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コメントへの恐怖に立ち向かう 〜少しずつ使ってもらうために〜

Last updated at Posted at 2019-12-24

みなさまこんにちは。
こちらは、Atlassian製品のTipsを紹介するAdvent Calendar 2019 の 12/25分での投稿となります。

小ネタではありますが、技術というよりは「利用してもらうための仕掛けづくり」の1つとして、ご覧いただけると幸いです。

はじめに

タイトルには「コメントへの恐怖に立ち向かう」とありますが、QiitaでなくConfluenceという情報共有ツールの運用に関わるお話になります。ご容赦くださいませ。

課題: オープンな情報に対してのリアクションへの不安

過去、全社向けの情報共有ツールを導入し、スタッフのみなさんに楽しく使ってもらいたいと、いろいろと画策するお仕事をしておりました。(あんまり設計力とかは無いのですが...)

小さな取り組みを踏まえて、情報共有の課題として見えてきたものに、こんなものがありました。

オープンな情報に対してのリアクションへの不安

業務としてできるだけ多くのスタッフに公表したい情報は持っている。
書かなくてはいけないという認識、書くことへの意義も認識もある。
この情報共有ツールの意義や利便性も認識している。

でも、なかなか書けない
なぜ?

コメント欄で何かネガティブな意見がついたりしないか。炎上したりしないか」という不安。
これが1つ大きな障壁でした。

課題に対するアプローチ

わたしに限って言うと、こういったツールに長く関わっていた関係で、情報共有・公開に関しては抵抗があまりありません。
ただし、文化や業務内容が違う、普段扱う情報が違うのですから、「好きに書き込んでいいよ!でもできるだけオープンにね!」と言ってもなかなか難しいですよね。(今にして思うと、だいぶ無謀だったなと反省しています)

今時のツールに置き換えて考えると、数百、数千人いるSlackの「#general」チャンネルに書き込むこと、に近いかもしれません。
あるいは全校集会、全社集会で一人で全員の前でお話をするとか、に近いでしょうか。

基本機能で: 公開範囲について選択肢を用意する

この点については、「まずはツールに慣れてもらう」ことを優先して、いくつか公開範囲を設定できるようにしたりと、各自選択できるようにし、そのための説明会、FAQなども用意していきました。

詳しくはこちら。 (公開範囲について選択肢を用意する)

基本機能で: コメントできる / できないをスペース単位で設定する

情報の共有の次の障壁は、ネガティブなコメントが出てこないか、といった点。
こちらについては、Confluenceのスペース単位で設定するようにしました。

これから始めたい、スペースを作りたいと言う部署やチームに対し、権限設定についてアドバイスをしたり。

ページ単位でのコメント受け入れを制御したい

前置きが長くなりましたが、本題はここから。

  • Confluenceの利用にも慣れてきた
  • コメントに対する耐性も少しついてきた
  • スペースの設定は基本コメントを許容するように設定した

こういう状況にまで持って行けたものの、やはり掲載する記事によっては、「コメントは受け付けたく無い」というものが出てきました。

例えばこんな理由から。

  • わりと堅めの情報を載せている
  • コメントは募集したいけれど、ページがコメントで埋まってしまうのも見栄えがよく無いので避けたい
  • できれば「コメント専用」のページに誘導したい
  • 担当者が新しく入ってページを作成したのだけれど、まだ慣れてないので、この記事だけコメント受入を無くしたい

コメントのポリシーの違いで「○○部のスペース(コメントなし)」「〇〇部のスペース(コメントOK)」のように、別のスペースを分けるのも煩雑です。

できればページ単位で制御したい。

ただ、その当時は「ページ単位での閲覧制限」はできましたが、「ページ単位でのコメント制限」はできませんでした。
(今はどうでしょう?)

