目次
はじめに ~ RStudio Cloud とは? ~
RStudio
は、プログラミング言語R
のIDE
(統合開発環境) であり、多くのR
ユーザーが利用しています。R
やRStudio
は、Python
とは異なり導入や環境設定がそこまで難しくないですが、それでもクラウド環境で作業をしたい、という需要はある程度あります。
Python
やJulia
などのプログラミング言語においては、Google Colaboratory
とよばれる無料で使えるクラウド環境が提供されており、ローカルに環境を構築しなくとも、コードの共有や共同作業などが簡単にできるようになっています。
Google Colaboratory
では残念ながらR
はまだ提供されていませんが、RStudio Cloud
とよばれるクラウド環境により無料で似たようなことができるようになっています。
このあと説明していきますが、RStudio Cloud
では、Mac
, Windows
といったOSに依存せず、また自分のR
環境を他人に共有できたりするので、特に教育用の目的に利用するには向いていると言えると思います。実際、このマニュアルも私の所属する生物測定学研究室の学生実験でRStudio Cloud
を使うにあたって、作成したものです。
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RStudio Cloud の関連記事
RStudio Cloud
自体が最近ベータ版になったこともあり、かなり記事の数自体が少なく、さらに、共同作業に関する記事はほとんどなかったように思います。
RStudio の関連記事
一番下の記事は、フランス人の友人が書いたものです(もちろん英語)。少しアドバンストな内容もありますが、RStudio
に関する多くのTipsを紹介しており、一読の価値ありだと思います。
RStudio Cloud の導入
アカウントの作成
まず、RStudio Cloud
のホームページ (https://rstudio.cloud/) にアクセスしましょう。
すると、以下のような画面が出てくると思うので、アカウントを持っていない場合は "Get Started
" というボタンを押してみましょう。
"Get Started
" というボタンを押すと、アカウント作成画面に移行します。
メールアドレスとパスワード、名前を打ち込んでもアカウントが作れますが、Googleアカウントを持っている人は、それを利用してログインするといいでしょう。
ログインに成功すると、名前を決めるよう言われるので、名前を決めてアカウントを作成しましょう!
(なおこのとき確認メールが届くと思うので、メール内にあるリンクをクリックしておきましょう。)
ちなみに、普通のRStudio
みたいな感じでデスクトップ版のアプリっぽく使いたいときは、Google Chrome
をブラウザとして使っているなら、以下の画像のように、そのほかのツール > ショートカットを作成
を押して、ウィンドウとして開く
にチェックを入れることで、それっぽい感じで使えるのでオススメです。
概要
アカウントの作成が終わると、以下のような画面に移行します。
以降では、左側にある各タブ (画像の①)、つまりRStudio Cloud
でできることについて簡単に説明していきます。
Spaces
Your Workspace
現在はYour Workspace
というタブにいるのがわかると思います。
このYour Workspace
というタブでは、自分専用のProject
を作ることができ、いわゆるローカル環境と同様の作業を行うことができます。詳細については後で説明します。
New Space
New Workspace
タブを押すと、自分の好きな名前でWorkspace
を作ることができます。このようにして作ったWorkspace
は他人と共有することも可能です。詳細については後で説明します。
Learn
Guide
RStudio Cloud
の使い方に関することが全て書かれています。一読すれば、RStudio Cloud
の使い方をほぼマスターできると思います。このマニュアルも、Guide
タブに書いてあることの和訳を多く含みます。
What's New
RStudio Cloud
に関する更新情報です。
Primers
Primers
ではデータサイエンスのためのR
言語の使い方の基本を網羅したチュートリアルにより、インタラクティブに学ぶことができます。R
初学者の方は、ぜひPrimers
タブを使って勉強してみましょう!
