「READMEを調べて」と頼んだだけなのに、途中の検索結果やファイルの説明で会話が長くなってきた。
AIエージェントを使い始めると、こんな場面が出てきます。調査は必要。でも、その途中経過を今の会話へ全部持ち込みたいわけではないんですよね。
今回使うのは、Claude Codeの組み込み Exploreサブエージェント だけです。
ExploreへREADMEの調査を任せ、メインの会話では結果の1行だけを受け取ります。この記事のゴールはひとつです。
練習用READMEをExploreサブエージェントに調べてもらい、
readyと返ってきたら成功
設定ファイルは作りません。MacまたはLinuxで、10分ほどで試せる一本道に絞ります。
Exploreサブエージェントとは
まず、言葉をゆっくり整理しましょう。
- AIエージェント: 質問へ答えるだけでなく、目的に合わせてファイルを読んだり、道具を使ったりしながら作業を進めるAIです。
- Claude Code: ターミナルから使えるAnthropicのAIコーディングツールです。
- CLI: Command Line Interfaceの略で、ターミナルへ文字を打って操作する方式です。
- ターミナル: パソコンへ文字のコマンドで指示を出すアプリです。macOSなら「ターミナル」アプリが最初から入っています。
- リポジトリ: プログラムや説明書など、プロジェクトのファイルをまとめて管理する場所です。今回は練習用フォルダを小さなリポジトリの代わりに使います。
- コンテキスト: AIがその作業中に参照する会話や情報の範囲です。
- サブエージェント: メインのAIから特定の仕事を任され、別のコンテキストで作業して結果を返すAIです。
Claude Codeには、最初からいくつかの組み込みサブエージェントがあります。そのうちExploreは、コードベースの検索と分析に向いた読み取り専用のサブエージェントです。公式ドキュメントでは、WriteとEditは拒否され、ファイル探索、コード検索、コードベース調査に使うと説明されています。
イメージとしては、メインの会話が会議室、Exploreが調査室です。
会議室にいるClaudeへ「この点だけ調査室で確認して、結論を返して」と頼む。Exploreは別室でファイルを探し、結果をメインの会話へ戻します。調査途中の大量の情報をメインの会話へ抱え込みにくい。ここが最初に感じてほしい価値です。
なぜ便利なのか
たとえば、数十個のファイルから「公開前に確認すべき設定」を探すとします。メインのClaudeが検索結果を一つずつ抱えるより、探索をExploreへ分けて、必要な結論だけ戻してもらう方が会話の焦点を保ちやすくなります。
人間が決めるのは、次の3点です。
- どの調査を切り出すか
- どんな形で結果を受け取るか
- 返ってきた結果を信頼してよいか
Exploreへ任せるのは、ファイルを探し、指定した情報を読み取り、短く報告するところです。
つまり、判断まで丸ごと手放す機能ではありません。調査を分け、最終判断は人間が持つ。この距離感が、AIエージェントを安全に使い始めるときに大切かなと思います。
事前準備
対象環境
この記事はMacまたはLinuxを対象にします。Claude CodeはWindowsにも対応していますが、最初の手順を一本にするため今回は広げません。
また、Claude Codeの利用には対象のClaude契約、Claude Console、または対応するクラウドプロバイダーの利用環境が必要です。契約や画面は変更されることがあるため、初回起動時に表示される案内と公式ページを確認してください。
Claude Codeをインストールする
すでにclaudeを使える方は、この節を飛ばして大丈夫です。
通常のターミナルで、公式Quickstartに掲載されているネイティブインストーラーを実行します。
curl -fsSL https://claude.ai/install.sh | bash
インストールできたか確認します。
claude --version
筆者の確認環境では、2026年9月6日時点で次の表示でした。
2.1.260 (Claude Code)
版は更新で変わります。同じ数字でなくても、バージョン番号とClaude Codeが表示されれば次へ進めます。
初回ログインを済ませる
通常のターミナルで、Claude Codeを起動します。
claude
