COBOLからJavaへ刷新、そしてBPRではまずは動くものを作ろう!
こんにちは、Naotoです。∬
多くの企業で課題となっているCOBOLによるレガシーシステムの刷新。その際、Javaなどのモダンな技術への移行だけでなく、BPR(ビジネスプロセスリエンジニアリング)の視点を取り入れることで、単なる技術移行以上のビジネス価値を生み出すことが可能です。この記事では、「まずは動くものを作る」というアプローチを中心に、COBOLからJavaへの刷新とBPRを効果的に進めるための考え方を整理します。
なぜ「まずは動くものを作る」のか?
1. リスクの最小化
レガシーシステム刷新はリスクが大きいプロジェクトです。全てを一括で移行しようとすると、以下のような課題に直面することがあります。
- 複雑なビジネスロジックの把握
- 大量のデータ移行による整合性の問題
- 開発期間の長期化
小さな単位で動作するものを作り、検証を繰り返すことで、これらのリスクを低減できます。
100名異能の規模になると、リアファクタリングをする前提の考え方でプログラムを作った方が良いと実感しています。
2. スピード感ある開発
「完璧なシステム」を目指して設計に時間をかけるよりも、最低限の要件を満たす「動くもの」を作り、早期に運用でのフィードバックを得る方が、プロジェクトのスピードを上げることができます。
廃止する機能や追加の機能は置いておき、現行踏襲で進めることを推奨したいです。
COBOLからJavaへの刷新:具体的なプロセス
1. 現状分析
- 対象業務の特定: どの業務プロセスがシステム刷新の対象かを明確にする。
- レガシーコードの解析: COBOLのコード構造、ビジネスロジック、データフローを把握する。
2. スモールスタートで進める
「まずは動くものを作る」を実践するために、以下の段階的アプローチを取ります:
- 最小限の機能を切り出し: 移行対象の中でも、影響範囲が小さく、重要なビジネス価値を持つ部分を優先。
- プロトタイプの開発: Javaで試験的に動くシステムを構築し、動作検証を行う。
3. モダン技術を活用
- 自動変換ツールの利用: AIを活用してCOBOLコードをJavaコードに変換。
- クラウド移行: クラウドネイティブな環境での運用を見据えた設計を採用。
現在だとAIに任せて行うのが支流になりつつありますね。前段で記載していた「リファクタリング」は後に回すはここにも繋がってきます。
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BPR(ビジネスプロセスリエンジニアリング)と併用するメリット
契約形態に関わらず、COBOLからJavaへの移行プロセスでは、以下のBPR(ビジネスプロセスリエンジニアリング)の視点が重要だと考えます。
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業務プロセスの最適化
- 技術刷新に加えて、現行のビジネスプロセスそのものを見直すことで、効率化やコスト削減が可能です。
- システム刷新を機に、無駄な業務フローや重複を排除します。
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ユーザーの巻き込み
- システム利用者を開発初期から巻き込み、「何が本当に必要か」を明確化。
- プロトタイプを使った早期のユーザーテストを通じて、現場のニーズを反映。
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データ主導の意思決定
- レガシーシステムでは困難だったデータ分析を可能にする新システムを構築し、経営判断の質を向上させます。
コミュニケーションが鍵を握っていると言っても過言ではないかもしれません。
お互いのゴールと状況の共有を素直に連携できる関係性も重要かもしれません。
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契約形態ごとの方針の違い
1. 請負契約
請負契約は、完成物に対して責任を負う形式です。この形態では、以下の特徴があります:
- 仕様確定が必須: 初期段階で詳細な仕様書を作成し、それを元にシステムを開発。
- 変更対応のハードル: 要件変更が発生すると契約変更が必要となり、柔軟性が低い。
対応方針
- 動くものを早期にプロトタイプとして提示し、クライアントの合意を得やすくする。
- 要件変更の余地を契約内で明確に定義しておく。
2. 自社サービス
自社内でシステムを開発・運用する形式では、柔軟性が高い反面、責任も全て自社に帰属します:
- 柔軟なプロセス管理: 計画と実行を自社内で調整可能。
- 長期的な投資視点が必要: 継続的な保守・運用を前提とした設計が求められる。
対応方針
- プロトタイプを運用に組み込みながら改善を進めるアジャイル開発を採用。
- 長期的な視点でのコスト試算と技術的負債の管理を徹底。
3. 準委任契約
準委任契約では、業務の遂行そのものに責任を負い、成果物そのものの完成保証はありません:
- スピード感がある: フレキシブルに人材を投入して開発を進めやすい。
- 成果物の責任範囲が曖昧: 成果物の品質や仕様確定が遅れる場合がある。
対応方針
- 開発過程で成果物を段階的にレビューし、品質を担保。
- 「まずは動くもの」をクライアントと合意しつつ進め、随時フィードバックを反映。
事例紹介:「まずは動くものを作る」アプローチの成功例
事例1: 金融機関のシステム刷新
- 課題: COBOLベースの基幹システムが老朽化し、新規機能追加が困難。
- 対応: 一部の非中核業務をスモールスタートでJavaに移行。プロトタイプ段階でフィードバックを得ながら段階的に拡張。
- 結果: 保守コストを30%削減、新機能リリースが迅速化。
事例2: 小売業の在庫管理システム
- 課題: レガシーシステムでは在庫データのリアルタイム可視化が不可能。
- 対応: 部分的にJavaでクラウド対応のモジュールを開発し、既存システムと統合。
- 結果: 在庫誤差を大幅に削減し、業務効率化を実現。
まとめ
COBOLからJavaへの刷新は技術的な移行だけでなく、業務プロセスそのものを再構築する絶好の機会です。そして「まずは動くものを作る」というアプローチを採用することで、以下のような効果が期待できます。
- リスクを抑えつつ、確実に成果を上げる
- 現場のニーズに合ったシステムを構築
- 開発プロセスをスピーディーに進める
私自身もBPR案件に何度か参画したことはありますが、開発者とマネジメント層とクライアントで考えていることが違い、度々問題に発展した記憶があります。
その時代はAIもなかったので、今後はAIを活用し、コスト効率・品質についても飛躍的に向上するのではないかと、ひそかに期待しています。