2026年9月10日、Googleスプレッドシートの1ファイルあたりのセル上限が1,000万から2,000万へ引き上げられました。この記事を読むと、手元の広告レポートがこの変更で救われるのかどうかを判断でき、救われない場合に何が原因かを切り分けられるようになります。広告データをシートに積み上げていて「開くのが遅い」「そろそろ行が足せないかもしれない」と感じている方向けの内容です。
2026年9月に何が変わったか
変更内容は次のとおりです。管理者設定もユーザー設定もなく、自動で適用されます。
| 項目 | 変更前 | 変更後 |
|---|---|---|
| 1ファイルのセル総数 | 1,000万セル | 2,000万セル |
| 対象ファイル | — | 新規・既存・インポート(.xlsx / CSV)すべて |
| 必要な設定 | ベータは申込制 | 管理者設定・ユーザー設定ともになし |
| 提供日 | 2026年4月22日(ベータ) | Rapid Release 9月10日 / Scheduled Release 9月28日 |
同じ組織でも、Workspaceの更新設定によって使えるようになる日が2週間以上ずれます。「同僚のシートでは行が足せたのに自分のでは足せない」という状態は、この差によるものです。
あわせて、100万セルを超えるファイルを開く速度が最大30%、フィルタと条件付き書式の適用が最大60%高速化したと公式に案内されています。ここに数式の再計算は含まれていません。 条件付き書式は「適用」が速くなった側ですが、行が増えれば評価する範囲が広がるという性質までは変わりません。この違いが、次のセクションの切り分けの根拠になります。
重さの原因を切り分ける手順
上限に当たって行が足せないことと、開くのに待たされることは、原因が違います。セル数は容量の話で、体感の重さは再計算の話だからです。次の順で切り分けます。
- 対象のスプレッドシートを複製する(ファイル → コピーを作成)。本番ファイルを壊さないための保険です。
- 複製したファイルで全体を選択し、コピーしてから「編集 → 特殊貼り付け → 値のみ貼り付け」を実行する。これで数式がすべて計算済みの値に置き換わります。
- 複製を閉じて開き直し、体感速度を比較する。
結果の読み方は次のとおりです。
- 軽くなった → 原因は数式です。セル上限の拡大では解決しません。
- 変わらない → 原因はデータ量です。今回の上限拡大と高速化が効きます。
広告レポートで再計算の負荷を作りやすいのは、おおむね次の2つです。
-
ARRAYFORMULA… 媒体別シートを横断して一括計算する。行が増えるほど評価範囲が広がる -
IMPORTRANGE… 別ファイルを参照する。参照先の更新のたびに再取得が走る
セル上限が倍になっても、再計算の対象が2倍になるだけで待ち時間は短くなりません。数式が原因だった場合は、確定済みの過去月を値に固定する、参照範囲をA:Aのような全列指定から実データの範囲へ狭める、といった対処のほうが効きます。
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1ファイルにあと何か月ぶん貯まるかを数える手順
上限に達すると、新しい行の追加や貼り付けがエラーになり、自動取り込みのスクリプトは途中で止まります。多くの場合、数日後に「先週から数字が更新されていない」という形で気づくことになるため、先に残り期間を数えておくと安全です。
- 各シートのグリッドサイズを出す。空のセルでも、シートに存在する行・列はセル数として数えられます。
=ROWS('媒体別データ'!A:A)*COLUMNS('媒体別データ'!1:1)
- 全シート分を合計して、現在のセル総数を出す。
- 末尾の使っていない行・列を削除して、もう一度数える。不要な行・列の削除だけで数百万セル戻ることは珍しくありません。
- 直近1か月で増えた行数を数え、次の式で残り月数を出す。
残り月数 =(2,000万 − 現在のセル総数)÷(1か月あたりの増加セル数)
粒度によって、どれくらい伸ばせるかは大きく変わります。
- 広告グループ単位:5媒体 × 200グループ × 20列 × 365日 = 約730万セル/年 → 2,000万で約2年9か月
- 検索語句単位:1日2,000行 × 15列 × 365日 = 約1,095万セル/年 → 2,000万で約1年10か月
キャンペーン単位の月次サマリーしか持っていないシートは、もともと数十万セルの世界なので、今回の変更で何も変わりません。
容量の余裕が増えても残る問題
2,000万セルは、1人で回す広告レポートには当面十分な広さです。ただし、そのファイルを他の人が直せるかどうかは容量とは別の問題です。列を1本足すたびに数式の参照範囲を手で直し、媒体が増えるたびにシートを足す構造は、作った本人以外には触れません。容量の余裕が増えたことでこの構造をあと2年延命できてしまう点は、素直に喜べる話ではないとも言えます。
毎日増える明細はツール側に置き、スプレッドシートは報告書の形を整える場所として使う。この役割分担を作れるかどうかが、シートを分けるのか置き場ごと移すのかの分かれ目になります。
よくある質問
Googleスプレッドシートのセル上限はいつから2,000万セルになりましたか?
Rapid Releaseドメインは2026年9月10日、Scheduled Releaseドメインは2026年9月28日から順次適用されます。個人のGoogleアカウントも対象です。管理者設定もユーザー設定も不要で、新規ファイル・既存ファイル・Excel(.xlsx)やCSVからインポートしたファイルのすべてに自動で適用されます。同じ会社でもドメインの更新設定によって使えるようになる日がずれます。
セル上限が2倍になれば、重いスプレッドシートも速くなりますか?
いいえ。上限に当たって行を足せないことと、開くのに待たされることは原因が違います。体感の重さは多くの場合、ARRAYFORMULAやIMPORTRANGEの再計算によるもので、容量の拡大はそこに効きません。数式を値貼り付けしたコピーを開き直して軽くなるなら、原因はデータ量ではなく数式の側です。
広告レポートは1ファイルにどれくらい貯められますか?
粒度によります。5媒体・広告グループ200件・20列を日次で1年分積むとおよそ730万セルなので、2,000万なら約2年9か月まで同じ形で伸ばせます。検索語句レポートのように1日2,000行が積み上がる粒度だと、15列で年間1,095万セルに達します。現在のセル数を残り容量で割り、月あたりの増加分で何か月もつかを先に数えておくと安全です。
セル上限に達するとどうなりますか?
新しい行の追加や貼り付けがエラーになり、自動取り込みのスクリプトは途中で止まります。多くは数日後に「先週から数字が更新されていない」という形で気づくことになります。末尾の空行や使っていない列を削除するだけで数百万セル分が戻ることもあるため、上限が近い場合はまず不要な行・列の削除から試してください。
まとめ
- セル上限は1,000万から2,000万へ倍増した。設定は不要で、新規・既存・インポートのすべてに自動適用される。適用日はRapid Releaseが9月10日、Scheduled Releaseが9月28日
- 「開くのが遅い」の原因は多くの場合セル数ではなく数式の再計算。値貼り付けしたコピーを開き直して軽くなるかどうかで切り分ける(今回の高速化は数式の再計算を含まない)
-
=ROWS(A:A)*COLUMNS(1:1)で現在のセル数を出し、1か月あたりの増加分で割って残り月数を先に数えておく。上限に達してから気づくと、自動取り込みが数日分止まる
図解・表つきの完全版はこちら:Googleスプレッドシートのセル上限が2,000万に倍増した2026年9月|広告レポートを貯め続けてよい条件と、上限が増えても直らない重さ
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