はじめに
正直に言いましょう。AIにコードを任せるとき、いちばん怖いのは「頼んだ次の瞬間、もうファイルが書き換わっていた」という感覚じゃないでしょうか。
ちょっと相談したかっただけなのに、気づいたら5つのファイルに手が入っていて、どこがどう変わったのか自分でも追えない…。これ、AIコーディングを始めた人がほぼ全員通る道なんです。わからなくて当然だし、怖くて当然。むしろ、その怖さを感じられる人ほど、慎重で良いエンジニアだと思います。
そこで今日紹介したいのが、Claude Code の「プランモード(plan mode)」 です。ひとことで言うと、「AIにまず計画だけ立てさせて、あなたがOKを出すまで1文字もソースを書き換えさせない」モードです。
この記事は、Claude Code をまだ触ったことがない人・ターミナルにあまり慣れていない人でも、この記事だけでプランモードを1回動かせることをゴールにしています。用語も途中で全部かみ砕いて説明するので、身構えずに読んでみてください。
先に結論だけ置いておきます。
- プランモードは「読むだけ・調べるだけ」の状態。承認するまでコードは書き換わらない。
- 入り方はたった1つ覚えればいい:
Shift + Tabを押すか、起動時にclaude --permission-mode planと打つ。 - 計画ができたら 3択(承認して自動 / 承認して1つずつ確認 / まだ計画を続ける) で答えるだけ。
これだけで、「AIに主導権を全部渡す」から「AIに調べさせて、判断は自分がする」に変わります。では、順番に見ていきましょう。
この記事のコマンド・挙動は Claude Code 公式ドキュメント(Permission modes / Interactive mode)で確認したものです。読んだページは末尾の「参考リンク」に置いています。
プランモードって、そもそも何?
まず言葉をそろえます。ここだけ丁寧にいきます。
- CLI(シーエルアイ)… ターミナル(黒い画面)に文字でコマンドを打って操作する方式のこと。Claude Code はこのCLIとして動きます。
- Claude Code … ターミナルの中で動く、Anthropic のAIコーディング相棒。ファイルを読んだり、コードを書いたり、コマンドを実行したりを、会話しながらやってくれます。
- パーミッションモード(permission mode) … 「Claudeが、あなたに確認を取らずにどこまで自分で動いてよいか」を決める設定。日本語にすると「権限モード」。プランモードは、このモードの1つです。
Claude Code は、ファイルを編集したり、シェルコマンド(ターミナルの命令)を実行したり、ネットにアクセスしたりする前に、基本は「これやっていい?」と一度あなたに聞いて止まります。この「止まって聞く頻度」を切り替えるのがパーミッションモードです。
その中でプランモードは、こういう性格を持っています。
プランモード=Claudeは調べて「変更案(計画)」を作るけれど、実際の編集はしない。 ファイルの読み取りや、探索のためのシェルコマンドは動くけれど、あなたが計画を承認するまで、ソースコードへの編集はブロックされる。
ここが大事なので、もう一度言い換えます。プランモードのClaudeは、
- あなたのコードを読む(OK)
- 状況を調べるためにコマンドを走らせることはある(探索のため)
- でも、あなたのソースファイルは書き換えない(承認するまで禁止)
つまり「いきなり手を出さず、まず作戦会議の紙を1枚出してくる」状態です。この紙を見て、あなたが「よし、これで進めて」と言って初めて、Claudeは手を動かし始めます。
なぜ便利なのか — 主導権が人間に戻る
「編集させないなら、意味なくない?」と思うかもしれません。ここが面白いところなんです。
プランモードの価値は、「実装のスピード」ではなく「レビューの主導権」 にあります。ふつうにお願いすると、AIは「調べる→書き換える」を一気にやってしまうので、あなたが差分を見るのは全部終わったあと。もう変わってしまった後のレビューは、正直しんどい。
プランモードだと順番が変わります。
- Claudeが先に調べる(関連ファイルを読み、影響範囲を把握する)
- Claudeが**「こう直します」という計画を出す**
- あなたが計画の段階でレビューする
- 納得したら承認 → そこから実装が始まる
この「実装の前に計画を読める」というのが効きます。方針が違っていたら、1行も書き換わっていない安全な状態で軌道修正できる。やり直しのコストがほぼゼロなんです。
しかもプランモードのClaudeは、計画を書くために先にコードを読んで探索します。だから出てくる計画は、あてずっぽうじゃなくて「実際のあなたのコードを見たうえでの計画」になる。ここも地味にありがたいポイントです。
大きめの変更や、よく分かっていないコードベースを触るとき、「まずプランモードで様子を見る」というのは、すごく理にかなった最初の一手なんです。
使い方 — 入り方は3通り、どれか1つでいい
では実際に使ってみましょう。まだインストールしていない人向けに、確認からいきます。
Step 0: Claude Code が入っているか確認する
ターミナルを開いて、次を打ってみてください。
claude --version
バージョン番号(例: 2.1.xxx)が表示されればインストール済みです。command not found と出たら、まずインストールが必要です(公式の案内に沿ってセットアップしてください。この記事はインストール後を前提に進めます)。
入り方その1: セッション中に Shift + Tab
Claude Code を起動して会話している最中に、Shift + Tab キーを押すと、モードが順番に切り替わります。
default(Manual: 毎回確認) → acceptEdits(編集は自動でOK) → plan(プランモード)
Shift + Tab を押していって、画面下のステータスバーに
⏸ plan mode on
と出れば、プランモードに入れています。この ⏸(一時停止マーク)が「今は手を止めて計画中ですよ」の目印です。
プランモードから抜けたいときは、もう一度 Shift + Tab を押せばOK。計画を承認しないままモードだけ戻せます。
入り方その2: この1回だけプランモードにする /plan
「今回のお願いだけ、計画から入りたい」というときは、プロンプト(Claudeへの指示文)の先頭に /plan を付けるだけです。
/plan ログイン画面のバリデーションを追加したいんだけど、どう直すのがいい?
