プロジェクトでの進捗確認ミーティングもありますが、進捗を聞くだけに終始してしまいます。「働くこと」にもう少し視野を広げて、いろいろ聞いてみることがあります。1on1です。進捗確認MTGとは別の事柄を聞けます。以前は、1on1で質問される側でしたが、最近は1on1で質問をする側になったので、気づきをメモしておきます。
1on1の目的
1on1の目的は、(私の場合は)「心理的サポートをすること」です。別の言い方をすると、「働くことを通じて自己実現ができそうか/できているかを念頭に置き、会話を通して、精神面や志向についてプラスを大きく、マイナスを小さくするように働きかけること」です。
その上で、①働き方仕事内容の確認、②不安心配事の検知・助言、③成長・改善の意識付けという3つの観点から、プラス面、マイナス面を把握し、プラスを大きくマイナスを小さく働きかけます。
また、1on1をするときの基本的なスタンスは、「味方であること」を意識します。具体的には、「相手の意見を否定しないこと」に尽きるかなと思います。話しやすい雰囲気をつくるためです。
1on1で「工夫したこと」
1on1で質問している内容は以下の通りです。基本的には毎回、同じ質問をしています。定点観測的な意味合いを込めています。
①ポジティブニュースを1つ教えてください。
(自分に起きたことでも、自分以外の出来事でもポジティブに感じられるものならOKです)
②タスクの進捗状況を教えてください。また、仕事量に余裕はありますか?
③業務内容やコミュニケーション面で気になることはありますか?
④体調やメンタルは問題ないですか?
⑤人事目標達成に向けた取り組みなど何か自己研鑽していますか?何かしていることがあったら教えてください。
⑥連絡・確認事項
事前に用意しておく質問は上記6つです。心理的サポートがメインの1on1なので、技術的な質問をストレートにはしません。1人だいたい15分~20分くらいの時間をかけるイメージです。隔週か月に1回くらいのペースで1on1をおこなっていました。
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「①ポジティブニュースを1つ教えてください。」
①の「ポジティブニュース」は、その名の通り「ポジティブなことがら」を聞きます。1on1を始めたころは最後に聞いていたのですが、アイスブレイクとして会議の雰囲気をあっためているような効果があるかなと思って、1on1の最初にするようになりました。
この「ポジティブニュース」の質問がけっこう面白いです。仕事の話でも、プライベートの話でもその人の価値観や人柄がよくでるからです。どこをポジティブに感じているか知っておくと、アドバイスもしやすくなります。このポジティブニュースの話の中で、おすすめをしてくれたりします。こんなサービス便利ですよとか、このコンテンツ面白いですよとか。後日、試してみるとよかったりするので、そこからさらに話がはずんだりします。1on1の場があったまるような実感がありました。
②タスクの進捗状況を教えてください。また、仕事量に余裕はありますか?
技術的なことは1on1で質問しないのですが、働き方に強く関係してくるので、業務業況はしっかり確認します。具体的には、ウォーターフォールモデルでいうどの段階で、どんな役割で、何のタスクをしているのかを確認します。そして、仕事量を確認します。仕事量の多さは、残業時間にも影響してくるためです。残業時間が増えると、精神的なところに問題が発生しやすいです。その後に出てくる「④体調やメンタルは問題ないですか。」という質問の回答と整合性を確認するためにも、残業時間はなるべく聞くようにしています。
仕事量が多いなど何らかの問題があったら、原因を聞いて解決する見込みがあるか、リーダーが把握しているか確認します。ただ、「難しさ」は誰にでもいつでもあるものだと思います。だから、すべてを鵜呑みにするのではなく、解決できそうか、乗り越えられそうかに着目して深堀していきます。心理的サポートが目的なので、考え方や気持ちの観点からの深堀りです。ちなみに、原因をヒアリングために、技術の話をすることは時々あります。
試行錯誤しても解決が難しそうな場合は、プロジェクトリーダーや自分の上長にエスカレーションして、問題が起きていること、解決見込みが立てられていないことを伝えます。もちろん、本人との1on1で経過も聞いていきます。
問題がなければ「順調そうですか?」と念押しを込めて質問します。もちろん問題がないと言っているので、「順調です」と回答が返ってきます。経験が浅ければ、いつも不安に思っている部分があると思うので、「順調であること」を確認することは、「うまくいってるよ」「大丈夫だよ」と肯定することと同義です。自分から「順調です」と応えられると自信にもなると思うので、毎回質問しています。
③業務内容やコミュニケーション面で気になることはありますか?
業務内容で気になることや不安を聞くのは、②の質問の補完する意図があります。②の質問はあくまでも、質問される側の視点で語られる内容です。③の質問では、プロジェクト俯瞰した不安の検知が目的です。
特に、コミュニケーションについての不安はなるべくキャッチしておきたいです。1on1では自分と相手が違うチームにいることが多く、誰とどんなコミュニケーションを取っているのか、見えづらいです。だから、リーダーは誰か、困ったらいつも誰を頼りにしているのか、困ったときにうまくコミュニケーションが取れているかを質問します。
業務内容についてもマイナスがないか確認します。高すぎるハードルを設定されていないか、スケジューリングは適切か、俯瞰して本人の考えを聞きます。
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「大丈夫ですか?」と質問すると、ほぼ「大丈夫です」と返ってくるので、「~について、気になることありますか?」のように質問します。もし気になることがあれば、深堀りします。わかる範囲であれば、アドバイスもします。そして、必要がれば、さらに上の人にエスカレーションしたり、事実関係を確認します。なるべく早く不安の解消に動きたいですね。
④体調やメンタルは問題ないですか?
