はじめに — 「このファイルを読んでほしい」を、迷わず伝える
Claude Codeに質問するとき、こんなところで止まることがあります。
「READMEについて聞きたいけど、どうやって指定したらええんやろ」
ファイル名を文章で書いても伝わることはあります。でも、同じ名前のファイルが複数あったり、フォルダが深かったりすると、Claude Codeが対象を探すところから始まります。そこで今日使うのが、@メンションです。
Claude Codeの入力欄で@を入力すると、ファイルパスの候補が表示されます。候補から読みたいファイルを選び、そのまま質問を書けます。人に資料を渡すとき、「あの資料」ではなく、目の前の1枚を指さす感じですね。
この記事で扱う機能は、この@ファイルパスメンションだけです。インストールから始めて、練習用のREADME.mdを指定し、1文の説明を返してもらうところまでを10分で進めます。
先に大事な点です。
@は通常のターミナルにコマンドとして打つのではなく、claudeを起動した後のClaude Codeの入力欄で使います。
@メンションとは何か
Claude Code公式のInteractive modeでは、@はFile path mentionとして説明されています。入力すると、ファイルパスのオートコンプリートが起動します。
ここで出てきた言葉を、先にほどいておきます。
-
CLI: ターミナルで文字を打って操作する方式です。Claude Codeは
claudeというコマンドで起動できます。 -
ファイルパス: ファイルがどこにあるかを示す「住所」です。たとえば
README.mdやsrc/app.jsです。 - オートコンプリート: 入力の途中で候補を表示し、選べるようにする仕組みです。
- メンション: ここでは、質問の中で「このファイルです」と対象を示す入力方法です。
つまり@メンションは、Claude Codeへ質問するときに、読んでほしいファイルの住所を候補から選ぶための入口です。
@README.md このファイルの役割を1文で説明してください
この例の@README.md部分は、全部を手入力するより、@を打って表示された候補から選ぶのが基本です。候補を選んだあとに、質問を続けます。
なお、@を付けたから回答が必ず正しくなる、という機能ではありません。対象ファイルを指定しやすくする入力機能です。回答内容は、最後に自分でもファイルと照らし合わせるのが安心です。
なぜ便利なのか — 探し直す1往復を減らせる
Claude Codeは、必要に応じてプロジェクト内のファイルを探してくれます。公式Quickstartにも、プロジェクトのファイルを必要に応じて読むとあります。なので、毎回すべてを指定しないと使えないわけではありません。
それでも@が便利なのは、質問の対象が決まっているときに、その場所を最初から渡せるからです。
たとえば、次の2つを比べてみます。
設定ファイルを説明してください
@config/app.json この設定項目を、初めて触る人向けに説明してください
前者では、どの設定ファイルかをClaude Codeが探す必要があります。後者では、対象を先に絞れます。大きなプロジェクトほど、この小さな指定が「どのファイルですか」という確認や、別ファイルを読んで戻る1往復を減らしてくれます。
便利さの正体は、派手な自動化ではありません。質問のスタート地点をそろえることです。
使う前の準備 — インストールから初回起動まで
ここからは、まだClaude Codeを入れていない状態から進めます。ターミナルを開き、公式QuickstartにあるNative Installを実行します。
macOS / Linux / WSL
curl -fsSL https://claude.ai/install.sh | bash
WSLは、Windows上でLinux環境を使う仕組みです。WindowsのPowerShellを使う場合は、次のコマンドです。
Windows PowerShell
irm https://claude.ai/install.ps1 | iex
インストールできたか確認します。
claude --version
正常なら、バージョン番号と(Claude Code)が表示されます。筆者環境では次を確認しました。
2.1.220 (Claude Code)
バージョン番号は更新で変わります。同じ数字でなくても、claude --versionがエラーにならずClaude Codeのバージョンを表示すれば大丈夫です。
初回は次のコマンドで起動します。
claude
初めて使うときは、ブラウザでのログイン案内が表示されます。公式Quickstartによると、Claude Codeを使うには対象のClaudeプラン、Claude Consoleアカウント、または対応するクラウドプロバイダー経由のアクセスが必要です。画面の案内に沿って認証してください。
ログイン、2段階認証、組織の権限確認が出た場合は、内容を自分で確認して進めます。認証情報を記事のコード例やチャットへ貼り付ける必要はありません。
10分ハンズオン — READMEを@で指定する
いきなり仕事のプロジェクトを使うと不安になりやすいので、まずは練習用フォルダを作ります。次のコマンドを上から順にコピーしてください。
mkdir claude-at-practice
cd claude-at-practice
printf '# Sample App\n\nCSVを読み込み、月次レポートを作る練習用アプリです。\n' > README.md
作れたことを確認します。
ls
Windows PowerShellでlsを使っても一覧を表示できます。README.mdが見えたら準備完了です。
このフォルダでClaude Codeを起動します。
claude
ここから先は通常のターミナルコマンドではなく、Claude Codeの入力欄で操作します。