こうすると、その1プロンプトだけプランモードで動いてくれます。
入り方その3: 最初からプランモードで起動する(今日のおすすめ)
いちばん分かりやすいのがこれ。起動する時点でプランモードを指定します。
claude --permission-mode plan
--permission-mode(パーミッションモードを指定するオプション)に plan を渡すと、最初からプランモードで立ち上がります。「気づいたら書き換わってた」が構造的に起きないので、はじめての人はこれが安心です。
計画ができたら — 承認は3択
Claudeが計画を出し終えると、「どう進める?」と聞かれます。選択肢は基本この3つです。
| 選択肢 | 意味 | こんなとき |
|---|---|---|
| Yes, and use auto mode(auto が使えない環境では「Yes, auto-accept edits」と表示) | 計画を承認して、以降は自動で編集を進める | 計画に完全に納得していて、任せたいとき |
| Yes, manually approve edits | 計画を承認して、編集は1つずつ自分で確認する | 承認はするけど、変更は都度見たいとき |
| No, keep planning | まだ承認しない。プランモードのまま、修正を伝える | 計画に直したい所があるとき |
迷ったら、はじめは真ん中の 「Yes, manually approve edits(1つずつ確認)」 がおすすめです。承認はするけど、実際の編集はまた1個ずつ見られるので、二重の安全網になります。
計画そのものを自分の手で書き換えたいときは、承認画面で Ctrl + G を押すと、計画をお使いのテキストエディタで直接編集できます。「ここは触らないで」「この順番でやって」と、計画に赤入れしてから進められるわけです。
そして 「No, keep planning」 を選べば、1文字も書き換わっていない安全な状態のまま、「いや、そこはこうして」と会話で直していけます。納得いくまで計画を練り直せる。これがプランモードの一番おいしい使い方かもしれません。
最初の10分 — 手を動かしてみる
言葉で分かった気になるより、1回動かすのが速いです。10分でできる流れを置いておきます。
1. 練習用の空フォルダを作って移動する
mkdir claude-plan-practice
cd claude-plan-practice
2. プランモードで起動する
claude --permission-mode plan
画面下に ⏸ plan mode on が出ていることを確認します。
3. 何か「変更」を頼んでみる
いきなり本番のコードでやるとドキドキするので、練習ではこんな粒度で十分です。
このフォルダに、簡単なTODOリストのHTMLを1ファイル作りたい。
どういう構成で作るか、先に計画を出して。
プランモードなので、Claudeはいきなりファイルを作りません。「こういうファイルを、こういう中身で作ります」という計画を先に出してきます。
4. 計画を読んで、3択で答える
出てきた計画を眺めて、「うん、それでいい」と思ったら承認。「いや、CSSは別ファイルにして」と思ったら No, keep planning で伝える。ここで初めて、「AIに調べさせて、判断は自分がする」という感覚が体でわかります。
この「起動 → 頼む → 計画が出る → 3択で答える」を1周できたら、もうプランモードはあなたのものです。おめでとうございます。最初の一歩は、これでクリアです。
毎回プランから始めたくなったら — 既定にする
使ってみて「これ、毎回プランから入りたいな」と思ったら、プロジェクトごとに既定のモードにできます。プロジェクト直下の .claude/settings.json(Claude Code の設定ファイル)に、こう書きます。
{
"permissions": {
"defaultMode": "plan"
}
}
こうしておくと、そのプロジェクトで claude を起動するたびに、最初からプランモードで立ち上がります。毎回 --permission-mode plan と打たなくてよくなる。「怖いから慎重にいきたい」が、設定ファイル1つで習慣になります。
