はじめに
2026年7月16日、GoogleはNotebookLMをGemini Notebookへ改称しました。
「名前が変わっただけ」と思っていましたが、調べてみるとこの1年で中身がガラッと変わっていました。
本記事では、
- この1年の機能進化を年表で整理
- Gemini NotebookとGemini Notebook Enterpriseの違い
という2本立てでまとめます。
本記事の内容は執筆時点(2026年8月)の情報です。
仕様・料金は変更される可能性があるため、最新情報は必ず公式ドキュメントをご確認ください。
Gemini Enterpriseの1年の変化をまとめた記事はこちら↓
この1年の主要アップデート
「資料を読み込んで要約する」ツールだったNotebookLMは、この1年で調査・分析・資料作成AIに進化しました。特に大きかったアップデートを6つ紹介します。
1. Video Overviews
Googleの公式ブログでは、ドキュメントやスライド、図表などを取り込んで、AIの音声ナレーション付きで解説する動画を生成する機能として紹介されています。
Audio Overview(ポッドキャスト風の音声解説)に続く、視覚的な解説フォーマットの追加です。図表・引用・数値データをソースから自動で拾って動画に落とし込んでくれるのが特徴です。
2. Deep Research
ソースパネルから「Web」をソースとして選択することで、資料の内容をもとにWeb上の関連情報を自動収集し、引用付きのレポートを生成する機能です。
- Fast Research:素早く情報をスキャンし、その場でソースを確認・取り込む
- Deep Research:バックグラウンドで実行される、より深い分析
生成されたレポートとその出典ソースはそのままノートブックに追加でき、Deep Researchの実行中も他の作業を並行して進められます。
3. スライド/インフォグラフィック自動生成
画像生成モデル「Nano Banana Pro」を活用し、アップロードした資料の内容理解に基づいたスライドやインフォグラフィックを自動生成する機能です。単に見栄えの良い画像を作るのではなく、資料の内容に忠実なビジュアル資料を生成する点がポイントです。
2026年3月には、生成したスライドに対して個別にスタイル・内容の修正指示を出せる「Slide revisions」も追加されています。
4. Cinematic Video Overviews
公式ブログでは、流れるようなアニメーションと精緻なビジュアルを使った、より没入感のある動画解説として紹介されています。Geminiモデルが構成やスタイルに関する判断を数百パターン行い、ソースの内容を"物語"として組み立てる点が特徴になっているようです。
同時に、10種類の新しいインフォグラフィックスタイル、スライドのPPTXエクスポート、EPUBファイルのソース対応なども追加されました。
5. ノートブックごとの「セキュアなクラウドコンピュータ」
この1年で最も大規模だったアップデート。
① モデルの刷新
Gemini 3.5とAntigravityを基盤に刷新され、大規模文書解析で69.9%、Web調査・ソース発見で78.2%という、旧システム比での勝率(win rate)が公式に示されています。
② セキュアなクラウドコンピュータの追加
ノートブックごとに専用の実行環境が用意され、100種類以上のソフトウェアスキルを備え、ソースに基づいたコードの記述・実行ができるようになりました。
③ 出力形式の大幅拡張
生成できる出力形式が一気に増えました。
- データの可視化・チャート(PNG/SVG)
- ドキュメント(PDF/DOCX/マークダウン/テキスト)
- Nano Banana搭載の画像生成(PNG/JPG/GIF)
- 構造化データ(CSV/JSON)
- Microsoft Excel(XLSX)
- Microsoft PowerPoint(PPTX)
これらの更新は、Google AI UltraユーザーおよびAI Expanded AccessをもつWorkspaceビジネスユーザー向けに、2026年6月8日からグローバルに展開されました。
6. Gemini Notebookへの改称と機能展開の継続
改称と同時に、6月に発表されたコード実行機能のPro版ユーザーへの展開が進められることが案内されました。
また、Geminiアプリ内で作成・利用するノートブックと、スタンドアロンのGemini Notebookとの間でノートブックが同期する機能(すでに利用可能)や、今後Google検索のAI Modeにもノートブックが統合される予定であることが発表されています。
年表まとめ
| 時期 | できごと |
|---|---|
| 2025年7月30日 | Video Overviews追加 |
| 2025年11月13日 | Deep Research追加 |
| 2025年11月20日 | スライド/インフォグラフィック自動生成(Nano Banana Pro)追加 |
| 2026年3月 | Cinematic Video Overviews、Slide revisions、PPTXエクスポート、EPUB対応など追加 |
| 2026年6月8日 | Gemini 3.5・Antigravity搭載。セキュアなクラウドコンピュータ(コード実行)、出力形式の大幅拡張(DOCX/XLSX/PPTX/CSV/JSON等)を追加 |
| 2026年7月16日 | Gemini Notebookへ改称。コード実行のPro版展開、Geminiアプリとのノートブック同期などを継続発表 |
「読む」→「調べる」→「作る」→「分析する」まで一通りできるツールへと、着実に機能が積み上がってきたのがこの1年の流れです。
Enterprise版との違い
法人での利用を検討する場合は、無料版・Pro版とは別にGemini Notebook Enterpriseという選択肢があります。
| 観点 | Gemini Notebook(個人版) | Gemini Notebook Enterprise |
|---|---|---|
| データ所在地 | 指定不可 | Google Cloudプロジェクト内に保持 |
| 対応ソース形式 | PDF/URL/YouTube等 | 上記に加え DOCX/PPTX/XLSX に対応 |
| 認証 | 個人のGoogleアカウント | Cloud Identityやサードパーティ IdP(Entra ID/Oktaなど)と連携可能 |
| 共有範囲 | 一般公開・メールリンク共有が可能 | 一般公開は不可。同一Google Cloudプロジェクト内のみ |
| コンプライアンス | 該当なし | VPC-SC/CMEKに対応 |
一言でいうと、社外IdP連携、Office形式対応、一般公開の制限(=情報漏洩リスクの低減)が必要な企業はEnterprise版、それ以外は個人版で十分というのが基本的な判断軸です。
まとめ
2026年7月、NotebookLMがGemini Notebookへ改称されたという点ではひとつの節目と言えますが、実態としてはこの1年、
- Deep Researchによる調査機能の追加
- Nano Banana Proを活用したスライド・インフォグラフィック・動画の自動生成
- ノートブックごとのセキュアなクラウドコンピュータによるコード実行
と、着実に機能が積み重なっているようです。
改称のタイミングでコード実行機能が追加されたのは象徴的で、「資料を読むAI」から「資料を根拠に手を動かすAI」へ踏み出した1年だったと言えそうです。
今後も活発なGemini Notebookのアップデートを期待したいですね。