統計検定1級は、一般社団法人日本統計学会が認定する、大学専門課程卒業程度の統計学の知識と応用力を問う試験です。
各種統計解析法の考え方および数理的側面の正しい理解を踏まえ、適切なデータ収集法を計画・立案し、データの吟味を行ったうえで統計的推論を行い、結果を正しく解釈しコミュニケートする力を試験します。
1. 試験内容
統計検定1級は「統計数理」と「統計応用」の2種目で構成されます。両方に合格することで「1級合格」として認定されます(1科目ずつの合格も「種目別合格」として有効です)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 実施時期 | 毎年11月(年1回) |
| 解答形式 | 完全記述式 |
| 試験時間 | 「統計数理」 90分(午前) 「統計応用」 90分(午後) |
| 合格基準 | 「統計数理」、「統計応用」それぞれの試験ごとに合否を決定 非公開(概ね6割前後の得点率が目安) |
| 受験料 | 12,000円(2種目同時申込の場合) |
2. 出題範囲
■ 統計数理(共通科目)
-
確率分布の性質:
* 期待値・分散・モーメント母関数の導出- 変数変換(ヤコビアンを用いた多変量変換)
- 漸近理論
- 離散分布・連続分布・標本分布
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推定論:
- 最尤推定量などの導出と性質(一致性・漸近正規性)
- 十分統計量、完備統計量、ネイマンの分解定理
- 不偏性、有効性
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検定論:
- ネイマン・ピアソンの基本定理
- 尤度比検定、Wald検定、スコア検定
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各種分析手法:
- 分散分析、回帰分析
- 分割表の解析
- ノンパラメトリック法
■ 統計応用(選択科目)
以下の4つの専門分野から1つを出願時に選択します。
- 人文科学 / 社会科学 / 理工学 / 医薬生物学
- 共通分野もあり「一般線形モデル(回帰・分散分析)」「実験計画法」「多変量解析(主成分・判別分析)」「時系列解析」などが出題される
3. 例題
記述式試験における標準的な問われ方は以下のパターンです。
- 分布の導出: $U,V$ を互いに独立に区間 $(0,1)$ の一様分布に従う確率変数都市、$X=max(U,V)$ とする。このとき $X$ の累積分布関数を求めよ
- 推定量の統計量: 確率変数 $X_1,...,X_n$ が互いに独立に正規分布 $N(\mu, \sigma)$ に従っているとする。$\sigma=\sigma_0$ で既知とするとき、$\mu$ の十分統計量と西遊推定量を求めよ
- 検定法: $X_1, \dots, X_n$ が互いに独立に指数分布 $Exp(\theta)$ に従っているとする。帰無仮説 $H_0: \theta = \theta_0$ に対する対立仮説 $H_1: \theta \neq \theta_0$ の尤度比検定統計量 $\lambda$ を求めよ
4. 合格者がよく使用している参考書
① 理論習得・演習
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『日本統計学会公式認定 統計検定1級対応 統計学』 (東京図書)
- 公式テキスト。出題範囲の網羅的な確認に使用。
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『現代数理統計学の基礎』 (共立出版 / 久保川達也 著)
- 1級受験生の多くがメインテキストとして使用。例題と演習問題が試験レベルに直結。
② 過去問題集
-
『統計検定 1級 公式問題集』 (実務教育出版)
- 直近数年分の過去問。記述の作法や部分点の配分傾向を把握するために必須。