はじめに
Raspberry Pi Pico / Pico W で超低消費電力運用をしたい場合、
3V3_EN ピン(3.3Vレギュレータ Enable) を使うと
“ほぼ 0mA” まで電力を落とすことができます。
この記事では、実務で使えるレベルで 3V3_EN の使い方・注意点・回路設計ポイントをまとめます。
1. 3V3_EN ピンとは?
Pico に搭載されている
3.3V レギュレータ(RT6150)の Enable ピンです。
- HIGH(デフォルト) → 3.3V ON → Pico動作
- LOW(GND) → 3.3V OFF → Pico完全停止
内部で 100kΩのプルアップが入っているため、
通常は 未接続で常に ON になります。
2. 3V3_EN を OFF にするとどうなる?
3.3V 系の電源が完全に落ちるため、
- RP2040(CPU)が停止
- Pico W の Wi-Fi チップも停止
- 3.3V 系センサー・I/O 全て停止
→ スリープより圧倒的に低消費電力(ほぼ0mA)
なお、VBUS/VSYS の 5V 系は通電したままでも Pico は動きません。
3. 3V3_EN の主な用途
✔ 超低消費電力運用(完全スリープ)
1時間に1回だけ起動して測定 → 残りは全停止、というような
データロガー用途で効果絶大。
✔ 外部回路から Pico を ON/OFF
例:
- RTC(DS3231)で毎時起動
- ATtiny など超低電力マイコンで電源管理
- Pico 自身が GPIO で 3V3_EN を LOW にして「自殺スリープ」
✔ Pico W の Wi-Fi 電力を完全カット
Wi-Fiチップはスリープしても 数mA流れる設計
→ 3V3_EN なら完全停止できるので省電力効果が大きい。
4. 再起動時間の目安
| モデル | 起動時間 |
|---|---|
| Pico(無印) | 0.01〜0.03秒 |
| Pico W | Wi-Fi初期化で 0.2〜0.6秒、AP接続すると数秒 |
→ 省電力と起動遅延のトレードオフが存在。
5. 回路接続時の注意点
✔ 外部から直接 HIGH/LOW を入れない
3V3_EN は 3.3V系。
GNDに落とす制御は NPN/MOSFET/オープンドレイン 推奨。
✔ Pico OFF中に Pico へ信号を入れない(逆流注意)
3.3V が死んでいる状態で GPIO に信号が入ると
レギュレータや RP2040 を破損する可能性があります。
必要に応じて
- 電流制限抵抗
- MOSFET
- アイソレータ
などで保護してください。
✔ 起動直後の GPIO は Hi-Z(不定)になる → 要対策
起動直後、GPIO は一瞬 高インピーダンス(Hi-Z) 状態になります。
モーターやリレーを直接接続している場合、
意図しない瞬間 ON が発生する危険
があります。
🔧 対策
- GPIO に プルダウン抵抗(10kΩ〜100kΩ)
→ 通常は OFF に固定 - MOSFET/トランジスタのゲートにもプルダウン抵抗
- モーター・リレーなどは 必ずドライバ回路を介す
Pico が起動中・再起動中でも安全になります。
6. 典型的な省電力構成(1時間に1回)
- RTC(DS3231)または低電力MCUを 5V側で常時稼動
- 1時間ごとに起動パルスを出力
- トランジスタ経由で 3V3_EN を HIGH
- Pico W 起動 → 測定 → Wi-Fi送信
- 完了後、Pico の GPIO がトランジスタを制御して
3V3_EN を LOW に戻す(自動停止)
→ Pico の稼働時間を最小化でき、電池寿命が桁違いに伸びる。
7. まとめ(短縮版)
- 3V3_EN は Pico の 3.3V 主電源スイッチ
- LOW で Pico/Wi-Fi/センサーが全部停止
- 通常は未接続で OK(内部プルアップ)
- 超低消費電力運用に必須のピン
- Pico W では省電力効果が特に大きい
- 起動直後の GPIO は Hi-Z → プルダウンやドライバ回路で対策必須