何で書いた?
先日、知らない人から「エックスサーバーXServer Advent Calendar 2025 への招待が届きました」ってメールが届きましてね。
それでまあ、せっかくなんで個人的主観に基づいてXserverのこんなところがええで、っていう話でもしようかなと。
レンタルサーバーたくさんある問題
レンタルサーバーの料金、かなり下がりましたよね。この業界だけデフレが続いているように思います。
私が使うレンタルサーバーって、Xserver以外ではロリポップ。
クライアントが使っている関係で触ったことがあるのは、お名前ドットコムのレンタルサーバー。この3つでは相互にサイトの引っ越しとかやる機会が多いです。
ほんのちょっとだけ調べたことがあるのはNTT系列が2社とさくらのレンタルサーバー。
ちょっと毛色が違いますが、WixとかShopifyとかカラーミーショップとかBASEも多少扱ったことあり。
バリューやスター関連は触った事ないです。(安いことは知っている)
ちょいと思い出でも語ろうか
Xserverとロリポップを使う機会が多いのは、かなり昔から知っていたことが大きいです。最初に知ったのはたぶん2000年前後じゃないかと。
当時、ロリポップは月額500円で借りれる個人向けレンタルサーバー。
Xserverはビジネス向けのレンタルサーバーで、月額4000円前後だった記憶があります。
今はロリポップ安いプランは200円台、Xserverは990円なんて料金になっちゃって、レンタルサーバー業界の競争の激しさが垣間見えます。1000円切ったおかげで使いやすくなりましたよね。Xserver。
で、Xserverを選ぶ理由
アクセス集中に強そうだから
実際にどれほどかは知らないんですが、アクセス集中に強そう、ってイメージが強いです。元が企業向けですし。
ロリポップの場合、アクセス集中に弱いって言われてましたんで、今でもあまりその辺強くなさそうなイメージあります。なので、アクセス数少ないサイトならロリポでええか、って感じ。
今はハイスピードプランってのが出来てるんで多分アクセスの集中にも強くなってるんだろうな、って思ってます。一応、このプランで運用しているクライアントもいくつか。
ほなロリポでええんちゃうか?とならないのは、やはりもともと強い所の方が良さそう、ていう、うん、これブランド力ってやつやね。
セキュリティ強そうだから
万一の時がっつり遮断される
昔Xserverの運営から「侵入されてるから遮断したよ」って連絡あったことがありまして。
有無を言わさずサイトが表示されなくなりました。最高でしょ。
サイバー攻撃の被害を受けた経験が乏しいと、何とかサイト公開した状態を続けて対処したいって思っちゃうんですよ。即閉鎖が正しいと分かっていても。人間、弱い生き物なんです。
それに対してXserverはバチンと切ってくれますんで、こちらも腹が決まるってもんです。ええ。たとえクライアントから文句言われても日和れない。「すみませんサイトのシステム入れ替え終わらないと許してもらえないので」って弁解ができる。
ちなみに、侵入レベルがサイトだけならウェブサイトだけ遮断され、htdocs配下のサイトのシステム入れ替えで済みますが、スパムメールの大量発信なんかされたりするとメールサーバーまで遮断されます。最悪同じサーバーに入っている他のクライアントのサイトもメールも含めてドメインごとリセットしないと復旧させてもらえません。メールデータのバックアップ取って全部作り直し。容赦ないです。正しい。
平日だったら電話サポートも使えるんで緊急の時助かります。ただ定時後や週末挟むと作り直しが終わっても復旧させてもらえるのが週明けになったりするので泣く。侵入されるような運用をしたこっちが悪いんだけど、泣く。
なお、WordPressはセキュリティプラグインを使うのと、本体とプラグインの更新を怠らない運用を徹底したサイトでは侵入されたことはありません。
サーバー1つに入れられるクライアントは5件まで、の制限がある。
気付いてない人もいるかもしれないけど、規約で制限されてます。
無制限の方がよくね?って思うかもしれませんが、1サーバー内の他のクライアントにまで影響が及ぶようなヤバ目の攻撃受けた時、サイトの作り直しとかの作業、最大で5件までに抑えられるってことですよ。
もっとも、コスト面では不利になるわけですが。攻撃を受けた後の回復力を考えると必要経費かなと思うわけです。
サブドメインでメールアカウントを作ることが出来るから
他のサービスに対してXserverが優位にあるポイントの一つです。
ロリポップとかはサブドメインに対してメールアドレスを作れません。ロリポ以外にもサブドメインではメールアドレス作れないレンサバはあるみたいです。ヘルプページにサブドメインでメールアカウント作る手順が掲載されてないサービスは作れないのかなと判断してます。
