はじめに
前回の記事では、Tool Use と Dynamic Tool Selection について見てきました。
AI エージェントは、Tool Registry に登録されたさまざまなツールの中から、現在のタスクに適したツールを Tool Selection によって選択し、Tool Calling を通じて実行することで、実際のタスクを遂行できます。
しかし、利用可能なツールの数が増えるにつれて、
- ツールごとに接続方法が異なる
- 実装や保守の負担が大きくなる
- 新しいツールを追加しにくくなる
といった新たな問題が発生します。この問題を解決するために登場したのが、「Agent と外部ツールを標準化された方法で接続するための共通プロトコル」である MCP(Model Context Protocol)です。本記事では、
- MCP とは何か
- Tool Use とどのような関係があるのか (It's a must)
- なぜ MCP が必要なのか
- MCPの基本構成
について見ていきます。
MCPとは何か
MCP は Model Context Protocol の略です。MCP は、
Agent と外部ツールを標準化された方法で接続するための共通プロトコル
です。MCP は Agent と Tool の間に共通レイヤーを提供します。
たとえば、MCP を利用することで AI エージェントは次のようなツールと連携できます。
一般ユーザー向け
- Gmail
- Google Calendar
- Google Drive
ビジネス・開発向け
- Notion
- Slack
- GitHub
- Salesforce
これらのツールは、それぞれ異なる API や認証方法を持っています。MCP は、その違いを吸収するための共通インターフェースを提供します。
It's a must
Tool Use とどのような関係があるのか? 現在では、
- Tool Registry
- Tool Selection
- Tool Calling
を支える基盤技術の一つとして、MCP が注目されています。そのため、現在の Agent Engineering において MCP は欠かせない基盤技術の一つになりつつあります。
なぜMCPが重要なのか
ツールは、それぞれ異なる API や認証方法を持っています。
MCPが登場する前の問題
従来は、
- ツールごとに個別実装が必要
- API ごとに学習コストが発生
- 保守コストが高い
という問題がありました。
MCPが解決する問題
MCP はこれらを完全になくすわけではありませんが、Agent とツールの連携を大幅に簡素化しました。その結果、
- 新しいツールを追加しやすくなる
- Tool Use の再利用性が向上する
- Agent 開発の生産性が向上する
といったメリットが得られます。つまり、
ツールごとに異なる実装を繰り返すのではなく、
共通の仕組みを通してさまざまなツールを利用できるようになる
ことが MCP の大きな価値の一つです。
よくある誤解
ここで一つ注意したいことがあります。
- MCP = API を知らなくてよい(×)
- MCP = 接続方法を標準化する(〇)
MCP の本質は、API を知らなくてよいことではなく、
ツールごとに異なる接続方法を標準化することにあります。
MCPの基本構成
MCP は大きく次の 3 つの要素で構成されます。
- MCP Host
- MCP Client
- MCP Server
これらはそれぞれ異なる役割を持ちながら連携して動作します。
MCP Hostとは何か
MCP Host は、MCP を利用するアプリケーションです。 たとえば、
- Visual Studio Code
- Claude Desktop
- Claude Code
- Cursor
などが MCP Host に該当します。 ユーザーは Host を通じて Agent と対話します。
MCP Clientとは何か
MCP Client は、Host と MCP Server の間を仲介するコンポーネントです。MCP Client は、
- 利用可能なツールを取得する
- ツールを呼び出す
- 実行結果を受け取る
といった処理を担当します。つまり、MCP Client は Agent と MCP Server を接続する役割を持ちます。
MCP Serverとは何か
MCP Server はツールへの接続処理を提供します。たとえば、
- Gmail Server
- Google Calendar Server
- Google Drive Server
- Notion Server
- Slack Server
- GitHub Server
- Salesforce Server
などです。MCP Server は、
- 利用可能なツール一覧
- パラメータ
- 実行方法
を Agent に公開します。Agent はこれらの情報を利用して Tool Selection や Tool Calling を行います。
Agent と Tool との関係
前のセクションでは、
という関係を見てきました。しかし、MCP をもう少し詳しく見ると、
Agent はどこにいるのか
Tool はどこにいるのか
という疑問が生まれます。MCP の公式な構成は、一般的に次のように表現されます。
Tool の位置は明らかになりましたが、まだ
Agent はどこにいるのか
は分かりません。実際の Agent アプリケーションでは、MCP Host と Agent が一体となって動作しているケースが多くあります。たとえば、
- Visual Studio Code
- Claude Desktop
- Claude Code
- Cursor
などの MCP Host には、Agent と MCP Client が同居しています。そのため、次のように考えると理解しやすくなります。
このように考えると、
Agent → MCP → Tool
というシンプルな関係と、
Host → Client → Server
という MCP の内部構造を自然につなげて理解できます。
Tool Discovery
MCP と Tool Discovery
ここまで見てきたように、Agent は MCP Client を通じて MCP Server と通信します。しかし、ここで一つ疑問があります。
Agent は利用可能なツールをどのように知るのでしょうか。
Agent は最初から Gmail や Google Calendar、GitHub などのツールを知っているわけではありません。そこで必要になるのが Tool Discovery です。
Tool Discoveryとは何か
Tool Discovery は、
利用可能な Tool を発見する仕組み
を意味します。
(Image created by Author with Nano Banana)
Agent は最初から利用可能なツールを知っているわけではないため、Tool Discovery が必要になります。MCP 環境では、MCP Client が MCP Server に問い合わせることで、利用可能なツールやその情報を取得できます。
(Image created by Author with Nano Banana)