Cheat Sheets
Cheat Sheets
タブではR
に関するいろいろなチートシートをダウンロードすることができます。深層学習や時系列データなど、データ解析に関するチートシートもあるので、一見の価値ありです。
そのほかのタブ
フィードバックや利用規約に関するものなので、そこまで気にしなくていいでしょう。
RStudio Cloud の使い方
Your Workspace の使い方
Project の使い方
RStudio Cloud
におけるWorkspace
とは、いくつかのProject
を含むことができる作業スペースとなっており、なかでもYour Workspace
は個人専用のWorkspace
となっています。
では、Project
とはなんでしょうか?Project
は、RStudio Cloud
の基本的な作業単位で、R
コード、パッケージ、データなどをカプセル化したものとなっており、Project
同士は互いに独立したものとして使うことができます。ローカルのRStudio
におけるR Project
と同様のものなので、こちらを使ったことがある人はイメージしやすいでしょう。(RStudio
を使ったことがない人は、RStudio の使い方を参考にしてみてください。)
では、早速以下の手順で新しいProject
を作ってみましょう。
と言っても簡単で、先ほどの画像の右上 (画像の②) にある、New Project
ボタンを押すだけです。
すると、少し時間をかかりますが、自動でDeploying Project > Opening Project
という表示が出たのち、以下の画像のようなRStudio
と同様の画面が現れます。
画像にもある通り、現在RStudio Cloud
のバージョンは4.0.0
とほぼ最新バージョンになっており (画像の①)、普段バージョン3.6.3
以前のものを使っている人は、仕様上いくつか異なる点があるので、注意が必要です。
さてProject
を開いたら、まず画像の②の部分から、Project
名を変更しましょう。
次に、画像の③のFiles > Upload
から解析に必要なデータなどをアップロードすることができます。複数ファイルやフォルダをいっぺんにアップロードすることもできるようです。
準備が整ったら、通常のRStudio
と同様に、画像の④から新しいR
スクリプトなどを開いて、通常のRStudio
と同様にコーディングをはじめましょう!RStudio
の使い方がわからない人は、RStudio の使い方を参考にしてみてください。
例
上の手順に沿って、データなどをアップロードすることで、以下のようなサンプルProject
、myExample
を作りました。ここでは、R
で基本的な統計解析について勉強できる、Introductory Statistics with R (ISwR
) という本の第4章の一部を抜粋したコードを、以下のような形で書きました。
ここで、画像の①のFiles
では、以下のようにフォルダを作成しファイルをアップロードしました。(フォルダは自分で作成)
-
.Rhistiry
: 元からある履歴などを保存するファイル。 -
data
: 読み込みたいデータを格納するフォルダ。-
juul.csv
:ISwR
で用いるデータ。data(juul)
でも読み込めるが、Upload
の機能をチェックするため、ローカルからアップロードした。
-
-
project.Rproj
: 元からあるProject
の設定情報を含むファイル。 -
results
: 結果を出力するフォルダ。はじめは中身は空だが、コード上でjuulNew.csv
というファイルを書き出す。 -
scripts
: スクリプトを含むフォルダ。-
ISwR_Chapter4.1_modified.R
: 今回用いたサンプルのコード。
-
また、画像の②を見ると、コードを実行するのに必要なISwR
パッケージがインストールされていないことがわかります。そんな時は、②のInstall
ボタンや③のTools > Install Packages...
からインストールしましょう。あるいは④のように
### If you have not installed ISwR package yet, then install by:
if (!requireNamespace("ISwR", quietly = TRUE)) {
install.packages("ISwR")
} ### or you can install by `Tools > Install Packages...`
と言う感じで、スクリプト上からパッケージをインストールもできます。
パッケージのインストールができれば、あとはコードの上から順に Ctrl + Enter
(Windows
/Linux
) または Cmd + Return
(Mac
) で実行していけば良いですね。
Project の共有・他人の Project へのアクセス
Your Workspace
でできることとして、自分の作ったProject
を他人に公開したり、他人の作ったProject
にアクセスすることができます。
自分の作ったProject
を他人に共有するには、まず下画像の①の設定マークを押し、②のAccess
タブから、Who can view this project
をYou
からEveryone
に変更します。
(ちなみに画像の①の設定からは、Info
タブでプロジェクトの説明を書いたり、Resources
タブからはProject
の計算に用いるメモリ・CPUの設定もできます。)
その後、画像の③のように、ブラウザからProject
のURLをコピーして、他人と共有すればOKです。
あるいは、①の設定の隣にある④の...
