はじめに
普段はフルスタックエンジニアとして、フロントからインフラまで一人で面倒を見ています。
ある日、上司から「そろそろチーム増員しないか?予算は確保できるよ」と言われました。正直、ずっと人手が欲しかったんです。設計もコーディングもレビューもテストも全部一人。まあまあしんどい日々でした。
そこで採用活動を始めようとした、まさにそのタイミングで Claude Code を本格的に使い始めました。
結論から言います。
採用、見送りました。
なんでそうなったのか、正直に書いていきます。
Claude Codeとは(5秒で説明します)
Claude Codeは、Anthropic社が作ったAIコーディングアシスタントです。ターミナル上で動作して、コードの読解・記述・修正・テストまで一通りこなしてくれます。
ChatGPTにコードを貼り付けてお願いするのとは根本的に違います。プロジェクト全体を理解した上で、自分でファイルを編集してくれる。ずっとペアプロ相手が隣にいる感覚です。
実際にやった3つのこと
1. 新機能の実装を丸ごと任せてみた
社内ツールに「CSVエクスポート機能」を追加する必要がありました。普通にやったら半日〜1日はかかる作業です。
Claude Codeに「このテーブルのデータをCSVでダウンロードできるようにして」と頼んだところ、APIエンドポイントの作成からフロントのボタン配置まで、40分で動くものが出てきました。
しかもテストコード付きです。自分より丁寧で、ちょっと悔しかったですね。
2. バグ修正を投げてみた
本番環境で「特定の条件でデータが消える」という厄介なバグが発生しました。ログを読んで原因を特定するだけでも、普通は数時間かかります。
Claude Codeにエラーログとコードベースを渡したら、15分で原因を特定して修正パッチまで出してきました。
原因は非同期処理の競合で、正直、自分が見落としていた箇所でした。「お前の方が優秀やん」と思わず声に出ました。
3. 技術選定の壁打ち相手にした
「この規模のサービスならDBはPostgreSQLとMongoDBのどちらが適切か?」という相談を投げてみました。
プロジェクトの要件を踏まえた上で、トレードオフを整理してくれました。新しく入るジュニアエンジニアより、よっぽど頼りになる壁打ち相手でしたね。
採用コストと比較してみた
ここが一番生々しい話です。
| 項目 | エンジニア採用 | Claude Code |
|---|---|---|
| 月額コスト | 60〜80万(給与+社保+福利厚生) | 約3,000円(Pro)〜30,000円程度 |
| 立ち上がり期間 | 1〜3ヶ月(オンボーディング) | 0日(CLAUDE.mdにプロジェクト情報を書くだけ) |
| 稼働時間 | 8時間/日 | 24時間対応 |
| 採用リスク | ミスマッチの可能性あり | なし |
| コードレビュー | 相互レビューが必要 | 自分のレビューだけでOK |
冷静に数字だけ見ると、 「まだ一人でいけるな」 という判断になってしまいました。
最新機能がさらに強い
2026年に入ってから、Claude Codeの進化がえげつないんです。特にこの3つはゲームチェンジャーでした。
Hooks — 自動化の仕組み
Claude Codeには「Hooks」という仕組みがあります。例えば git commit の前に自動でコード品質チェックを走らせたり、セッション開始時にプロジェクトのルールを読み込ませたりできます。
今までは「lint回してからコミットしてね」と人に言わないといけなかったことが、仕組みとして勝手にやってくれる。人に頼むより確実です。
Sub-Agents — 専門家を作る
Sub-Agentsを使うと、Claude Codeに「専門家」を作れます。Markdownファイルに役割と権限を書くだけで、フロントエンド担当、API担当、テスト担当といった専門エージェントが生まれます。
使えるツールや権限を個別に制限できるのもポイントです。「DBは読み取りだけ」「このディレクトリだけ編集OK」といった安全設計ができるので、本番環境に近いところでも安心して使えます。
Agent Teams — これが本命です
2026年に入ってから追加された Agent Teams が、正直一番インパクトがありました。
CLAUDE_CODE_EXPERIMENTAL_AGENT_TEAMS=1
この環境変数をセットするだけで使える機能なんですが、複数のAIエージェントが同時並行で協力して開発してくれます。
Sub-Agentsが「一人ずつ順番に仕事する」のに対して、Agent Teamsは「チームとして同時に動く」。フロントの実装をしている間に、別のエージェントがAPIを作り、さらに別のエージェントがテストを書いている——そんなことが起きます。
実際に社内ダッシュボードの改修で3画面分の変更が必要だったとき、Agent Teamsに投げたら3つのエージェントがそれぞれの画面を同時に修正して、最後に整合性チェックまでやってくれました。人間3人のチーム体制と同じ構図が、ターミナル1つで実現してしまった。
この体験をした瞬間、「エンジニア1人を採用する」という発想自体が古く感じました。AIチームを組める時代に、なんで人間1人を増やす話をしてるんやろ、と。
正直に言います。Claude Codeの限界
ここまで読むと「エンジニアいらんやん」と思うかもしれませんが、限界もちゃんと書きます。
1. 最終判断は人間がやるしかない
Claude Codeが出してきたコードをそのまま本番に入れるのは危険です。レビューする「目」は絶対に必要で、つまりレビューできるレベルのエンジニアが最低1人は必要です。
2. ドメイン知識はまだ弱い
「うちの会社のこの業務フロー、なんでこうなってるの?」という背景込みの判断は苦手です。コードは書けても「なぜこう設計すべきか」のwhy部分は人間の仕事です。
3. コミュニケーション相手にはならない
お客さんとの打ち合わせや、チーム内の合意形成はAIにはできません。仕事はコードだけではないですからね。
結論:「採用しない」のではなく「採用の基準が変わった」
誤解しないでほしいのですが、「人がいらない」という話ではありません。
Claude Codeを使うことで、「単純にコードを書ける人」を増やす必要がなくなりました。その代わりに必要なのは
- 設計思想を持っている人
- ドメイン知識が深い人
- AIの出力をレビューできる人
つまり採用基準が「コードが書ける人」から「AIと一緒に良いプロダクトを作れる人」に変わったということです。
今回は「月額3,000円のAIがいるのに、月80万で"コードを書くだけの人"を雇う理由がなくなった」という、ある意味残酷な話だったかもしれません。
でもこれ、たぶん多くの現場でもう起き始めていることだと思います。
おわりに
Claude Codeは「エンジニアを置き換える」ツールではありません。「エンジニアの定義を変える」ツールです。
これから磨くべきは、コードを書くスピードではなく、「何を作るべきか」を考える力 と 「AIが出したものを正しく判断する力」 だと思っています。
次の記事では、実際にClaude Codeをどうセットアップして日常業務に組み込んでいるか、具体的な使い方を書いていく予定です。
ほな、また次の記事で。
この記事で紹介したClaude Codeの機能は2026年2月時点のものです。最新情報は公式ドキュメントを確認してください。