Tool Registryとの関係
Tool Discovery によって発見されたツール情報は Tool Registry に登録されます。言い換えると、
- Tool Discovery → 利用可能なツールを見つける
- Tool Registry → 発見したツール情報を管理する
という役割の違いがあります。その後、
Tool Registry → Tool Selection → Tool Calling
という流れで Agent はツールを利用します。つまり、
Tool Discovery → Tool Registry → Tool Selection → Tool Calling
という一連の流れによって、Agent は適切なツールを見つけて利用できるようになるのです。
まとめ
今回は、AI エージェントを支える基盤技術の一つである MCP について見てきました。利用可能なツールが増えるという問題を解決するために MCP が登場し、Agent と Tool をつなぐ基盤として機能することを見てきました。
前回の記事では、Agent が
Tool Registry → Tool Selection → Tool Calling
という流れでツールを利用することを説明しました。
- MCP Host
- MCP Client
- MCP Server
という構成の MCP 環境では、MCP Client が MCP Server に問い合わせることで、利用可能なツールやその情報を取得できます。そのため、
Tool Discovery → Tool Registry → Tool Selection → Tool Calling
という一連の流れによって、Agent は Gmail、Google Calendar、Google Drive、GitHub、Slack など、さまざまなツールの中から適切なツールを見つけ、統一的な方法で利用できるようになります。
MCP によって、Agent は多様なツールを統一的な方法で利用できるようになりました。これは Tool Use をスケールさせるうえで非常に重要な進歩です。しかし、実際の業務タスクが複雑になるにつれて、今度は別の課題が現れます。
1つの Agent だけで、すべてのタスクを処理するべきなのか。
近年の Agent Architecture では、単一の巨大な Agent にすべてを任せるのではなく、複数の専門 Agent に役割を分担させる構成が増えています。すると今度は、
複数の Agent をどのように安全に協調させるのか
という新たな問題が生まれます。次回は、Agent Engineering におけるもう一つの重要なテーマである Multi-Agent Coordination を取り上げ、複数の Agent をどのように分離し、どのように連携させるべきかについて見ていきます。
付録. Nano Bananaで画像生成に使用したプロンプト
Meta-promptingテクニックを活用して画像生成用プロンプトを洗練(refine)した後、細部を微調整して最終画像を生成しました。実際に使用したプロンプトは以下のとおりです。2つのプロンプトは、AI AgentとMCP(Model Context Protocol)の概念を高校生にも直感的に理解してもらえるよう、教育用途を意識して設計されています。特に「ツールの海」というメタファーと、「Tool Discovery」の流れを可視化する構図によって、抽象的な概念をわかりやすく表現しています。
プロンプト 1
A highly intuitive, 2D vector educational infographic illustration. A friendly white and blue robot (AI Agent), seen from behind (back view), stands at the edge of a cliff or a high platform, looking out at a massive, breathtaking "ocean of practical hardware tools" that stretches endlessly to the horizon. The vast landscape below is filled with countless, neatly arranged but varied physical tools like screwdrivers, wrenches, hammers, pliers, and hand drills, forming a colorful grid or flowing sea of equipment. Above the robot's head, a clear text title reads "The Sea of Tools". The overall design maintains a clean, modern, and simple corporate tech aesthetic, using a bright and friendly color palette perfect for an educational slide or post for high schoolers. High scannability, simple flat design with minimal details.
プロンプト 2
An educational infographic vector illustration explaining "Tool Discovery in MCP" for high schoolers. There is NO main title text at the top of the image. On the left, a friendly robot AI Agent stands holding a digital tablet with a speech bubble that reads exactly: "どんなツール?". On the right, a glowing MCP Server tower displays a clean, visual menu checklist titled "AVAILABLE TOOLS" with a numbered list: 1. Gmail, 2. Google Calendar, and 3. GitHub, each with its official icon and a green checkmark. A large, clear green arrow labeled with the text "TOOL DISCOVERY" connects the AI Agent to the MCP Server, passing through a magnifying glass and gear icon. Bright, modern, simple 2D flat vector design with a clean, light blue visual background.

