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3Dスキャナと3Dプリンタで作るXRデバイスアクセサリー

Last updated at Posted at 2025-12-10

はじめに

この記事は12/6に開催されたvisionOS TC 2025にて、3Dスキャナと3Dプリンタを使ってApple Vision Pro用のスリープ防止アクセサリを作った話をLTで発表した資料になります。
5分のLTに収まらなかった部分を大幅に追加しています。

ノート

01. visionOS TC 2025

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3Dスキャナと3Dプリンタで作る XRデバイスアクセサリーと題しまして、Apple Vision Pro用のスリープ防止キャップを作った話をさせていただきます。
afjk製作所のエーエフです。

02. 自己紹介

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自己紹介です。
私はSTYLYでCTOを務めています。
STYLYはXRプラットフォームを開発・運営している会社で、最近はLocation Based Entertainmentにも力を入れています。
つい先日、LBE特化のオープンソース。Unity向けネットワークライブラリと同期サーバーを提供開始しました。
オープンソースですのでどなたでもご利用可能です。
もちろん、Apple Vision Proにも対応しています。是非使ってみてください。

03. Apple Vision Pro 多数購入 デモなどに活用

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弊社では、Apple Vision Proを多数購入して、私自身たくさんの方にデモしてきました。

04. Apple Vision Proデモに潜む魔物😈

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Apple Vision Pro特有の難しさがあります。
特にメガネやハードコンタクトレンズでは使えないなど。
うまく体験してもらうことができずごめんなさいという思いをした事もあります。

05. スリープさえ防げれば…

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この問題、スリープさえ防げれば、とにかく映像を観てもらう事は可能です。
レンズの一部を塞げスリープば防止できます。

06. 溝にピッタリハマるアクセサリを3Dプリンタで作ろう!

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そこで、インサートレンズの溝にピッタリハマるスリープ防止アクセサリを作ろうと考えました。

07. どうやって作る?

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では、どうやって作るか。

08. 誰かがすでに作った物が公開されていたらラッキー。

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最初に試したのは、既存の公開されている3Dプリンタ用データを探すことです。あればラッキーです。
レンズキャップを公開されているものを見つけました。これに穴を開けて試してみました。

09. 既存モデルの問題点

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実際試して機能はしました。しかし、問題点もありました。やはり、形状が完全には一致していません。サイズ調整が必要でしたし、
何よりライセンス。制限の多いライセンスで商用利用NGということでしたので利用は見送りました。

10. 3Dモデルを自作する

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そこで、3Dモデルを自作することにしました。
課題は、この複雑な曲面を正確に計測することです。

11. 高精度3Dスキャナ Matter and Form THREE購入

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悩んだ結果、思い切って高精度3Dスキャナー Matter and Form THREEを購入しました。
ちょっとお高いですが、個人で手がとどく高精度スキャナーです。

12. 3Dプリント→3Dスキャンで元データと比較

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Matter and Formが公式で公開しているTHREEでのスキャンデータを3Dプリントし、それを再度THREEで3Dスキャンして、Cloud Compareで比較しました。
結果、かなり高い精度で一致することが分かりました。
これで3Dスキャンデータを元にして3Dプリンタでアクセサリを作ることに自信を持てました。

13. レンズ周辺の3Dスキャン結果

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実際にスキャンしたデータがこちらです。Blenderの画面に移動
かなり細かく正確にスキャンできていることがわかると思います。ちなみに溝の幅は2mmです。すごいですよね。

14. 試行2:

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スリープガードの3Dモデルを作るにあたり、まず試したのが溝部分を切り出し、押し出して立体に起こす方法です。

15. 3Dスキャンデータはどうしてもガタガタ感がある

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ただ、どうしてもガタガタかんがあり、見た目もあまり良い感じになりませんでした。

16. 試行3:

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次に、インサートレンズの方をスキャンするという事も試してみました。こちらも形状はばっちりスキャンできて3Dプリントすることもできました。

17. インサートレンズスキャンの問題点

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ただし、この方法も問題があり、形は合うのですが元々磁石で取り付ける方式ですので、溝に対してはブカブカです。
また、3Dスキャンデータはどうしてもガタガタになりがちですし、
製品の3Dスキャンデータをそのまま3Dプリントするのも、何かしら権利侵害になりそうです。

18. 採用案:3Dスキャンデータをアテにモデリングする

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最終的に採用したのは、3Dスキャンしたデータを当てにして、モデリングするという方法です。
アテのモデルがあることでモデリングはかなり楽になります。
ポイントだけ説明します。

19. Nurbus Circleで平面での形状を合わせる

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まず、Nurbus Cicleで平面的な形状を合わせます。
制御ポイントを何点か動かすだけで、意外と短時間で合わせることができます。

20. Shrink Wrapモディファイアでメッシュ形状に沿わせる

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次に、シュリンクラップでメッシュ形状にカーブをおろしてあげます。
これで、溝にピッタリあう形状ができました。

21. モデリング...

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この形状が欲しかった。このために3Dスキャナー買いました。
あとは押し出しで幅を出して円筒形にし、

22. モデリング完成

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モデリングして形状を作っていきます。
最終系はこちらです。ちなみに、レンズ保護のふたも作りました。

23. モデリング全工程

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モデリングの全工程を動画にしました

24. 便利なAdd-on ”3D Print Toolbox”

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また、Blenderには3Dプリンタ用のデータ作成をサポートするAdd-onがあります。
物理的にありえない形状(体積ゼロの面など)のメッシュを自動で検知、修正してくれます。

25. 白フィラメントでプリント

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白いフィラメントでプリントするとこんな感じ。一発でVision Proの溝にはまりました。簡単に脱落もしません。
精度の高さに感動です。

26. 目立ちにくい黒フィラメントでのプリント

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そして、白だと目立ってしまうかもと思ったので黒版を作りました。
ただ、黒色でレンズを塞いでもスリープ防止できない、ということをプリントしてみて気づきました。
そこで、レンズ側の1層を白くプリントすることで解決しました。
ちなみに、このためにマルチカラープリント用のパーツも追加購入しました。

27. スライサーソフトで

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マルチカラープリントは、気をつけないとフィラメント切り替え回数が増え、その度にフィラメントが余分に消費されます。
スライサーソフトで目的のレイヤーだけ色を変える事でフィラメントの切り替え回数を最小にしました。

28. Boothで販売

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こちら製品としてBoothで販売してみました。白黒とレンズキャップ有無の4バリエーション展開です。

29. 販売実績

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販売数はこちら。10月から販売開始して合計27個。購入していただいた方本当にありがとうございます。

30. 収支概算

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売上についてもお話します。
売上5万五千円、配送費と手数料を除いて利益は4万3千円になりました。

31. 売上:55,540円

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そして、出費。
3Dプリンタに3万円、マルチカラープリントのためのパーツ1万円、フィラメント3巻九千円、3Dスキャナー27万円
合計、27万五円円の赤字でございます。

赤字を解消するため、というわけではありませんが、今後もXRデバイスアクセサリを制作・販売していきたいと思います。

32. ご清聴ありがとうございました

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33. 試行錯誤の山

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34. 参考リンク

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