はじめに
「そろそろPM(プロジェクトマネージャー)を目指したい」
中堅SEとして数年、あるいは10年以上の経験を積んでくると、このように考える方も多いのではないでしょうか。
SEとして設計や開発、テスト、顧客との調整などを経験していると、「技術的なことはある程度分かる。では、PMになるためには何が必要なのだろう?」と疑問に感じることがあります。
実際、PMになると、これまでとは仕事の視点が大きく変わります。
SEでは「担当している機能をどう実現するか」という視点が中心だったものが、PMになると「プロジェクト全体をどう成功させるか」という視点が求められるからです。
スケジュール、予算、品質、メンバー、顧客、リスクなど、考えるべきことは一気に増えます。
とはいえ、PMになるために、いきなり特別な能力が必要というわけではありません。
これまでSEとして培ってきた経験を土台にして、いくつかのスキルを意識的に伸ばしていけば、PMとして必要な能力を身につけていくことができます。
今回は、これからPMを目指す中堅SEに向けて、特に身につけておきたいスキルを5つ紹介します。
この記事はこんな方におすすめ
この記事は、次のような方におすすめです。
これからPMを目指したい中堅SE
SEとしての経験を次のキャリアにつなげたい方
PMとSEの違いを知りたい方
将来的にプロジェクトを任されたい方
技術以外のスキルを身につけたい方
40代以降のキャリアとしてPMを検討している方
特に、「技術力だけで今後のキャリアを作っていくことに少し不安を感じている」という方には、ぜひ参考にしていただきたい内容です。
身につけるべきスキル
1.コミュニケーション力
PMを目指すのであれば、まず身につけたいのがコミュニケーション力です。
「コミュニケーションならSEでも必要なのでは?」
そう思うかもしれません。
もちろんSEにも必要ですが、PMに求められるコミュニケーションは少し違います。
PMの場合、プロジェクトに関わるさまざまな立場の人とコミュニケーションを取る必要があります。
例えば、
顧客
自社の上司
開発メンバー
他部署
協力会社
インフラ担当
ベンダー
などです。
そして、それぞれ立場や考えていることが異なります。
顧客は「納期までに期待したシステムを作ってほしい」と考えています。
開発メンバーは「無理のないスケジュールで開発したい」と考えています。
会社側は「利益を確保したい」と考えています。
PMは、こうした異なる立場の人たちを調整しながら、プロジェクトを前に進めなければなりません。
そのためには、単に「話すのが上手い」だけでは不十分です。
重要なのは、相手の話を正しく理解し、自分の考えを分かりやすく伝える力です。
特に中堅SEであれば、まずは会議で「何が決まったのか」「誰が何をするのか」「いつまでなのか」を整理する習慣をつけるとよいでしょう。
これは、そのままPMの仕事につながります。
2.スケジュール管理能力
2つ目は、スケジュール管理能力です。
PMの仕事としてイメージしやすいのが、プロジェクトの進捗管理ではないでしょうか。
しかし、単純に「予定どおり進んでいるか」を確認するだけではありません。
重要なのは、
「このまま進んだ場合、本当に納期に間に合うのか?」
を常に考えることです。
例えば、ある作業が3日遅れていたとします。
SEの立場では、
「3日遅れている」
という事実を報告するだけでもよいかもしれません。
しかしPMであれば、
「3日遅れているが、後続作業への影響はないのか?」
「このまま遅れが続いた場合、納期に影響しないか?」
「別の作業を先に進めることでリカバリーできないか?」
といったところまで考える必要があります。
つまり、PMに必要なのは進捗を確認する力だけではなく、先を読む力です。
そのため、中堅SEの段階から、自分の担当作業だけを見るのではなく、前後の工程や他メンバーの作業にも目を向けることをおすすめします。
「自分の作業が終わったら終了」ではなく、
「自分の作業が遅れると、次の工程にどんな影響が出るのか?」
を考えるだけでも、PMとしての視点が身についてきます。
3.リスク管理能力
3つ目は、リスク管理能力です。
プロジェクトには、必ずと言っていいほど問題が発生します。
例えば、
開発が予定より遅れる
メンバーが急に離脱する
顧客から追加要望が出る
想定よりシステムが複雑だった
他システムとの連携で問題が発生する
テストで大量の不具合が見つかる
などです。
PMに求められるのは、問題が発生してから対応するだけではありません。
「問題が起こる前に、どんな問題が起こりそうかを考える」
ことが重要です。
例えば、新しい技術を使った開発であれば、
「この技術についてメンバーに経験がない」
ということ自体がリスクになります。
そこで、事前に検証環境を作って技術検証を行ったり、経験者をプロジェクトに入れたりすることで、リスクを小さくできます。
これがリスク管理です。
中堅SEのうちは、作業を依頼されたときに「言われたとおりにやる」だけではなく、
