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はじめに

ご覧いただき、ありがとうございます。

いきなりですが、質問です。

あなたはエンジニアですか?
デザイナーですか?
それともディレクターでしょうか?

多くの方が、自分の職種を思い浮かべながら「はい」と答えるのではないかと思います。

もし私が同じ質問をされたら、こう答えます。

「エンジニアをさせていただいております。」

少し回りくどい表現に聞こえるかもしれません。
ですが、私はあえてこの言い方をしています。

なぜそう考えているのか。

今回は、「肩書きは誰が決めているのか」というテーマについて書いてみたいと思います。

「私はエンジニアです」は本当に成立するのか

「私はエンジニアです。」

この一文に違和感を覚える人は、ほとんどいないと思います。

ですが、少しだけ意地悪な質問をしてみます。

誰が、あなたをエンジニアだと認めたのでしょうか。

もちろん、自分がそう思うことは自由です。
ですが、「私はエンジニアです」という言葉は、自分だけで成立するものなのでしょうか。

私は、そうではないと思っています。

エンジニアという肩書きを与えているのは誰か

IT分野には、基本情報技術者試験をはじめとする国家試験があります。
しかし、「エンジニア」という肩書きそのものを保証する国家資格があるわけではありません。

  • 資格を持っているからエンジニア。
  • プログラミングスクールを卒業したからエンジニア。
  • GitHubでコードを公開しているからエンジニア。

私は、どれも少し違うと思っています。
では、何がその人をエンジニアたらしめているのでしょうか。

例えば、

  • コードを書いてほしい
  • 設計を任せたい
  • レビューをお願いしたい
  • 障害調査を相談したい

そう思って仕事を任せてくれる人がいる。
だから、その人はエンジニアとして存在できます。

逆に言えば誰からもエンジニアとして仕事を任されないのであれば、「私はエンジニアです」という言葉は、自称の域を出ません。

少し厳しい表現になりますが、肩書きとは、自分で名乗るものではなく、他者から認められた結果として与えられるものなのだと思います。

世の中には二種類の職業がある

ここで少し視点を広げてみます。
私は、世の中の仕事には大きく二つの種類があると思っています。

資格によって定義される仕事

例えば、

  • 医師
  • 弁護士
  • 看護師
  • 薬剤師

これらは国家資格を取得した時点で、その職業として社会から認められます。

もちろん実力には差があります。
ですが、「医師である」「弁護士である」という肩書きそのものは、資格によって保証されています。

他者から認められることで成立する仕事

一方で、

  • エンジニア
  • デザイナー
  • ディレクター
  • プロジェクトマネージャー
  • コンサルタント

こうした仕事には、肩書きそのものを保証する資格がありません。
だからこそ、「この人にお願いしたい」という評価が積み重なることで、その肩書きが成り立っています。

つまり、IT業界は常に他者からの評価と共にある世界なのです。

自分の評価だけでは完結しない

例えば、

  • 技術書を100冊読んだ
  • 毎日コードを書いている
  • 個人開発を続けている
  • 技術記事を書いている

どれも素晴らしい努力です。
ですが、それだけでは市場価値は決まりません。

市場価値とは、「この人にお願いしたい」と思ってくれる人がいて、初めて生まれるものだからです。

能力と市場から評価される能力は、必ずしも一致しません。

だからIT業界では、自分自身の評価だけで完結することはないのです。

誰が自分をそのポジションに留めているのか

では、自分をエンジニアというポジションに留めているのは誰なのでしょう。

  • 会社でしょうか。
  • 上司でしょうか。
  • お客様でしょうか。
  • 一緒に働くチームでしょうか。

私は、そのすべてだと思っています。

  • レビューを依頼してくれる人。
  • 設計を相談してくれる人。
  • 仕事を任せてくれる人。
  • 「また一緒に仕事をしたい」と思ってくださる人。

その一人ひとりが、自分をエンジニアという場所に立たせてくれています。

肩書きとは、自分一人で維持できるものではありません。人との関わりの中で、少しずつ育っていくものなのだと思います。

だから技術だけでは足りない

この考え方に立つと、「技術だけ磨けばいい」という話ではなくなります。

もちろん技術力は重要です。
ですが、それと同じくらい、

  • 報連相
  • 約束を守ること
  • 説明する力
  • 相手への配慮
  • 信頼を積み重ねること

こうした力も、肩書きを支える大切な要素になります。
技術だけでは仕事は任されません。

「この人とまた仕事をしたい。」

そう思っていただけることも、エンジニアという肩書きを維持するために必要な能力なのだと思います。

おわりに

ここまで読んでくださった方なら冒頭で私がなぜ、

「エンジニアをさせていただいております。」

と答えたのか、お分かりいただけたかもしれません。

私は、自分一人でエンジニアになったとは思っていません。

  • 仕事を任せてくださるお客様。
  • 一緒に働いてくださる仲間。
  • 相談を持ちかけてくださる方。
  • レビューを依頼してくださる方。

その一人ひとりが、「あなたはエンジニアです」と認め続けてくださっているからこそ、今の自分があります。

だから私は、「エンジニアです」と言い切るよりも、「エンジニアをさせていただいております」という言葉の方がしっくりきます。

肩書きは自分で名乗るものではありません。
他者から認められ続けた結果として、そこに残るものです。

だからこそ私は技術を磨くことと同じくらい、「この人とまた仕事をしたい」と思っていただける人であり続けたいと思っています。

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