つまずきポイント / よくある質問
Q. 本当に1文字も書き換わらないの?
A. プランモードの間、ソースコードへの編集はブロックされます。承認するまで書き換わりません。ただし後述のとおり、「調べるための読み取りやコマンド」は動くことがあります。
Q. 「編集しない」のに、コマンドが動くのはなぜ?
A. Claudeは良い計画を立てるために、まずコードを読んで状況を調べます。この探索のための読み取りやシェルコマンドは走ることがあるんです(環境設定によっては、その都度確認を求められます)。なので「プランモード=完全に何も動かず固まる」ではありません。書き換えは止まっているけれど、調べる手は動いている、という理解が正確です。
Q. acceptEdits モードと何が違うの?
A. ぜんぶ「パーミッションモード」の仲間ですが、性格が逆です。ざっくり比べると:
| モード | 編集をどう扱うか | 向いている場面 |
|---|---|---|
default(Manual) |
毎回「やっていい?」と確認 | 最初のうち・慎重にいきたい作業 |
acceptEdits |
編集を自動でOKにして進める | あとで git diff でまとめて見たいとき |
plan(プランモード) |
編集せず計画だけ出す。承認まで書き換えない | まず方針を確認したいとき・不慣れなコードを触るとき |
acceptEdits が「どんどん書いて後で見せて」なら、plan は「書く前にまず相談して」。真逆ですね。
Q. 最近、既定のモードが変わるという話を聞きました
A. 公式ドキュメントには、2026年8月14日から、Pro / Max / Team プランの新規セッションでは auto モード(許可の確認をほぼ挟まずに進むモード)が既定になると書かれています(モードはいつでも切り替え可能で、自分で既定を設定している場合はそのまま維持されるとのこと)。だからこそ、「今、自分はどのモードにいるのか」をステータスバーで確認できることと、必要な時に自分の手でプランモードへ入れることの価値が上がっていると思うんです。慎重にいきたい作業の前に Shift + Tab。この一手を知っているだけで、ずいぶん気持ちが楽になります。
Q. モードを間違えて入っちゃった。戻せる?
A. Shift + Tab で巡回しているだけなので、もう一度 Shift + Tab を押せば別のモードに移れます。承認していなければ、コードは書き換わっていないので安心してください。
こういう時は、無理に使わなくていい(反証)
最後に、正直な話も置いておきます。プランモードは万能じゃありません。使わないほうが早い場面もあります。
- 小さくて確定しているタスク(タイポの修正、1行のリネームなど)。計画を挟むほうがまどろっこしいことがあります。方針が明らかなら、そのまま頼んだほうが速い。
- そもそも編集させない調べ物(「この関数どこで呼ばれてる?」など)。書き換えが発生しないなら、プランモードのありがたみは薄いです。
- 前述のとおり、プランモードでも探索の読み取りやコマンドは走るので、「起動した瞬間に完全に固まって何も起きない」わけではありません。ここを勘違いすると「思ったより動くじゃん」と面食らいます。
見分け方はシンプルです。「これ、方針をまず確認したい変更かな?」と一瞬でも思ったら、プランモードの出番。 逆に「もう答え決まってるな」なら、素直に頼んでOK。この線引きさえ持っておけば、プランモードはとても頼れる味方になります。
まとめ
- プランモードは、Claudeに計画だけ立てさせて、承認するまでコードを書き換えさせないモードです。
- 入り方は3つ。
Shift + Tabで巡回、単発なら/plan、最初から入るならclaude --permission-mode plan。目印は⏸ plan mode on。 - 計画が出たら 3択(自動で進める / 1つずつ確認 / 計画を続ける) で答える。
Ctrl + Gで計画に赤入れもできる。 - 気に入ったら
.claude/settings.jsonのdefaultMode: "plan"で既定化して、慎重さを習慣にできる。
「AIに勝手に書き換えられるのが怖い」。その気持ちは、消さなくていいんです。怖いからこそ、まず計画を見る。 プランモードは、その慎重さをそのまま武器に変えてくれる機能だと思います。今日はまず、練習フォルダで1周だけ、動かしてみてください。それが、AIと安心して付き合う最初の一歩になります。
参考リンク(この記事で読んだ公式ページ)
- Claude Code 公式 — Choose a permission mode(Permission modes): https://code.claude.com/docs/en/permission-modes
- Claude Code 公式 — Interactive mode(キーボードショートカット / Shift+Tab・Ctrl+G): https://code.claude.com/docs/en/interactive-mode
- Claude Code 公式トップ(Overview): https://code.claude.com/docs/en/overview
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