「この作業で問題になりそうなことは何か?」
を考える習慣をつけてみてください。
例えば、設計レビューの際に、
「この方式だと性能面で問題が出る可能性はないか?」
「この仕様変更が他の機能に影響しないか?」
などを考えることです。
この積み重ねが、PMに必要なリスク管理能力につながります。
4.問題解決能力
4つ目は、問題解決能力です。
プロジェクトでは、問題が発生しないことのほうが珍しいと言ってもよいでしょう。
重要なのは、問題が発生したときに、
「どうすれば解決できるか」
を考えられることです。
例えば、納期に間に合わない可能性が出てきたとします。
「納期に間に合いません」
と報告するだけでは、PMとしては十分ではありません。
PMであれば、
作業の優先順位を変更する
メンバーを追加する
一部機能を次回リリースに回す
作業方法を変更する
顧客と納期を調整する
など、複数の選択肢を考えます。
そして、それぞれのメリット・デメリットを整理して、最適な方法を選択します。
ここで重要なのが、問題を感覚ではなく整理して考える力です。
「なぜ問題が起きたのか」
「本当の原因は何なのか」
「解決するための選択肢は何か」
「それぞれのリスクは何か」
という順番で考えると、問題を冷静に整理できます。
中堅SEであれば、障害対応や仕様変更などの場面で、この考え方を意識してみるとよいでしょう。
5.チームマネジメント能力
最後の5つ目は、チームマネジメント能力です。
PMは一人ですべての作業をするわけではありません。
むしろ、プロジェクトメンバーに適切に仕事をしてもらい、チームとして成果を出すことが重要です。
そのためには、メンバーそれぞれのスキルや経験を把握し、適切に仕事を割り振る必要があります。
例えば、
「この作業は経験豊富なAさんに任せる」
「この作業は若手のBさんに担当してもらい、Aさんにレビューしてもらう」
といった判断です。
また、チームメンバーの状況を把握することも重要です。
進捗が遅れている人がいた場合、
「なぜ遅れているのか?」
を確認する必要があります。
単純に本人の能力の問題とは限りません。
仕様が理解できていないのかもしれません。
別の作業を抱えているのかもしれません。
あるいは、そもそも作業量が多すぎるのかもしれません。
PMは、こうした状況を把握して、チーム全体として最適な状態を作っていきます。
中堅SEであれば、いきなり大きなチームを管理する必要はありません。
まずは後輩のフォローや小さなチームのリーダーなどから経験を積むとよいでしょう。
「自分で作業する」から「人に仕事をしてもらう」へ。
この意識の切り替えは、PMを目指すうえで非常に重要です。
PMを目指すなら「技術力」も無駄にならない
ここまで5つのスキルを紹介しましたが、最後に一つ伝えておきたいことがあります。
それは、PMを目指すからといって、技術力を捨てる必要はないということです。
むしろ、中堅SEとしてこれまで身につけてきた技術知識は、PMになったときの大きな武器になります。
例えば、開発経験があるPMであれば、
「このスケジュールは現実的なのか?」
「この仕様変更はどの程度の工数が必要なのか?」
「この設計にはどんなリスクがあるのか?」
といった判断をしやすくなります。
技術が分からないPMと比べると、開発メンバーとのコミュニケーションも取りやすいでしょう。
つまり、これまでのSE経験を捨ててPMになるのではなく、
「技術が分かるPM」になる
という考え方がおすすめです。
中堅SEだからこそ持っている経験を活かしながら、マネジメント能力を追加していくのです。
まとめ
今回は、これからPMを目指す中堅SEが身につけておきたいスキルを5つ紹介しました。
改めて整理すると、以下の5つです。
コミュニケーション力
スケジュール管理能力
リスク管理能力
問題解決能力
チームマネジメント能力
PMになると、SE時代とは仕事の視点が大きく変わります。
「自分の担当作業をどう終わらせるか」から、
「プロジェクト全体をどう成功させるか」
へと視点を変える必要があります。
ただし、PMに必要な能力は、PMになってからでなければ身につけられないものではありません。
現在の仕事の中でも、
「この作業が遅れたら、他にどんな影響があるか?」
「このプロジェクトにはどんなリスクがあるか?」
「チームメンバーが困っていることはないか?」
「自分ならどうやって問題を解決するか?」
と考えることで、少しずつPMとしての視点を身につけることができます。
特に中堅SEの場合、これまで積み重ねてきた開発経験は大きな強みです。
その技術力にマネジメント力をプラスすることで、単なる「管理職」ではなく、技術も現場も理解したPMを目指すことができます。
「いつかPMになりたい」と考えているのであれば、まずは明日から、自分の担当範囲より一つ上の視点でプロジェクトを見るところから始めてみてはいかがでしょうか。
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