初回はブラウザで認証を求められます。画面の案内に沿ってログインしてください。認証が終わったら、Claude Codeの入力欄で次を入力していったん終了できます。
/exit
10分ハンズオン
既存プロジェクトには触れません。ダミーデータだけを置いた練習用フォルダで試します。
1. 練習用フォルダを作る
通常のターミナルで、次の3行を順に実行します。
mkdir -p ~/claude-explore-practice
cd ~/claude-explore-practice
pwd
最後に、次のような場所が表示されれば準備できています。
/Users/your-name/claude-explore-practice
your-nameの部分は人によって違います。記事と同じ文字へ直す必要はありません。
2. 練習用READMEを作る
同じ通常ターミナルで、次をそのまま実行します。
printf '# Launch Checklist\n\nOwner: sample-team\nStatus: ready\nNext: review\n' > README.md
内容を確認します。
cat README.md
次の4行が表示されます。
# Launch Checklist
Owner: sample-team
Status: ready
Next: review
すべてダミーデータです。顧客名、APIキー、パスワードなどの秘密情報は練習ファイルへ入れないでください。
3. Claude Codeを起動する
まだ~/claude-explore-practiceにいる状態で、通常のターミナルへ次を入力します。
claude
ここから入力場所が変わります。シェルの通常ターミナルではなく、起動したClaude Codeの入力欄へ文章を入れます。
4. Exploreサブエージェントへ調査を任せる
Claude Codeの入力欄へ、次の依頼文を貼り付けます。
組み込みのExploreサブエージェントを1つだけ使ってREADME.mdを読んでください。`Status:`の後ろの値だけを返してください。ファイルは編集しないでください。
この依頼文では、4つの条件を明示しています。
-
Exploreサブエージェント: 誰へ調査を任せるか -
1つだけ: 今回の練習範囲 -
README.md: 調べる対象 -
Status:の後ろの値だけ: 返してほしい結果の形
Claude Codeは必要に応じてサブエージェントへ自動委任できますが、最初の練習では名前を明示した方が、何を体験しているか分かりやすいと思います。
5. 成功を確認する
最終結果に次の値が含まれていれば成功です。
ready
画面にはExploreの処理を示す行や補足が表示される場合があります。表示形式は版や設定で変わりうるため、今回は見た目の完全一致を成功条件にしません。
READMEを別の調査役へ読ませ、目的の値をメインの会話で受け取れたか。ここだけ確認します。
念のため、Claude Codeを/exitで終了してから、通常のターミナルでファイルが変わっていないことも確認できます。
cat README.md
Status: readyが残っていれば大丈夫です。Exploreは公式に読み取り専用とされていますが、最後を自分の目で確認すると、機能の境界がより分かりやすくなります。
今回、何が起きたのか
今回の流れは、かなり小さいです。
あなた
↓ READMEのStatusを調べて
メインのClaude
↓ Exploreへ調査を委任
Exploreサブエージェント
↓ READMEを読み取り
メインのClaude
↓ 結果を整理
あなた
← ready
サブエージェントは別のコンテキストで作業します。そのため、調査用に読んだ内容をメインの会話へすべて並べず、必要な結果を戻せます。
ただし、Exploreは単なるコピーではありません。公式ドキュメントによると、組み込みExploreは親セッションの権限を引き継ぎつつ、読み取り専用の道具に制限されます。また、速度とコストを抑えるため、CLAUDE.mdと親セッションのGit statusを読み込まない仕様です。
もしREADMEの判断にCLAUDE.mdの独自ルールが必須なら、依頼文へ必要な前提を明記するか、Exploreが適切かを見直してください。
つまずきポイント
1. claude: command not foundと出る
Claude Codeが未インストールか、インストール先へパスが通っていない可能性があります。ターミナルを閉じて開き直し、次を確認します。
claude --version