マークから、Share Project Link
を押せば、共有したい相手のメールアドレスを指定することで、他人にメールによりURLを教えることも可能です。
一方で、他人の作ったProject
にアクセスするのには、教えてもらったURLをブラウザで開けばOKです。
ブラウザで開くと、自動でDeploying Project > Opening Project
という表示が出たのち、以下の画像のようにRStudio Cloud
が立ち上がります。
(わかりにくいですが、先ほどの例でHamazaki Kosuke
のアカウントで作ったProject
をKosuke Hamazaki
というアカウントで開いています。)
まず画像の①からわかるように、他人の作ったProject
のURLをブラウザで開いています。
そして、②を見ると、例でみたフォルダやファイルがそのままコピーされていることがわかります。
さらに、③のように、まだこのアカウントでは何もインストールなどしていないのに、ISwR
パッケージがインストール済みであることがわかります。
このように、他人の作ったProject
が、データだけでなく、インストールされたパッケージなど環境そのものにアクセスできており、講義やワークショップなどで使う際などには非常に役立つと思われます。
このようにしてアクセスした他人のProject
を一時的に編集することは可能ですが、その変更は元のProject
に反映はされません(この時画像の④のようにTEMPORARY PROJECT
という表示が出ています)。そのProject
を保存して、自分用にカスタマイズしたい場合には、画像の④のSave a Permanent Copy
というボタンを押しましょう。すると、自分専用のProject
としてYour Workspace
に保存することができます。なおこうして保存されたProject
は、元のProject
とは独立なものとなり、自分で行った変更は他人のProject
には反映されないことには注意が必要です。(つまり共同作業はできません。)
具体的な例として、先ほどの例で作ったProject
のURLを貼っておくので、自分のYour Workspace
に保存できるか是非試してみてください。
myExample
: https://rstudio.cloud/project/1329034
なお、Your Workspace
に戻ってみると、下図のように、自分だけがアクセスできるmyLockedExample
には鍵マークがついているのに対し、先ほどリンクを共有したmyExample
には鍵がかかっていないことがわかります。
RStudio Cloud による共同作業のやり方
メンバーの招待
共同作業をするためには、まず共同作業をするためのWorkspace
を作る必要があります。なおこのようなWorkspace
のことを、Private Space
とよぶようです。
これには、左側のNew Space
(下画像の①) を押して、Workspace
の名前を決めましょう (下画像の②)。
しかし、これだけでは共同作業をすることはできません。
共同作業をするには、下画像の①のMembers
タブを押し、②のAdd Member
から、共同作業したい相手のメールアドレスを打ち込み、Workspace
への招待を行いましょう。
ここで、招待を行う際には、以下の画像の①のように、招待する相手の役割を選択することができます。
役割はそれぞれ、権限を多く持つ順に
-
Admin
: メンバーの管理を行える。また、スペース内のすべてのProject
を表示、編集、管理することができる。 -
Moderator
: スペース内のすべてのProject
を表示、編集、管理することができる。 -
Contributor
: 自分のProject
を作成、編集、管理することができる。デフォルト。 -
Viewer
: スペース内の全員と共有しているProject
を閲覧できる。
の4つに分かれているので、相手に応じて適切な役割を設定した招待しましょう。
また、いちいちメールで招待を送るのが面倒な場合は、下画像の①のようにOptions > Access
の設定を、デフォルトのInvitation required
からShared
に変える事で、Copy Sharing Link
から一斉共有用のリンクを取得できます。招待したい人がWorkspace
に参加したのを確認した後、Invitation required
に設定を戻せば、それ以上外部の人間がWorkspace
に参加できなくなるので、講義などで共同作業をしたいときには便利な機能と言えるでしょう。
Project へのアクセス
共同作業用のWorkspace
では、Contributor
以上の権限をもつ人は、自由にProject
を作成できますが、このProject
を他人に公開するかどうかを決めることができます。デフォルトでは、非公開になっていますが、以下の画像の①で設定マークを押し、②のAccess
タブで、Who can view this project
の設定をYou
からEveryone in collaborationSpace
に変更することで、共同作業相手にProject
