はじめに:AIコーディングの「次の段階」へ
2025-2026年、エンジニアの開発環境は劇的に変化しました。
- GitHub Copilot: コード補完の革命
- Cursor: AIネイティブIDEの登場
- Claude Code: ターミナルからの対話型開発
そして今、Google Antigravity が「エージェントファースト」の設計思想で、次の段階へと私たちを導こうとしています。
「自然言語でコードを生成する」段階は終わりました。次は 「AIが計画し、実装し、検証する」 時代です。
今回は、Antigravityを使ったDX提案の現場で、「PoCの納期を半減しつつ、技術的負債を溜めない」 ための、私の実践パターンを共有します。
Antigravityが「他のAIエディタ」と根本的に違う点
1. Planning機能:「作る前に考える」強制
CursorやClaude Codeも優秀ですが、「リクエスト→即座にコード生成」 の流れが基本です。
一方、Antigravityは必ず「計画(Plan)」を提示してきます。
【Plan: n8nカスタムノード作成】
1. 要件分析
- 入力: APIレスポンス(JSON)
- 処理: データ正規化
- 出力: n8n標準形式
2. ファイル構成
- nodes/CustomNode/CustomNode.node.ts
- nodes/CustomNode/genericFunctions.ts
- credentials/CustomApi.credentials.ts
3. 実装ステップ
[ ] ステップ1: 型定義
[ ] ステップ2: APIクライアント実装
[ ] ステップ3: ノード本体実装
[ ] ステップ4: テスト
承認しますか? [実行] [修正] [キャンセル]
これが重要です。 AIが「何を」「どの順序で」やるかを明示することで、予期しない大規模な変更(=技術的負債の元)を防げます。
2. 非同期エージェント:「並列開発」が可能
Antigravityは複数のタスクを並列で実行できます。
# タスクA: APIクライアント実装
# タスクB: ドキュメント作成
# タスクC: テストケース生成
→ 3つ同時に進行し、完了を通知
これにより、「待ち時間」が生産時間に変わります。
実装例:n8nカスタムノードをAntigravityで作る
具体例として、「謎Excelをパースするn8nカスタムノード」(過去記事のテーマ)をAntigravityで実装する流れを見てみましょう。
Step 1: 要件を自然言語で伝える
「Excelのセル結合を解消して、フラットなJSONに変換するn8nノードを作って。既存のSpreadsheet Fileノードでは対応できない、複雑な結合パターンを想定して。TypeScriptで、n8nのノード開発規約に従って。」
Step 2: 計画のレビュー(人間の介入ポイント①)
Antigravityが提示するPlanを確認します。
- OKなら: 「実行」をクリック
- 修正が必要なら: 「セル結合の解析ロジックは別ファイルに切り出して」と指示
この時点で設計の修正ができるため、後からの大規模なリファクタリングを防げます。
Step 3: 非同期実装と進行状況の可視化
Antigravityは各ステップの進行状況をリアルタイムで表示します。
[ステップ1/4] 型定義作成... ✓完了 (30秒)
[ステップ2/4] APIクライアント実装... ✓完了 (45秒)
[ステップ3/4] ノード本体実装... 進行中 (推定60秒)
[ステップ4/4] テスト作成... 待機中
この間、私は 別のタスク(仕様書作成など) を進められます。
Step 4: Diffレビュー(人間の介入ポイント②)
実装完了後、差分(Diff)をGUIで確認できます。
// Antigravityが生成したコード(例)
export class ExcelMergeParser implements INodeType {
description: INodeTypeDescription = {
displayName: 'Excel Merge Parser',
name: 'excelMergeParser',
// ... 自動生成された定義
};
async execute(this: IExecuteFunctions): Promise<INodeExecutionData[][]> {
// セル結合を解消するロジック
const mergedCells = this.getNodeParameter('mergedCells', 0) as IDataObject;
// ... 実装詳細
}
}
- 問題点があれば: 「セル結合の判定ロジックが甘い。A1:B2のような範囲も考慮して」と指示し、再実装させます。
Step 5: 自動コミット(地味に便利)
# Antigravityが自動生成
git commit -m "feat: add ExcelMergeParser node with cell merge resolution
- Support multi-range merged cells (A1:B2, etc.)