Shopifyでサブドメインでショップを運用しようとしたとき、この制限のせいで苦労したことがあります。
Shopifyは、ショップの問い合わせ用のメールアドレスを登録しないと運用できないようになっています。ところがShopifyにはメールサーバー機能がないので別途メールサーバーを借りなきゃいけません。(意外と追加コストかかるんですよね、Shopify)
で、コーポレートサイトはメインのドメインで構築、ショップをサブドメインでShopifyに作る場合、サブドメインでメールアカウントを作れないと困るわけです。メインのドメインのメールアドレスは登録できません。CNAMEレコードをShopifyによこせってなって、それじゃコーポレートサイト運用できんやんと。
どうしようもないので存在しないサブドメインのメールアドレスをShopifyに登録し、Shopifyの問い合わせフォームは使わず、コーポレートサイトの問い合わせフォームに飛ばすという運用でしのぎました。登録したメールアドレスは問い合わせフォームにしか使わないってのを何度も確認しました。運営からのお知らせメールにも使うとかだと完全に詰み、でしたよ。
Shopifyを使わないにしても、クライアントが将来事業を多角化するなり、ブランドを作るなりして、サブドメインが必要になることがあると思います。その時、問い合わせのメールをメインのドメインでしか作れないというのは、クライアントの事業の制約となってしまうので困るわけです。
こういう心配がXserverにはない。だからできるだけ企業のサイトはXserverの方を使いたいと思うわけです。
外部のドメインベンダーを使いやすいから
Xserverは、ドメインの運用をお名前でもムームーでも、好きなところが使えます。
これがロリポップやヘテムルだと、ムームードメインを使わないとダメってなってます。ロリポップはサーバーメンテナンス後にIPアドレス変わることがあるってんでムームードメインでないと安定した運用ができないらしいです。
他にもサーバーとドメインの運用が強固に紐づけられていて、外部のドメインベンダーは使えないサービスは結構多いです。この点Xserverは自由。素晴らしい。
ちなみにどことは言いませんが某通信会社系列のレンサバの場合、表に出している料金は他と同じくらいの金額。でもドメインは同社系列のベンダーしか使えないうえ、何をやるにも追加費用が掛かるという落とし穴がありました。
例えばサブドメインを作って外部のサーバーにつなげたいとき、DNSレコード編集するには別途月額料金が必要になります。
また、サイトをHTTPS化したくなったとき、無料の Let's Encrypt は証明書の更新をユーザー自身が手動で行うか、スクリプト組まないといけないため、バックエンドの技術が無い中小企業は高額の証明書の契約を追加でやらざるを得ません。このせいでHTTPS化できていない企業さんもありました。
DNS設定の画面が見やすいから
ムームードメインは入力するところがクソ小さいし、お名前ドットコムは言うまでもないですね。ネームサーバーの変更とか本当にこの画面でいいのかと不安になるデザイン。あそこまでひどいデザインってなかなか作れないですよ。
そこ行くとXserverは見やすい、分かりやすい。良いデザインです。
SPF, DMARK設定が分かりやすいから
ロリポップとムームードメインは微妙に怪しいです。あのGoogleによるSPF未設定メール全部拒否ショックのとき、SPF設定はできるけど、DKIM設定どこでやるん?値は?って状態だったんですよ。「DKIM設定できます!」って言っておきながら、設定値の情報がどこにも書かれてなかった(それで一部のクライアントさんはSPF設定だけでDMARK対応してないんだけど、今どうなってるんだろ?)。期限ぎりぎりでの対応だったし。エンジニアさんはお疲れさまでした。
初心者・素人向けのサービスだからややこしいのは見せたくないのかもしれないけど、この辺、ちゃんと情報もあって設定を確認できるXserverの方が上でした。GoogleのSPFショックも、期限に余裕をもって対応済ませてましたよね。
最近、XserverではSPF設定にGmail追加するのもボタン一つでできるようになりました。メールでGoogleワークスペース使う企業さんも多いので、これはすごく有り難い。SPFに複数登録する設定って、正しいか不安になる筆頭なんですよ。失敗したらメール届かなくなるうえ、設定浸透するまで確認できないのも怖い。これをサービス側で用意してくれるのは本当に助かります。
サポートにアクセスしやすいから
