Google Antigravity は、agent-first な開発プラットフォームです。
workspace 上のファイルを参照しながら、エージェントに作業を進めさせやすいのが特徴です。
今回はその上で、Markdown + Git ベースの LLM Wiki 運用を最小構成で立ち上げ、最初の Ingest までを最短ルートで試す手順をまとめます。
Antigravity 自体に標準の「Wiki機能」があるわけではありません。ワークスペース上に独自の運用ルールを置き、エージェントにそれを参照させることで「編纂者」として機能させます。
1. ディレクトリを作る
まずはターミナル、または Antigravity 内のターミナルパネルで土台を作成します。
# プロジェクトディレクトリと必要なフォルダを一括作成
mkdir -p my-llm-wiki/raw my-llm-wiki/wiki
cd my-llm-wiki/
2. SCHEMA.md を作る
エージェントに守らせる運用ルール(スキーマ)をプロジェクトルートに定義します。
# LLM Wiki Ingest Schema
1. 役割: あなたはナレッジベースの編纂者です。`raw/` の情報を読み、`wiki/` にMarkdownを出力します。
2. ページ命名規則: 生成するファイル名はスネークケースの英小文字とすること。
3. 出典の明記: 記述の末尾には必ず `[Source: raw/filename.pdf]` を残すこと。
4. リンク規律: 関連概念がある場合は `[[concept_name]]` の形式で内部リンクを作成すること。
5. 未確定情報の扱い: 推測で補完せず、必ず「要確認: [不明点]」として明記すること。
3. 入れる一次情報の選び方
LLM Wiki に向いているのは、「複数資料を読み合わせないと理解しにくい情報」 です。raw/ フォルダに以下のセットなどを投入してください。
- 仕様書 + 議事録: 仕様と「なぜそうなったか」の議論を統合
- ADR + API定義: 設計判断の背景と実装インターフェースを紐付け
- 規定集 + 手順書: 膨大なルールから「開発者が今やるべきこと」を抽出
4. エージェントに Ingest を指示する
Antigravity の Manager Surface からエージェントを起動し、以下の指示を送ります。
SCHEMA.md のルールを読み込んでください。その後、raw/ ディレクトリ内にあるドキュメントを読み込み、wiki/ 内に構造化された Markdown として Ingest を実行してください。まずは wiki/index.md を作成し、そこから各概念へのページへリンクを張る形でファイルを分割してください。
試して分かった注意点
実際に Ingest を実行して確認できた、エージェント特有の挙動と対策です。
-
大量投入による解像度の欠落:
- 一度に数十ページの資料を処理させると、細かい表などが箇条書きに丸められてしまうことがあります。高密度な知識を維持したい場合は、2〜3 ファイルずつ小分けに Ingest させるのが無難です。
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ゴーストリンクの発生:
- Markdown 内に
[[new_page]]というリンクだけが作られ、実ファイルが出力されないことがあります。その際はエージェントへ「wiki/ を確認し、不足している実体ページを補完して」と追加で依頼してください。
- Markdown 内に
次にやること:運用規律の自動化
強力なエージェントであっても、一度の指示で完璧な Wiki を維持し続けるのは困難です。
知識を腐らせないためには、リンク切れや出典喪失を機械的にチェック・修復する 「Lint / Repair」 の規律を CI 等で組み合わせるのが、LLM Wiki 運用の完成形となります。
参考リンク
この記事を書いた人✏️@YushiYamamoto
株式会社プロドウガ CEO / AIアーキテクト
Next.js / TypeScript / n8nを活用した自律型アーキテクチャ設計を専門としています。
日々の自動化の検証結果や、ビジネス側の視点(ROI等)に関するより深い考察は、以下の公式サイトおよびnoteで発信しています。
