2025年7月28日).
[2] 玉井健也,「聖地」へと至る尾道というフィールド : 歌枕から『かみちゅ!』へ,コンテンツ文化史研究Vol.1,pp22-34,2009.
[3] 鎌谷悠希,しまなみ誰そ彼 1,小学館,2015.
[4] ぽんのみち製作委員会,IIS-P,ぽんのみち,OLM TEAM INOUE,2024.
[5] 石坂ケンタ,「ざつ旅」製作委員会,ざつ旅-That's Journey-,マカリア,2025.
[6] ウィキペディア編集者,”尾道市,”https://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=%E5%B0%BE%E9%81%93%E5%B8%82&oldid=105470742#%E5%B0%BE%E9%81%93%E3%82%92%E8%88%9E%E5%8F%B0%EF%BC%88%E3%83%A2%E3%83%87%E3%83%AB%EF%BC%89%E3%81%A8%E3%81%97%E3%81%9F%E4%BD%9C%E5%93%81 ,ウィキペディア,フリー百科事典,2025年7月4日(2025年7月28日).
[7] 芳文社,“はるか咲きそふ、刻どきの 第1巻”,https://www.dokidokivisual.com/comics/12534/ ,まんがキララWeb,更新日不明(2025年7月28日)
利用ソフト
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