はじめに
化学反応の遷移状態を求めるには、通常、反応物と生成物の構造をあらかじめ仮定し、経験に基づいて反応座標を設定する必要があります。Mat3raプラットフォームのリリース2026.8.27では、この作業を自動化する新機能として、AFIR(人工力誘起反応、Artificial Force Induced Reaction)法とMACE機械学習力場を組み合わせた反応経路探索ノートブックを追加しました。
AFIR法について
AFIR法は、反応物間に人工的な力(バイアス)を加えることで、通常の量子化学計算だけでは見つけにくい反応経路を効率的に探索する手法です。今回のノートブックでは、このバイアスを取り除いた後のエネルギープロファイルから、経路上の極大点を遷移状態の推定値として特定します。
検証例:クライゼン転位
今回の実装では、アリルビニルエーテルが4-ペンテナールへと変化するクライゼン転位を例に検証を行いました。AFIRステップに沿って、新たに生成されるC–C結合と切断されるC–O結合の距離を追跡することで、反応機構を直接可視化できます。
まとめ
MACEのような機械学習力場とAFIR法を組み合わせることで、量子化学計算単体よりもはるかに低い計算コストで反応経路探索が可能になります。詳細はMat3raのリリースノートをご覧ください。