を見せることができます。(ちなみに非公開の場合、Project
の存在自体確認することができません。)
ここでいうProject
を見せる、とは Project の共有・他人の Project へのアクセス で紹介したアクセスの仕方と同じになります。
ただし、どのような設定にしていても、Admin
とModerator
は全てのProject
の閲覧・編集が行えます。
なお、現在は同時進行で共同編集はできないため、仮に、他人が作ったProject
を、Admin
やModerator
が閲覧・編集しようとすると、下図のように、先に作業していたユーザーがProject
に一時的にアクセスできなくなります。
ただ、再読み込みやReconnect
ボタンを押すなどしてもう一度そのProject
にアクセスすると、もう片方(あるいは他のすべて)のユーザーがR Session Disconnected
になります。
課題の作成
②のAccess
タブで、Who can view this project
の設定をYou
からEveryone in collaborationSpace
に変更する際に、Make this project an assignment
にチェックを入れると、このProject
を課題として扱うことができます。例えば、教職員が、必要なパッケージやデータ、コードを詰め込んだProject
を作ったのち、これを課題とすると、学生がこの課題にアクセスするだけで、自動でこの課題をPrivate Space
に保存し、変更を加えることができるようになります。学生によって自動で作られたProject
は、Admin
である教職員がすぐチェックできるようになります。(元のProject
の下にあるView n derived objects
で確認できます。)
なお、課題は教職員が元のProject
に変更を加えても、その変更は既に課題を始めた学生のProject
には反映されないので、注意が必要です。
Workspace の設定
共有しているPrivate Space
のトップ画面まで戻ってきて、下画像の①の設定マークを押すと、②, ③からBase Project
を選択できます。Base Project
とはそのWorkspace
におけるデフォルトの設定などを定めたProject
を指します。例えば、下画像の③のadminExample
にパッケージやフォルダを入れておき、これをBase Project
として指定しておくと、今後作られた新しいProject
(既に作られているものには当てはまらない)は、パッケージやフォルダ構成が自動でadminExample
と同様のものになります。
なお、このようにBase Project
として指定するには、Workspace
内の全員にProject
を公開している必要があります。そして、Base Project
に指定すると今後そのProject
は設定を変えるまで誰からもアクセスできなくなります。
班で共同作業をする場合
これはGuide
には載っていなかったのですが、同時に共同編集できない現状の中、班で共同作業する方法を少し考えたので、ここではそれを紹介します。
- 班での共同作業用の
Private Space
を作り、班員全員を招待する。 - まず班員全員の役割を
Moderator
以上にする。 - 下図①のようにそれぞれの班員が、1つずつ自分用の
Project
を作る。(HKProject
とKHProject
)
4. 上図②のgroupProject
のように、班全体でのProject
を1つ作る。
5. 各人は、普段は自分用のProject
でコードを書き、ある程度形になったらgroupProject
にコピペする。
6. 互いの進捗状況が気になっている時は、他人のProject
に一瞬お邪魔する。この時、元のユーザーはR Session Disconnected
になってしまうので、必ず一声かけてから見せてもらう。
こうして作業を進めていき、最後にgroupProject
を代表者が整えて、発表などに使いましょう。
なお、6.のように、他人のProject
に入ると、その人の解析を邪魔してしまうので、頻繁には見に行かないようにするほか、SNSなどの連絡手段を使って、連絡を密に取り合うようにすると良いと思います。
また、TAや教職員を班に入れておくことで、彼らが進捗状況を見回りつつ、アドバイスをすることもできるでしょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。RStudio Cloud
の主な使い方としては、こんなところです。少し詳しく説明し過ぎたところもありますが、ユーザーが学生か教職員か、などによって利用の仕方がかなり異なるので、ここでは両方含めた形で説明しました。
少し触ってみたところ、無料アカウントでは、1つのPrivate Space
内に作れるProject
が25個までであったり、一人が作れるPrivate Space
の数が1つまで(招待される分には何個でも大丈夫)など、いくつか制限はありますが、Your Workspace
を使う分には、何の不自由もないように思います。
ただ、まだ同時に共同編集ができなかったり、たまにProject
