はじめに
Chromebook の Linux 環境(Crostini)に VS Code をインストールし、
React 学習を進めようとしたところ VS Code 上でのみ日本語入力ができない 問題に直面しました。
他の Linux アプリでは日本語入力が可能だったため、
原因切り分けと複数の解決策を検証しましたが、
最終的に利用者側では解決できない問題だと判断しました。
本記事では、試したこととその根拠、結論をまとめます。
環境
- Chromebook
- ChromeOS バージョン: 142.0.7444.220 (Crostini 有効)
- Linux: Debian 12(arm64)
- VS Code: Linux 版(Electron)
- IME: Mozc
- 入力フレームワーク: ibus / fcitx
発生していた問題
- VSCode 上では日本語入力不可
- VS Code 以外では日本語入力可能
試したこと
1. Mozc / IME のインストール確認
dpkg -l | grep mozc
- mozc-server
- mozc-data
- fcitx-mozc
- ibus-mozc
すべてインストール済み
2. ibus / fcitx の切り替え
im-config -n ibus
- ibus / fcitx の両方を検証
- Mozc は VS Code 以外では正常動作
3. 環境変数の設定
export GTK_IM_MODULE=ibus
export QT_IM_MODULE=ibus
export XMODIFIERS=@im=ibus
- 他アプリでは有効
- VS Code では変化なし
4. VS Code を X11 指定で起動
code --disable-gpu --ozone-platform=x11
→ 改善なし
5. Crostini IME Support を有効化
chrome://flags から
Crostini IME Support = Enabled
→ 再起動後も VS Code では入力不可
6. Mozc / fcitx のキー割当調整
- fcitx 側で「かな / 英数」を IME ON/OFF に割当
- Mozc 側で Henkan / Muhenkan のキー割当を削除
- OS 再起動
→ 効果なし
7. Wayland / X11 の切り替え
- デフォルト起動
- X11 強制起動
→ 改善なし
考察・根拠
- Mozc / IME 自体は正常に動作
- 日本語入力は VS Code 以外では可能
- VS Code は Electron ベース
- Crostini + arm64 + Electron の組み合わせではIME のキーイベントが正しく処理されない既知の問題がある
➜ 利用者側の設定で解決できる範囲を超えていると判断しました
結論
Chromebook(Crostini)上の Linux 版 VS Code では、現時点で日本語入力を安定して使うのは困難
設定や IME の問題ではなく、
Electron × Crostini × arm64 環境固有の制限によるものと考えられる
回避策
- VS Code Web(https://vscode.dev)を利用する
- 英数字のみで VS Code Linux 版を使う
- JetBrains Fleet / WebStorm など別エディタを使用する
まとめ
- 「設定不足」ではなく「環境制約」の問題だった
- すべてを直そうとせず、回避策を選ぶ判断も重要
- Chromebook + Linux 環境では制限を理解した上で使う必要がある
おわりに
同じ環境で悩んでいる方の時間節約になれば幸いです。
追記:コメントで見つけた「旧バージョンなら入力できる説」
Qiita のコメントにて、以下の情報をいただきました。ありがとうございます!
VSCodeの旧バージョンで日本語入力出来ます。
次からOctober 2025 (version 1.106) をダウンロードしてインストールしてみてください。
そこで、VS Code 1.106 を実際にインストールして検証することにしました。
VS Code 1.106 のインストールを試す
実行したコマンド
sudo apt remove code
sudo apt autoremove
その後、公式サイトから
Linux / deb / Arm(arm64)の VS Code 1.106 をダウンロードし、
以下でインストールを試みました。
sudo apt install ./code_1.106.*_arm64.deb
発生したエラー
インストール時、以下の依存関係エラーが発生しました。
Depends: libc6 (>= 2.28) but it is not installable
Depends: libgtk-3-0 (>= 3.9.10) but it is not installable
Depends: libglib2.0-0 (>= 2.37.3) but it is not installable
...
他にも多数のライブラリが「installable ではない」と表示され、
インストールは完了しませんでした。
考察
この結果から、以下のことが分かりました。
-
VS Code 1.106 自体は比較的新しい Linux 環境を前提にビルドされている
-
Crostini(Debian)環境では要求される依存ライブラリのバージョンを満たせない
-
そのため旧バージョンをインストールして検証すること自体が不可能
つまり、
VSCodeの旧バージョンで日本語入力出来ます。
という情報は、
Crostini(arm64)環境では再現できない可能性が高いと判断しました。
結論
- VS Code の日本語入力問題はユーザー設定や IME 設定の問題ではない
- VS Code × Crostini × arm64 の組み合わせに依存した問題と考えられる
- 旧バージョン(1.106)は依存関係の問題でインストール不可
- 現時点では設定変更による解決は困難
現実的な対応策
- VS Code は英数字入力のみで使用する
- 日本語コメントや文章は別エディタで記述してコピー
- 必要に応じて vscode.dev(Web 版)を併用
おわりに
同様の環境で困っている方の切り分けの参考になれば幸いです。