お名前ドットコムなんか電話サポートの電話番号徹底的に隠してますよね。「電話サポートありまぁす!」って表ではでっかく宣伝してるのに、サポートページに電話番号が記載されてない。検索しても見つからない。絶対電話サポートなんかしないぞという強い意志を感じます。なお特商法に基づく表示のページにある電話番号がサポートにも繋がる番号となってます。
Wixの場合はチャットボットと不毛なやり取りを何度かやって、「解決しませんでした」ってやらない限り人間は出てきません。その上自動翻訳を使って外国のオペレーターを使っている節があり(それで解決することもあるので今の自動翻訳はスゴイ)、人間が出てきても適切な回答が得られないことも。やり取りはテンポよく行わないと解決済みにされてしまうこともあるので気合い入れてかかる必要があります。
Xserverはこういう面倒くささがないところに好感が持てます。なおロリポも結構丁寧なサポート受けられます。
サポートで一番ひどかったのは、某通信会社系のレンサバ。ドメインのHTTPS化にえらいコストがかかるのでお名前あたりで管理しようと、Aレコード、MXレコードの設定値をメールサポートに問い合わせたら、「それはサポートの範囲外です」とだけ返信が来て呆れたことあります。技術力が無いのか仕事したくないのかって思っちゃいましたよ。たくさん調べた結果、ロリポみたいに同じグループのドメインベンダーしか使えないって事らしいと分かりましたが、もうちょっとこう、コピペ返答ではなく「規約外部のドメインサービスの利用は認めてないのでお教えできません」ってな日本語使えないんですかね?殿様商売の神髄を見ました。
Xserverの少し残念なところ
初心者がXserver使うと面食らう
元がビジネス向けって由来があるからか、すごくいろんな機能が提供されてるんですよ。
メニューが豊富すぎて、初心者には扱いが難しい。メニューの8割くらい触った事ない。オーバースペック感強し。
引っ越しを伴うリニューアルでは構築中のサイトの確認がちょっと大変
ドメインがよそで使われているので、製作中、本番サーバーで正常に表示されるのか確認するには、パソコンのhostsファイルを編集しないといけません。慣れれば平気だけど、初めての人は自分のパソコンのシステムファイル(?)を触るので少しビビります。
この辺、お名前ドットコムが非常にうまいやり方してまして。あそこはテストサイトで構築させて、その後ボタン一つでテストサイトを本番サーバーに移行させるんですよ。hostsファイルの書き換えとかしなくていい。クライアントに製作中のサイトを見せやすい。数少ないお名前ドットコムの良いところです。
Xserverの場合、クライアントに製作中のサイトを見せたければ別途テストサイトを作る必要があります。
jpドメインの制限
最安値のスタンダードプランだとjpドメインの契約が出来ません。もっとも、ドメインの契約は外部サービス使えるんで、契約はよそでやってNSレコードをXserverにするのはできます。なのでそれほど大きな問題はありません。
ドメイン管理を外部に移すときちょっと怖い
Xserverでドメイン契約して、そこで管理しているところから、外部に移すときって、移管前に契約を解除しないといけないみたいなんですよ。スタードメインも同じパターンなんですが、これ結構怖くて。
一番注意しないといけないのは、移管作業開始前に、whois情報に登録したメールアドレスがちゃんと使えるものでないと、詰むってところ。できれば移管作業者のメールアドレス(できれば移管するドメインとは別のアドレス)に書き換えておきたい。
ここの情報が古かったりして誰もアクセスできないメールアドレスだったりすると、移管の承認メールがどこにも届かない、承認ができない、ってパターンになります。なのに解約はされてるんで、whois情報の変更もできない。スタードメインなんかは再契約してwhois情報を修正することもできない。デッドロックに陥ります。
ドメインの有効期限が切れた後なぜか移管手続き進行して完了しましたが、心労ヤバいです。
移管元の管理者がwhois情報の確認を怠ってたりするとこれが発生します。金づるが無くなって気に入らんのかもしれないがプロなら最後まで責任持て。
おわりに
Xserverは最安値のサーバーではないけど制約も少ないしセキュリティもサポートもしっかりしているので、企業向けレンタルサーバーとして個人的にかなり信頼しています。
それだけに、クライアントのサイトの保守管理を他社から引き継ぐ際、すでにXserverが使われていると半泣きになります。どこのレンタルサーバーでもそうなんですが、同一のレンタルサーバーでサイトの引っ越しって基本できないんですよ。やろうとすると必ずダウンタイムが発生します。
だれかXserver並みのレンタルサーバー知ってたら教えてください。ロリポじゃ少し不安あるしお名前はダークパターン山盛りなんで使いたくないんですよ。