大事な質問です。健康であることが大前提で、スケジュールが組まれているので、毎回確認したいです。特に、メンタルのことにもしっかり言及したいです。前向きに仕事できているか、が一番大事だと思います。他の質問の回答と整合性が取れているかも気にしておきたいですね。
⑤人事目標達成に向けた取り組みなど何か自己研鑽していますか?何かしていることがあったら教えてください。
自己目標?人事目標?を期初に設定します。目標に取り組んでいるかについても1on1で確認します。何もしないと自己評価は上がらないので、応援する立場として聞きます。例えば、資格取得を目標にしているのであれば、いつ頃テストを受けるのか、勉強は進んでいるのか聞きます。そして励まします。
この質問も聞き出してはいますが、相手へのメッセージを伝える質問でもあります。目標に向かって前向きに取り組んでほしいというメッセージです。自己目標は個人で完結してしまいがちなので、気にかけていて応援していることを伝えられるといいですね。
⑥連絡・確認事項
最後に連絡事項などを伝えます。申請の期限を守りましょうとか、有休取りましょうとか、会社のルールを周知します。会社のルールを守るように意識づけることが目的です。また、申請やアンケートなど期限を日々守れるように軽く念押しします。
1on1で質問する側になって気づいたこと
・事前準備とアドリブ
1on1の難しいところは準備だけでなく、アドリブも必要なことです。聞きたいことを事前に考えておきますが、相手の出方によって質問を変えたり、その場で対応しないといけないことが山ほどあります。話を聞いてこの先どう着地させるか、考えます。
型通りの質問だと砕けた感は出ないし、話を脱線させすぎると聞きたいことをいけなくなるし、、微妙なかじ取りが難しかったりします。「雑談」くらいに思っていたのですが、こんなに考えることがたくさんあるのか、、と驚きました。
1on1の「でき」は、ほぼアドリブにかかっているというのが私の見立てです。事前準備は聞きたいことと、きっかけを考えるくらいです。大事なのは言いやすい雰囲気づくりであったり、話の深堀りにあるので、事前準備でできることは限られてくると思いました。「雑談(1on1)」も質問する経験が必要なようです。
・自分の見られ方
1on1で質問をする方になると、「自分がかなり見られていること」に気がつきます。「○○しているのをみてマネしました/参考にしました」など伝えられることがあるからです。特に、部署やプロジェクト内のビジネスチャットでのやり取りは目につきますし、アウトプットの姿勢は意外とみているようです。
また、自分だけでなく他の人(特に上司になる方々)もよくみているようです。普段の行いには影響力があるんだと気づきました。どうみられるかデザインして日々を過ごすのは大変なので注力するわけではないですが、自覚はもっておきたいですね。
・質問して伝える
ヒアリングして、相手の現状を聞き出していますが、それだけではありません。1on1はこちらの考えを伝える場でもあるので、聞き出しながら伝えています。伝えるのは主に「期待値」です。期待値の内容としては、チームの中での役割であったり、技術レベルであったり、様々です。
1on1では、期待値のすり合わせの場としても機能すると気づきました。進捗ミーティングでは期待値の話をせずに、タスクの進捗状況を話すので、改めて「何を期待しているのか」を伝える場としてうってつけです。上の質問項目には、期待値のすり合わせの質問事項がないので、改善ポイントです(自己研鑽の質問はあくまでも、自分でたてた目標を聞くので、期待値のすり合わせとは意味がずれるかと思いました。)。1on1の中で、期待値を伝える部分がまだうまくできていないと自己分析しているので、もう少し試行錯誤したいです。
・どの立場になっても試行錯誤
質問する側になっても日々分からないことだらけで、調べては考え、、の繰り返しです。周りからの見られ方と自分の見え方にギャップを感じることもあります。社会人になりたての頃のように、どの立場であっても試行錯誤をすることになります。
ただ、どう試行錯誤すればいいのか勘所は少しずつわかるように(イメージしやすいように)なってきたので、効率のよさは実感してきました。また、どう人に頼ればいいかも少しわかってきたので、ふるまい方も経験値がたまってきました。新人の頃ほど試行錯誤にかけられる時間は多くないので、効率の良さ・経験値で今後は勝負することになるのかなと思いました。
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1on1で質問をする側になって、何を質問しようか試行錯誤しました。その時にであったのが↓のnoteの記事です。自分の悩みはすでに誰かが悩んでいるのでは?と気づくようになってから、とにかく似た悩みや解決方法をとくかく検索するようになりました。
207で1年間磨き続けた1on1のフォーマットを公開します
まず、この記事に書いてある内容から自分がやりたいことを抜き出して、質問項目を作成していきました。そして、1on1の回数を重ねながら、順番や質問事項を少しずつ変えてきました。
おわりに
仕事上で一区切りがつきそうなので、ここまでやってきた1on1の試行錯誤をまとめてみました。ただ、まだまだ改善できる部分もありそうです。コーチングやフィードバックをテーマにしたビジネス書も読んでいるところなので、少しずつカスタマイズしてみたいと思っています。同じようにどう1on1を進めるか悩んだ人に届いたら嬉しいです。
最後まで読んでいただいた方、ありがとうございました。