はじめに
前回、Pycaretで作成したモデルを使って、実際の組織画像の黒鉛形状を分類するプログラムを作成しました。以下のURLに入っています。
ISO945-1 黒鉛形状区分のタイプⅠ~Ⅵの黒鉛形状の分類
上記URLにアップしたプログラムを使って、ISO945-1のタイプⅠ~Ⅵの画像について、前回作成した3コラムのモデルと9コラムのモデルで推論を行った結果を表1と2にそれぞれ示します。表の各行が各画像に対する推論結果になります。
表1では、各画像の全ての黒鉛が画像名と同じタイプであると推論していますが、表2では、各画像の黒鉛に画像名とは異なるタイプのものもあるという推論結果になっています。
実際にタイプⅠ~Ⅵの各画像を見ると、「これは他のタイプだな」と思われる形状も一部含まれているので、表2の推論結果の方が妥当のように思われます。
表1 3コラムの機械学習モデルによるISO945-1 黒鉛形状区分のタイプⅠ~Ⅵの黒鉛形状の推論結果
画像ファイル \ 推論結果 | Ⅰ | Ⅱ | Ⅲ | Ⅳ | Ⅴ | Ⅵ |
---|---|---|---|---|---|---|
Ⅰ | 41 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
Ⅱ | 0 | 23 | 0 | 0 | 0 | 0 |
Ⅲ | 0 | 0 | 54 | 0 | 0 | 0 |
Ⅳ | 0 | 0 | 0 | 30 | 0 | 0 |
Ⅴ | 0 | 0 | 0 | 0 | 19 | 0 |
Ⅵ | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 21 |
表2 9コラムの機械学習モデルによるISO945-1 黒鉛形状区分のタイプⅠ~Ⅵの黒鉛形状の推論結果
画像ファイル \ 推論結果 | Ⅰ | Ⅱ | Ⅲ | Ⅳ | Ⅴ | Ⅵ |
---|---|---|---|---|---|---|
Ⅰ | 37 | 1 | 3 | 0 | 0 | 0 |
Ⅱ | 1 | 16 | 5 | 1 | 0 | 0 |
Ⅲ | 0 | 1 | 50 | 2 | 1 | 0 |
Ⅳ | 0 | 0 | 3 | 22 | 5 | 0 |
Ⅴ | 0 | 0 | 1 | 4 | 14 | 0 |
Ⅵ | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 19 |
次に、上記githunbのURLにあるサンプル画像の推論結果を表3と4に示します。
以前の記事の表の「新規格ISO法の②」の丸み係数による球状化率(sample1:86.2%、sample2:89.5%、sample3:87.7%)と比較すると、表3の3コラムのモデルで得られた球状化率は低い値になっていますが、表4の9コラムのモデルで得られた球状化率はよく一致していることが分かります。
表3 3コラムの機械学習モデルによるサンプル画像の黒鉛形状の推論結果および球状化率
画像ファイル \ 推論結果 | Ⅰ | Ⅱ | Ⅲ | Ⅳ | Ⅴ | Ⅵ | 球状化率(%) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
sample1 | 0 | 3 | 24 | 42 | 122 | 86 | 75.8 |
sample2 | 3 | 1 | 35 | 43 | 141 | 82 | 75.6 |
sample3 | 0 | 4 | 26 | 44 | 138 | 82 | 75.7 |
表4 9コラムの機械学習モデルによるサンプル画像の黒鉛形状の推論結果および球状化率
画像 \ 推論結果 | Ⅰ | Ⅱ | Ⅲ | Ⅳ | Ⅴ | Ⅵ | 球状化率(%) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
sample1 | 1 | 4 | 17 | 33 | 76 | 146 | 86.6 |
sample2 | 3 | 6 | 18 | 29 | 99 | 150 | 89.2 |
sample3 | 1 | 3 | 24 | 32 | 94 | 141 | 87.0 |
終わりに
Pycaretで作成した機械学習モデルを使って組織画像の黒鉛形状を推論し、推論結果を用いて黒鉛球状化率を求めました。9コラムと3コラムの2種類のモデルで球状化率を比較した結果、サンプル画像に対する9コラムのモデルによる結果は丸み係数による結果とよく一致しました。
とはいえ、機械学習モデルで球状化率を測定するのはプログラムが煩雑で計算時間もかかります。あくまでも、形状評価や分類に用いるべきと考えます。
なお、最適な形状パラメータの組み合わせの探求、新たな形状パラメータの追加、タイプⅠ~Ⅵの各画像において他のタイプと思われる形状を除いたデータセットの作成等により、研究的なこともできるかと思います。
何かのお役に立てれば幸いです。