の読み込みが遅い時もあります(こういう時は一度ログアウトしてログインし直しましょう)。
このように少し不便に思うところもありますが、現状でも十分使うメリットがあるものだと思います。
逆に言えばまだまだ使いやすくなるポテンシャルを秘めているということですしね。
というわけで、このマニュアルを読んで少しでもRStudio Cloud
を楽しんで使っていただければ幸いです。
RStudio の使い方
以下では、RStudio
初心者の方のために、RStudio
の使い方について簡単に説明していこうと思います。
なお、ここではRStudio Cloud
での使用を前提として、RStudio Cloud
の画面で説明を進めていきます。
RStudio
をローカルで使いたい時はここからダウンロードできます。
概要
RStudio
は、以下の画像のように、4つの区画(ペイン)に分かれており、基本的にはそれらを同時に表示しながら使います。
デフォルトでは、画像の①が、ソースコード(R
コードやコメントを含むもの)を表示するペイン、②が、コンソール(R
コードを実際に実行する場所)を表示するペイン、③が現在の環境(読み込んだデータや自分で作った変数など)を表示するペイン、④が作業している場所のファイル・フォルダを表示したり、R
で描画したプロットなどを表示するペインとなっています。他にもいろいろなペインがありますが、詳しくはRStudioの基本的な使い方・設定という記事を参考にしてみてください。
とりあえずここで覚えておいて欲しいことは、
1. コードは必ず①に書き溜める。
2. 書いたコードは、①で実行したい部分を選択、あるいは実行したい行にカーソルを合わせた状態で、Ctrl + Enter
(Windows
, Linux
) / Cmd + Return
(Mac
) を押すと、②でコードを実行でき、結果が表示される。
3. ②においてコードが実行されると、外部からデータを読み込んだり新しい変数を自分で定義したりすると、その情報が③に表示されていく。
4. ②でファイルを書き出したり読み込んだりするときには、ファイルを表示するペインが便利であるほか、②でプロットを描画するコードを実行すると、結果が④に表示されていく。あとは関数のヘルプとかも④に表示される。
ということです。
ワーキングディレクトリ
ワーキングディレクトリとは、R
が実際にファイルからデータを読み込んだり、逆にファイルにデータを書き出したりする場所を指します。通常のR
では、ワーキングディレクトリはホームディレクトリ(R
の実行ファイルがある場所)となっているのですが、RStudio Cloud
ではFiles
ペインではじめに表示されているディレクトリがワーキングディレクトリとなっています。ワーキングディレクトリを変更するには、上のメニューのSession > Set Working Directory > Choose Directory...
から変更を行うこともできますが、以下の方法の方が個人的にはおすすめです。
例えば、myExample
というProject
で、data
というフォルダをワーキングディレクトリにしたいなら、以下の画像のように、① Files
からdata
フォルダの中に移行して、② More > Set As Working Directory
で設定できます。
他にもR
のコード上でsetwd()
関数を使ってワーキングディレクトリのPATH
を指定する方法もありますが、上のやり方の方が簡単でやりやすいと思います。
RStudio の設定
RStudio
の設定は、下画像の①のようにTools > Global Options...
から変更できます。
設定では、コードを書いている際のことから、外観まで色々と変更を行うことができます。
ここでは、コードの設定については割愛して、外観を変える話だけしようと思います。
RStudio
のおすすめの設定に関しては、R Tips & Tricksという記事がかなり詳しく紹介してくれているので、ぜひそちらも見てみてください。
RStudio のレイアウトの変更
Tools > Global Options...
を押すと、下の画像のように真ん中にOptions
が現れるので、まず①のようにPane Layout
タブを押してみてください。すると、各ペインを色々と動かせるようになっているのがわかると思います。
なお、全てを自由に動かせるわけではなく、Source
とConsole
ペインにはそれぞれ一つの区画が割り当てられ、残りの2つの区画をその他のペインで取り合う、という感じになっています。
上の画像の② ~ ④は、オススメのPane Layout
を示しています。
まず、②のように右上にConsole
をおくことで、Source
ペインとの間の視点移動がしやすくなります。
また③のように左下にはそこまで使わないペインを集めておくことで、普段は下図のように、Source
ペインを広く使いながらコード書くことができます。そして、④のように残りの比較的よく使うペインを右下に集めておく、というわけです。
ただあくまで、これは好みの問題も多く含むので、自分にとって適切だと思う配置にして、効率よく作業できる環境にしておきましょう。
RStudio の外観の変更
再び、Tools > Global Options...
