はじめに
外資系コンサルが教える難題を解決する12ステップ プロジェクトリーダーの教科書を読了しました。
この本は、従来の「計画して管理するマネジメント志向」ではなく、プロジェクトを「デザイン」し「推進」していくリーダー志向の重要性を説いています。
プロジェクトの不確実性や失敗要因を最小化するためのアプローチとして、「D3アプローチ」が提示されています。これは、プロジェクトを「定義」「デザイン」「推進」の3つのフェーズに分けて進める方法です。
単に計画を立てて管理するだけではなく、リーダーとしてチームを牽引しながら目標に向かって進む姿勢が求められます。
本記事では、読んでいて特に腑に落ちたポイントをいくつかピックアップしてご紹介します。
D3アプローチと従来のPMBOKの一番の違いは「いくら精緻な計画を立てて、厳密な管理(コントロール)をしても、プロジェクトでは問題は必ず起こる 」こと。
学び
やらないことの宣言
何をやらないかを定義するためにはプロジェクトの全体像が見えている必要がある。
プロジェクトの最初の段階で全体像を見通すことが難しいと思う場合には、対象範囲以外はスコープアウトとするという書き方でも良い。
リスク・問題・課題
多くのプロジェクトで混同されている言葉の整理をする。
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リスク
潜在的な阻害要因のこと。まだ起きていないけれど、起きたら困ること。 -
問題
顕在的な阻害要因のこと。リスクが現実になった場合に問題と呼ぶ。 -
課題
取り組むべき問題の原因のこと。
早いフェーズでリスクを多く洗い出すことはプロジェクト成功の秘訣です。
リスク管理プロセスは下記です。
- 認識
- 評価
- 計画
- 監視
リスク対応プロセスは下記です。
- 回避
- リスクの原因を取り除くことで、リスクの発生を防ぐ
- 経過観察
- リスクの影響が小さい場合、状況を監視し、必要に応じて対応
- 受容
- リスクを受け入れ、発生時に備えて対応策を準備
- 転嫁
- リスクを第三者に移転し、自社の影響を最小限に抑える
一番重要なことはリーダーはリスクを放置してはいけないということです。放置して自然消滅するリスクは存在しません。
変更要求への対応
要件をはじめに定義したとしても変更要求は必ず発生する。
感情や疲れに流されると No と答えてしまうが、緊急度や重要度を見極めて冷静に判断をする必要がある。
著者の3つのTipsが紹介されていた。
- 変更要求の性質と傾向を知る
- 最終決断は翌朝に下す
- 変更対応時の現場の生産性は落ちる
マインドフルネス
プロジェクトをリードするには、感情コントロール力が必須です。
リーダーはポジティブすぎることも、ネガティブすぎることもよくありません。
特にネガティブ感情は、特定の行動を誘引し、選択肢を制限します。
ネガティブな気分の状況では、全ての変更要求に対して「NO」と答えて後々に後悔することが例として挙げられます。
自分のニュートラルポジションの感情を保つためにマインドフルネスについて理解を深めることが大切とされています。
自分自身はネガティブすぎる自覚があるため別途、「エンジニア×マインドフルネス」あたりの記事を探し下記の記事を発見しました。
瞑想するエンジニア ( by いなうらゆうま 稲浦悠馬 @yumainaura ) — Googleやスティーブ・ジョブズに学ぶ「マインドフルネス」のススメ— 全プログラマ SE 必見!
紹介されていた下記の本を購入したので読み進めていきます。Be Buddha.
反応しない練習 あらゆる悩みが消えていくブッダの超・合理的な「考え方」
コミュニケーション
コミュニケーションには2パターンあり、バランスが大切です。
チームがギスギスした雰囲気になっている場合には、チーム内で道具的コミュニケーションのみに傾倒していないかを確認するべきです。
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道具的コミュニケーション
ホウレンソウ(報連相)をはじめとする、業務上必要な目的がある会話のこと。 -
自己充足的コミュニケーション
業務には直接直結しないような無駄話のような会話のこと。
ただし自己充足的コミュニケーションに傾倒して単なる仲良しチームを作ってしまうことに注意です。
コミュニケーションの目的は、仲良しチームを作ることではなくプロジェクトが目指す最終目標を達成できるチームを作ることです。
まとめ
この本を読んで、「リーダーは仲良しチームを作る人ではなく、目標を達成するチームを作る人」という言葉が特に印象に残りました。
リーダーの肩書きを持つことが大事なのではなく、チームの成果を出すために動く人がリーダーですね。
たとえリーダーではなくても、地味で細かい作業をコツコツやることがプロジェクトの成功につながることを忘れずに、しっかり取り組んでいきたいと思います。