AI 導入前後の開発フローを比較し、速度向上と新たな課題を整理したメモです
前置き
1 年前は「自分で仕様書を書いて、ChatGPT で調査して、記事を読み漁って実装する」という手動フローでした。今は Claude Code と Spec Kit を前提にした開発へ寄せており、ほぼ全工程を AI と一緒に回しています(以降、Claude Code や Codex などのコーディングサポートエージェントをまとめて「エージェント」と表記します)。
仕様策定や設計に全体の 7 割ほどの時間を使うものの、エージェントが初稿を出してくれるため体感ではかなり早くなっています。
結論
- 仕様策定・調査・実装・レビューをエージェントに寄せて速度は上がったが、ドキュメントの鮮度と人への委譲、レビュー品質が新たなボトルネック
- 仕様と実装を常に同期させる運用・ジュニアに渡す粒度の整理・レビュー用プロンプトのチューニングが必要
- ツールはエージェント(主に Claude Code)中心で、Codex はまれに試す程度。Cursor は未利用
Spec Kit とエージェントで進める流れ
ワークフロー
Spec Kit の流れ(constitution → specify → clarify → plan → checklist → tasks → analyze → implement)を使い、/speckit.specify と /speckit.plan で叩き台を作る。テンプレが目的・背景・制約・受け入れ基準を整理してくれるので、最初に「誰の価値か」を合わせやすい。
タスクごとの回し方
/speckit.constitution は最初に 1 回だけ。以降はタスク単位で /speckit.specify → 修正 → /speckit.plan → 修正 → /speckit.tasks → 修正 → /speckit.implement を回す。粒度を保ったまま仕様→実装→振り返りが進む。
図示と調査
プロンプトで Mermaid 図を生成させ、設計を図解してから実装に入る。調査はエージェントに投げ、gh で近いリポジトリを探して読ませる。
補助コマンド(メモ)
/speckit.clarify(計画前に未確定点を洗い出す)、/speckit.analyze(タスク後に整合性・カバレッジを確認)、/speckit.checklist(要求の網羅性・一貫性チェックリスト生成)。
1 年前の開発フロー
- Confluence に自分で仕様書を作成
- 不明点は ChatGPT で調査しつつ、関連する記事を読み込んで方針を固める
- Mermaid での図示は手作業で書いていた(プロンプト生成はなし)
- 実装は自分で書き切り、レビューは人に依頼(もしくはセルフ)
- 一連の流れが人力中心で、調査〜実装までの往復が多かった
今の開発フロー
- Spec Kit で仕様の叩き台を作り、エージェントで肉付けしながら全体像を固める
- 調査もエージェントに投げて要点を抽出させ、関連リポジトリは
ghで探してエージェントに読ませる - 実装もエージェントに下書きを生成させ、手元で修正・結合。PR の初稿が早く出る
- コミットメッセージや PR 文面のたたき台も
ghを利用してエージェントに書かせるようになり、GitHub Actions 上でレビューと Approve をもらう。プロンプトは簡素(「レビューしてください」レベル)。他ツールは Codex を時折試す程度で、Cursor は未利用
1 年前 vs 今(ざっくり比較)
| 項目 | 1 年前 | 今 |
|---|---|---|
| 仕様策定 | 自分で Confluence に書く | Spec Kit + エージェントで叩き台→肉付け |
| 調査 | ChatGPT に質問 + 記事読み漁り | エージェントに調査依頼 + gh で類似リポジトリを読ませる |
| 図示 | 手で Mermaid を書いていた | エージェントにプロンプトで Mermaid 図を生成させる |
| 実装 | 自分で実装 | エージェントで下書き生成→自分で微修正 |
| コミット/PR | 自分で作成・記述 | エージェントがコミットメッセージ/PR 文面を作成 |
| レビュー | 人力/セルフ | エージェントが自動レビュー(人が最終確認) |
変化して良かったこと
- 仕様の初動が速くなり、調査と設計を並行で回せる
- 実装の初稿が早く出るため、レビューまでのリードタイムが短縮
- AI のアウトプットを叩き台にすることで、意思決定に集中できる
現在感じている課題
-
仕様の鮮度と実装乖離
仕様書が古いと Claude が古い前提で提案し、不要なコンテキストを混ぜてしまう。仕様と実装を常に同期させる仕組みが必要 -
レビュー品質
エージェントのレビューを GitHub Actions に載せているが、Approve しつつ見逃しも発生。プロンプトやチェックリストのチューニングが足りず、最後は人の確認が必要 -
マルチ worktree の脳内負荷
git worktree を使い、メイン実装・サブ実装・別 PR レビューの最大 3 本を並行し、それぞれにエージェントを複数立ち上げている。worktree が増えるほどコンテキスト切り替えが辛く、効率に頭打ち感がある
次に試したいこと
- レビュープロンプトに「変更箇所」「破壊的変更チェック」「テスト観点」「Approve 条件」を明示し、最終確認は人が行う二段構えにする
- PR 作成時に「仕様が作成/更新されているか」を自動でチェックするワークフローを追加し、乖離防止を仕組み化する