- Flatten nested structures to JSON
- Add error handling for invalid formats"
コミットメッセージまで考えてくれるため、ドキュメントの体裁も整います。
技術的負債を防ぐ「人間の介入ポイント」設計
Antigravityは強力ですが、「全てを任せる」 と技術的負債が溜まります。
私が実践している3つの介入ポイントを紹介します。
介入ポイント①: Planning承認(設計段階)
AIが提案する設計に、無批判に「Yes」しない。
特に注意すべきは:
- 「将来的に〜」という予測に基づく過剰な抽象化
- PoCに不要な永続化レイヤーの追加
判断基準: 「このPoCは3週間後に捨てられるか?」→ Yesなら最小構成で。
介入ポイント②: Diffレビュー(実装段階)
以下のコードパターンは必ず人間が確認します。
| 要注意パターン | 理由 |
|---|---|
| any型の多用 | 型安全性の低下 |
| 深いネスト(3レベル以上) | 可読性・保守性の低下 |
| 外部APIの直接呼び出し(ラップなし) | テスト困難、レートリミット処理の欠如 |
| ハードコードされた定数 | 環境依存のバグ |
介入ポイント③: テスト結果の検証(検証段階)
Antigravityはテストコードも生成しますが、「テストが通る=正しい」 ではありません。
// AIが生成したテスト(要注意)
test('should parse Excel', () => {
const result = parser.parse(mockData);
expect(result).toBeDefined(); // ← これは不十分
expect(result.length).toBeGreaterThan(0); // ← これも不十分
});
// 人間が補強すべきテスト
test('should flatten merged cells A1:B2 into 4 separate rows', () => {
const result = parser.parse(mergedCellMock);
expect(result).toHaveLength(4);
expect(result[0].cellRef).toBe('A1');
expect(result[1].cellRef).toBe('A2');
expect(result[2].cellRef).toBe('B1');
expect(result[3].cellRef).toBe('B2');
});
「具体的な入出力の例」を追加指示することで、テストの質が向上します。
比較:Antigravity vs Cursor vs Claude Code
| 観点 | Antigravity | Cursor | Claude Code |
|---|---|---|---|
| 最強の武器 | Planning + 非同期エージェント | コンテキスト理解+ Composer | ターミナル統合 |
| PoC向き度 | ★★★★★ | ★★★★☆ | ★★★☆☆ |
| 本番コード向き度 | ★★★★☆ | ★★★★★ | ★★★★☆ |
| 技術的負債リスク | 中(Planningで軽減) | 中(Composerで軽減) | 高(即座実行) |
| 学習コスト | 低(VS Codeベース) | 低(VS Codeベース) | 中(CLIベース) |
私の使い分け:
- PoC/MVP(1-2週間): Antigravity(スピード優先)
- 本番実装(長期): Cursor(品質・コンテキスト優先)
- 緊急バグ修正: Claude Code(ターミナルから即座に)
まとめ:AIエージェント時代の「エンジニアの価値」
AntigravityのようなAIエージェントの登場で、「コードを書く速度」 はもはや差別化要因ではありません。
本当に価値があるのは:
- 「何を作るか」の設計力(要件定義)
- 「どこまで妥協するか」の判断力(技術的負債管理)
- 「AIの出力を検証する」批判的思考力
Antigravityは、①を高速化し、③を可視化してくれるツールです。
これからのエンジニアは、「AIのオーケストレーター」 として、より高度な設計・判断・検証に専念する時代になります。
SUS、Augue、アイエンターの現場で、「PoCを1週間で作り、3週間で本番化する」 というスピードが求められる中、Antigravityの「Planning機能」と「非同期エージェント」は、最強の武器になると確信しています。
🔗 参考リンク
著者:@YushiYamamoto
株式会社プロドウガ代表 / フルスタックエンジニア。
「技術的負債は返せるなら背負え」がモットー。n8nとTypeScriptを駆使して、泥臭くも止まらない業務自動化システムを構築しています。
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