まだ見つからない場合は、記事末尾の公式Setupを確認してください。
2. ログイン画面から進めない
Claude Codeは利用可能なアカウントまたはAPI環境が必要です。ブラウザの認証画面と契約状態を確認します。APIキーや認証トークンをREADMEやClaudeへの依頼文へ貼る必要はありません。
3. README.mdが見つからないと言われる
Claude Codeを起動したフォルダが違う可能性があります。いったん/exitで終了し、通常のターミナルで確認します。
cd ~/claude-explore-practice
pwd
ls
README.mdが表示されたら、同じ場所でclaudeを起動し直します。
4. Exploreへ委任されたのか分からない
依頼文に組み込みのExploreサブエージェントを1つだけ使ってまで入っているか確認します。Claude Codeはタスクに応じて委任を判断するため、曖昧な依頼ではメインのClaudeが直接読む場合があります。
それでも表示だけで判断しにくいときは、結果が正しいかを先に確認してください。サブエージェントの表示方法は版によって変わる可能性があります。
5. ready以外が返る
まず通常のターミナルで元ファイルを確認します。
cat README.md
Status: readyでなければ、ファイル内容が記事と違います。値が正しいのに別の答えが返った場合は、次のように対象をさらに絞って頼み直します。
Exploreサブエージェントを使い、README.md内の`Status:`で始まる1行だけを読み、そのコロンより後ろの文字だけ返してください。
6. 返答まで時間がかかる
サブエージェントは別のコンテキストで作業します。小さなREADMEでは、メインのClaudeが直接読むより準備の分だけ遅く感じることがあります。まずはこの練習を1回だけにし、複数のファイルを探す調査で使うか判断するのがよいと思います。
7. Exploreが使えない
組織や個人の設定で、特定のサブエージェントまたはAgent機能が拒否されている可能性があります。また、環境変数で組み込みExploreとPlanを無効化できる仕様もあります。管理された端末なら設定を勝手に変えず、管理者へ利用可否を確認してください。
限界と、使わなくてよい条件
Exploreサブエージェントは、調査を無料にする仕組みではありません。別のコンテキストでAIが動くため、利用量が増え、結果が返るまでの時間も増える可能性があります。契約ごとの料金や上限は変わりうるため、この記事では金額を断定しません。
また、読み取り専用だから結果が必ず正しい、という意味でもありません。見落としや読み違いは起こりえます。重要な判断へ使うときは、参照ファイルや該当行も返してもらい、人間が原文を確認してください。
そして今回のように、場所が分かっている1ファイルから1行読むだけなら、正直、メインのClaudeへ直接頼む方が速いです。Exploreが効くのは、複数フォルダを横断して探す、調査途中の情報が多い、といった場面です。
反証はシンプルです。
調べる場所が分かっていて、結果も短いなら、サブエージェントを使わなくてよい
迷ったら、「途中の調査情報をメインの会話へ残したくないか」で見分けるとよいかなと思います。残したくないほど調査が大きいならExplore。小さいならメインだけ。この判断だけでも、道具を増やしすぎる失敗を減らせます。
まとめ
Claude CodeのExploreサブエージェントは、コードベースの検索と分析を別のコンテキストへ分ける、読み取り専用の調査役です。
今回やったことは3つだけです。
- ダミーのREADMEを作った
- Exploreサブエージェントを1つ使うよう明示した
- メインの会話で
readyを受け取った
これで、AIエージェントを1体だけ使うところから、仕事を別のAIへ切り出して戻してもらうところまで体験できます。
なお、筆者環境では2026年9月6日にClaude Code 2.1.260の版表示、CLIヘルプ、README作成、シェル構文を実機確認しました。モデル応答を伴うExplore委任はOAuth認証期限切れのため完走できず、動作未確認です。公式仕様と手元で確認できた範囲を分けて記載しています。
今日の一歩は、練習フォルダで上の依頼文を1回だけ試すこと。それでreadyが返れば十分です。
参考リンク
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