を押し、下画像の①のAppearance
タブを押すと、外観をいじることができます。
②のRStudio theme
からはペインの外の枠などの印象を変えることができます。例えば、Modern
からSky
に変えると、後ろに写っているように水色がかった枠に変化します。③のEditor font size
ではその名の通りフォントサイズを変えられます。また、④のEditor theme
では、それぞれのペインの背景色や、コードの色などの変更が行えます。右側の例が示している通り、Editor theme
によってガラッと印象が変わるので、自分の使いやすいものを選びましょう。特に、背景を明るいものにするか暗いものにするかというのは大事な選択ですね。
(ちなみに、ローカルのRStudio
の場合、これらに加えてフォントの種類も選ぶことができます。)
さて、このように設定を変更すると、以下の画像のように外観が変化しました。
外観をいじるだけでこんなに印象が変わるので、自分の使いやすいものを納得いくまで選ぶといいでしょう。
Keyboard Shortcuts
最後にいくつかのKeyboard Shortcuts
を紹介したいと思います。Keyboard Shortcuts
を知っておくと、コードを書くスピードが圧倒的に速くなるので、よく使うものは覚えておくようにしましょう。
なお、Windows
, Linux
とMac
の間で違うものは、
-
Ctrl + Z
/Cmd + Z
: 元に戻す
のように、/ で区切った1つ目がWindows
, Linux
、2つ目がMac
用のショートカットです。
また、個人的によく使うものを太字にしておきます。
一般的なショートカット
他のものと共通しているショートカットが多いです。
Ctrl + Z
/Cmd + Z
: 元に戻すCtrl + Shift + Z
/Cmd + Shift + Z
: やり直し-
Ctrl + A
/Cmd + A
: 全選択 -
Ctrl + C
/Cmd + C
: コピー -
Ctrl + V
/Cmd + V
: ペースト -
Ctrl + S
/Cmd + S
: ファイルの保存 Ctrl + F
/Cmd + F
: 現在のファイル内での検索(R
の検索・置換はめっちゃ便利です)-
Ctrl + Shit + F
/Cmd + Shift + F
: 複数ファイル間での検索 -
Ctrl + w
/Cmd + W
: 現在のタブを閉じる Tab
: インデント・自動補完Ctrl + Shift + F10
/Cmd + Shift + 0
:R
セッションのRestart
。計算を初めからやり直す際などに行う必要がある。
コードの実行・エディタ操作に関するショートカット
Ctrl + Enter
/Cmd + Return
: 選択した行の実行。あるいはカーソルのある行を実行し、次の行へカーソル移動。-
Alt + Enter
/Alt + Return
: カーソルのある行を実行し、その場にカーソルを留める。 Crtl + D
/Cmd + D
: その行を削除Ctrl + Shift + D
/Cmd + Shift + D
: その行を複製-
Alt + -
:R
の代入記号<-
を挿入 Ctrl + Shift + C
/Cmd + Shift + C
: 選択した行をコメント(#
+空白でコメントされている行はアンコメント)-
Ctrl + I
/Cmd + I
: インデントを自動で整える。実は、Ctrl + A
,Ctrl + C
,Ctrl + V
のコンボでも同じことができる。 Ctrl + Shift + A
/Cmd + Shift + A
: 空白の調整などコードを自動で整える(ただし自分の望まないようになるケースもある)-
Ctrl + P
: 括弧の上で行うと、もう一方の対応する括弧へ移動(括弧関係のデバッグに使える)
他にも色々とありますが、R Tips & Tricks - 3.4 Keyboard shortcuts and useful command を参考にしてもらうといいと思います。具体例もついていてわかりやすいです。
あとは、Alt + Shift + K
のショートカット、また下画像の①, ②のようにTools > Keyboard Shortcuts Help
を押せば、Keyboard Shortcuts
のヘルプを見ることができます。
ヘルプは下画像のような感じで出てくるので、必要に応じて使ってみましょう。
以上が、RStudio
の簡単な使い方でした。まあ習うより慣れろという感じで、実際に使っていったらどんどん慣れていくと思います。今回はRStudio Cloud
に関してピックアップしているので、説明が足りないところもありますが、わからないところがあったら、他の関連記事を見ていただいたり、自分で調べて見ていただければ幸いです。もちろん、コメントで質問していただければ、できるだけ答えて、場合によっては追記していきたいと思います。