この記事の手順で、限界CPA(利益がちょうどゼロになる獲得単価の上限)を計算し、管理画面のCPAと単位をそろえて比べられるようになります。計算式は1行ですが、比べる相手の数字がずれていると、黒字に見える赤字を見逃します。管理画面のCPAが8,000円で限界CPAが12,000円なら黒字、と読んでよいかどうかは、管理画面のCVが何を数えているかで変わるからです。
限界CPAを計算する手順
- 客単価を決める(1回の購入・契約あたりの売上。税抜)
- 粗利率を決める。原価だけでなく、決済手数料・送料・梱包費など1件売れるごとに増える費用まで引いた後の率を使う
- 客単価×粗利率で限界CPAを出す
- 残したい利益の割合を引いて目標CPAを出す
2の手順が必要なのは、原価だけを引いた粗利で計算すると限界CPAが高めに出て、ぎりぎり黒字のつもりの獲得が手数料の分だけ赤字に沈むためです。
客単価 30,000円
粗利率 40%(原価・決済手数料・送料を引いた後)
限界CPA 30,000 × 0.40 = 12,000円
残したい利益 粗利の30%
目標CPA 12,000 × (1 − 0.30) = 8,400円
入札に入れるのは限界CPAではなく目標CPAです。限界CPAをそのまま入札に入れると、狙いどおりに当たっても利益ゼロの獲得が積み上がるだけになります。目標CPAも、実績CPAから離れているなら一度に入れず、数週間おきに段階的に近づけます。
リピートのある商材では、粗利に購入回数を掛けたLTVで限界CPAを出す方法もあります。ただし回収までは広告費が先に出ていくため、運転資金に余裕がなければ単発の粗利で判断するほうが安全です。
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管理画面のCVと単位をそろえる方法
限界CPAは「売上1件」あたりの金額で、管理画面のCPAは「媒体が数えたCV1件」あたりの金額です。購入完了をCVにしていれば両者はほぼ同じ単位ですが、問い合わせや資料請求をCVにしている場合は、受注に至る割合を掛けて割り戻します。
| 管理画面のCV | 受注に至る割合(例) | CV1件あたりの限界CPA |
|---|---|---|
| 購入完了 | 100% | 12,000円 |
| 問い合わせ | 10% | 1,200円 |
| 資料請求 | 5%(商談化20%×受注25%) | 600円 |
CV1件あたりの限界CPA = 受注1件あたりの限界CPA × 受注に至る割合
問い合わせの例: 12,000 × 0.10 = 1,200円
問い合わせがCVなのに、管理画面のCPA 8,000円を12,000円と見比べて黒字と読むのは、この換算を飛ばした誤りです。商談化率や受注率は広告の管理画面に戻ってこないため、営業側から月に一度もらって入れ直す運用にしておくと、割り戻しの値が古くなりません。
媒体合算ではなく実際の注文数で判定する手順
- 判定する期間の広告費を、全媒体分合計する
- 同じ期間に社内で確定した注文数(BtoBなら受注数)を数える
- 1を2で割った値を限界CPAと比べる
媒体のCVを足さないのは、媒体がそれぞれ自分の広告が関わったCVを計上するためです。1件の注文をGoogleとMetaが両方数えることがあり、合算したCVは実際の件数より多く、CPAは実態より安く見えやすくなります。
予算を増やすかどうかを決める場面では、平均のCPAではなく、増やした予算分だけのCPAを限界CPAと比べます。平均が限界CPAを下回っていても、上乗せした分の獲得だけを見ると赤字になっていることがあるからです。
なお、限界CPAには家賃や人件費などの固定費が入っていません。限界CPA以下で獲得できていても、事業全体が黒字だとまでは言えない点には注意が必要です。
まとめ
- 限界CPAは「客単価×粗利率」。粗利には1件ごとに増える費用まで含め、入札には利益を残した目標CPAを入れる
- 管理画面のCVが問い合わせや資料請求なら、受注に至る割合を掛けて限界CPAを割り戻してから比べる
- 媒体のCVの合計ではなく、広告費の合計を社内で確定した注文数で割った値で黒字か赤字かを判定する
よくある質問
限界CPAの計算式は?
限界CPAは「客単価×粗利率」で計算します。1件あたりの粗利と同じ額で、CPAがこれを超えると獲得するほど赤字になります。粗利は商品原価だけでなく、決済手数料・送料・梱包費など1件売れるごとに増える費用まで引いた金額で取ると、実態に近い値になります。
限界CPAと目標CPAの違いは何ですか?
限界CPAは利益がゼロになる上限額、目標CPAはそこから残したい利益を差し引いた値です。限界CPAが12,000円で粗利の30%を残したいなら、目標CPAは8,400円になります。広告の入札に設定するのは目標CPAで、限界CPAは超えてはいけない線として使います。
BtoBで問い合わせをCVにしている場合、限界CPAはどう使いますか?
受注1件あたりの限界CPAを、問い合わせから受注に至る割合で割り戻してから管理画面のCPAと比べます。問い合わせ10件から受注1件で、受注1件の限界CPAが12,000円なら、問い合わせ1件に払えるのは1,200円までです。割り戻さずに比べると、赤字の広告を黒字と誤認します。
LTVで限界CPAを計算してもよいですか?
リピート購入が実績として確認できていて、回収までの期間に広告費を先払いできる資金の余裕がある場合に限って使えます。LTVベースの限界CPAは単発の粗利より高く出るため、見込みのリピート率で計算すると、回収できないまま広告費だけが先に出ていくことがあります。
図解・表つきの完全版はこちら:限界CPAとは|計算式と、管理画面のCPAと比べる前に単位をそろえる理由
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