- 入力欄で
@を1文字入力します。 - 表示されたファイルパス候補から
README.mdを選びます。 - 選んだファイル名の後ろへ、質問を続けます。
完成形は、次のような内容です。
@README.md このファイルの役割を1文で説明してください
送信して、「CSVを読み込み、月次レポートを作る練習用アプリの説明です」のように、READMEの内容に沿った1文が返れば成功です。
確認するのは3つだけです。
-
@を入力したらファイルパスの候補が出た - 候補から
README.mdを選べた - READMEに書いた内容に沿う説明が返った
これで、最初の1ファイルを直接指定できました。大きな設定は要りません。まずこの小さな成功だけで十分です。
動作確認について:
claude --versionは筆者環境で実行済みです。@を使う対話部分は筆者環境では動作未確認で、公式Interactive modeの仕様に基づいています。
同じ@機能を、実務でどう使うか
基本形は「@で対象を選ぶ + そのファイルについて頼む」です。機能を増やさず、質問だけを変えれば使い回せます。
READMEの前提を短くつかむ
@README.md このプロジェクトを初めて触る人が、最初に知るべき前提を3つ挙げてください
設定ファイルの項目を説明してもらう
@config/app.json 各設定項目が何を変えるのか、値を変更せずに説明してください
テストが確認している条件を整理する
@tests/login.test.js このテストが確認している成功条件と失敗条件を分けてください
どれも@の役割は同じです。対象を選ぶところまでを人間が決め、読み解きや整理をClaude Codeへ頼む。この分担にすると、「違うファイルを見ていた」という手戻りを減らしやすくなります。
ファイルを直してほしくないときは、依頼文に「変更せずに説明してください」と書いておくと目的が伝わりやすくなります。ただし、実際にどの操作が許可されるかはClaude Codeの権限設定にも関係します。この記事では@だけに集中するため、権限設定の詳細には広げません。
つまずきポイントとよくある質問
@を打っても候補が出ません
まず、次を順に確認します。
- 通常のシェルではなく、
claude起動後の入力欄で@を打っているか -
claudeを起動したフォルダに、目的のファイルがあるか - ファイル名のつづりが合っているか
-
claude --versionが正常に表示されるか
今回の練習なら、Claude Codeをいったん終了した後、次の2行で場所を確認できます。
pwd
ls
Windows PowerShellではpwdとlsのどちらも利用できます。claude-at-practiceの中にREADME.mdが見える状態で、もう一度claudeを起動します。
同じ名前のファイルが複数あります
README.mdが複数あるプロジェクトでは、候補に表示されるパスを見て、フォルダまで含めて選びます。
@docs/README.md この文書の対象読者を1文で説明してください
ファイル名だけでなく、docs/のような途中の住所を見るのがポイントです。
@の後ろに質問を書いてもいいですか
はい。候補からファイルを選んだ後、そのまま目的を書きます。「説明して」だけより、長さ、対象読者、変更してよいかを添えると、望む形に近づきやすくなります。
@README.md 内容は変更せず、セットアップ手順だけを5行以内で要約してください
フォルダ全体を指定する記事ですか
この記事の成功条件は、ファイルを1つ選ぶところまでです。最初から範囲を広げるより、1ファイルで候補表示と質問の流れを確かめるほうが、つまずいた場所を見つけやすいからです。
どんなファイルでも指定してよいですか
いいえ。秘密鍵、アクセストークン、パスワード、個人情報、顧客データを含むファイルは指定しないでください。.envという名前のファイルには認証情報が入ることが多いので、内容を確認できない状態で例に使わないのが安全です。
会社やチームで使う場合は、組織のデータ利用ルールも先に確認します。「技術的に選べる」と「送ってよい」は別の判断です。
@を使わなくてもよいケース
この機能は便利ですが、いつでも必須ではありません。
たとえば、ファイルが数個しかない練習プロジェクトで「このプロジェクトは何をするもの?」と聞くなら、Claude Codeの自動探索で十分なことがあります。質問の対象がまだ分からず、まず全体を調べてほしい場面でも、先に1ファイルへ絞ると視野を狭める可能性があります。
見分け方はシンプルです。
-
対象ファイルが決まっている →
@で指定する - 対象ファイルから探してほしい → 目的を文章で伝え、探索を任せる
もう一つの限界は、@で正しいファイルを選んでも、質問が曖昧なら回答も広くなりやすいことです。「誰向けに」「何を」「どの長さで」「変更するかしないか」を一言足すと、やり直しを減らせます。
まとめ — 今日は1ファイルを指せれば十分
Claude Codeの@メンションは、入力欄でファイルパスの候補を表示し、質問の対象を選びやすくする機能です。
使い方は3動作でした。
-
claudeを起動する - 入力欄で
@を打ち、ファイル候補から選ぶ - そのファイルについて質問する
最初から大きなコードベースで試す必要はありません。今日の10分ハンズオンでREADME.mdを1つ指定し、1文の説明が返れば、もう最初の成功です。
次の1アクションは、普段使うプロジェクトのREADME.mdを一度だけ@で指定し、「初めて参加する人が迷う点を1つ挙げてください」と聞くこと。押した後に起きるのは、対象ファイルを探すところではなく、その内容について考えるところから会話が始まる、という小さな変化です。
参考リンク
最終確認日: 2026-08-03
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