解決策: とりあえずコメント欄を非表示にする

そこで取った方法が、「コメント欄を非表示にするマクロ」を作成し、使ってもらうことでした。

単純にdisplay: noneする

やっている内容は大したことはなく、ページのコメントを表示する領域を、CSSで display: none にすることでした。

わたしたちの使っていたConfluenceはサーバ版だったので、最初はHTMLマクロというHTML (JavaScript, CSS) を本文に記載できるマクロを使ってもらって、display: noneを実施してもらうといったアプローチが取れました。

ただし、これはエンジニア向き。
バックオフィス系の方や、初めて使う方にとっては敷居が高かったりしました。
また、それなりにJavaScriptも埋め込めてしまうので、サーバ版であってもこのマクロは使わせない環境のほうが多いのではないでしょうか。

手軽に実現できるようにマクロを作る

そこで、みなさんに使いやすくするためにマクロ化を作成することにしました。
本文の下に、コメント欄の要素を非表示にするCSSを差し込むといったものになります。

ユーザマクロを登録する.png


マクロのソースコード

マクロのタイトルや属性は、以下の通り。

  • マクロ名: hidecomments
  • 一覧表示名: コメント非表示
  • 説明: コメント欄を隠します
  • カテゴリ: コミュニケーション
  • マクロ本体の処理: マクロ本文はありません
  • 表示設定: マクロ ブラウザーはすべてのユーザに表示されます

また、マクロの本文はこのような感じです。 #comments-sectionという要素を非表示にするCSSを差し込むだけ。

テンプレート部分に追記したマクロ内容
## @noparams
<style type="text/css">#com-atlassian-confluence #comments-section { display:none; } </style>

実際に利用してみると

ページ本文を記載したあとに、「マクロの選択」を指定します。

insert-macro.png

そのまま保存すると、コメント欄の要素全体が非表示になります。

after-hidecomment.png

もちろん、ブラウザの開発者ツールでdisplay: noneをオフにすれば、コメント欄は表示されますので、そのあとにフォームからコメントをPOSTすることは可能です。

使われたかな?

さて、「心理的安全性」を持ってもらうための仕掛けのうちの、このマクロ。
実際には、以下の様なケースでの利用が多かった気はします。

  • 公開したページにコメントは募集したいけれど、ページがコメントで埋まってしまうのも見栄えがよく無いので避けたい
  • できれば「コメント専用」のページに誘導したい

この用途で、ページ本文の下部に、「コメント専用のページはこちら」的なリンクを添えておき、実際にはそのリンク先に書き込んでもらうといった形です。

さて、コメントが怖いから...という件。

コメント自体は「コメント作者の名前」も日時もバッチリ出ます。
削除も出来ますけれど、Slackやチャットと違って、わりとまとまったページにログ的に残るわけですから、ページ自体の公開範囲が広いほど、コメントも公開される範囲が広いわけです。

コメントする側の行動も、やはり多くのスタッフに見られるわけですので、性善説に立つとすると、それなりのリテラシーや配慮を持って書いてくれているな、という印象がありました。

用意はしたけれど、そこまで使われなかったみたいです。
だんだんと、書き手、受け手も慣れていった印象がありました。

個人的には、議論の余地がある内容に関しては、コメント、ディスカッションが多くなるのは良いことと考えていますので、安心感を持ってもらうのがマクロの役目だとすると、それだけで十分役割は果たせたかな、と思っています。

まとめ

笑い話と思われるかもしれません。
でも、ユーザさんが選択できることを用意してあげるのは大切かな、と感じています。

また、不安を乗り越えて初投稿して下さった方には、全力でイイねをする、なども自主的に取り組んでいました。

今回紹介したマクロ、使い様によっては、たとえばページの背景に、「たいへんよくできました」とか、「社外秘」なスタンプを表示するみたいなこともできるかもしれません。
テンプレートと組み合わせると、より効果的かもしれませんね。

軽く試しただけですが、こんな感じ。

hanamaru-macro.png


ちょっとした記事ですが、なにかのヒントになれば幸いです。

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