これからの情報伝達手段の在り方について考えてみよう!参加記事になります。
教師は説明する前にプリントを配らない?
学校教員をやっている友人から聞いた話で印象に残るものがありました。
クラスでプリントを配っている最中や、配った直後に説明した話を、生徒はまるで聞いていないと。
先にプリントを配ってしまうと、生徒の意識はそのプリントに向いてしまうため、前で先生がしゃべっていることが耳に入らない。
そのため、聞かせたいことは必ず先に説明し、配布物はその後に配るのだということでした。
己を顧みると、たとえばビデオ会議での企画プレゼン・資料のレビューであっても、導入の前にいきなり資料を画面共有してしまうと、参加者の意識はすでに画面の資料に移っており、そこからこの場で決めたいことは云々と導入の話を始めても受け取ってもらえない、というのはあるあるです。
これらは、ユーザーにいかに必要な情報へフォーカスさせるかという話にも通じるものがあるなと思います。
必要になるまで見せないということ
テレビゲームでも、最初は限られたことしかできない状態でスタートし、ゲームが進むにつれて新たな機能がアンロックされるという作りはよくあります。
レベルアップの報酬を段階的に得られるというメリットだけでなく、プレイヤーが最初に何をすればいいか明確にわかるというのも重要なポイントです。
同じように、たとえばWebサービスをリリースし、新規ユーザーに使ってもらう場合でも、最初から多機能なツールが用意されていると便利かと思いきや、何をすればいいかわからないUIではそもそも使ってもらう前に離脱を招きます。
まずは基本的な使い方にフォーカスさせ、「○○ができたらいいのにな」と思わせたタイミングで、初めてそのための機能を見つけられるようになっているのが理想的です。
従来、たとえば基本設定の数を極力減らし、意図的に開かないと見えない詳細設定に発展的な機能を閉じ込める、といったアプローチがとられてきました。
これからのより高度なアプローチとして、ユーザーの使い方をもとにAIが設定のカスタマイズを提案してくれるとか、ゲームのように自動で必要な機能を段階的にアンロックしていくような仕組みがあっても面白いと思います。
ユーザーからのコンタクトの入り口を明確にする
ユーザーから企業にコンタクトを取りたいと思った場合にも、電話・メール・問い合わせフォーム・SNSなど、複数の手段が用意されていると、かえってどれを使うのが適切かわからず、問い合わせへの心理的ハードルが上がってしまう可能性があります。
最近の企業サイトなどでよく見かけるように、画面右下にbotや担当者とのチャットをすぐに開始できるアイコンがあったりすると、まずそこに送ってみようという気になるので、問い合わせ開始までのハードルは低くなると思います。
(従来は使い物にならないチャットbotが多かったので、かえって離脱を招いていた気もしますが…)
複数のコンタクト手段があること自体は、コンタクトしたくてもできないユーザーを取りこぼすことの防止にはなりますが、かえってコンタクトの導線をわかりづらくしてしまっていないかというのを気にしておく価値はあります。
以上
よかれと思って最初から情報を増やすことが、必ずしもユーザーにとってプラスにはならないという例をいくつか紹介しました。
ソフトウェア開発の文脈でいえば「KISS原則」や「YAGNI」にも通じるものがありますね。