はじめに
私のチームではシニアとジュニアが大体半々の割合で所属しています。
最近はGitHub Copilotを活用することで、プロダクト開発未経験のジュニアでも「まず動くもの」を短時間で作れるようになりました。
一方でレビューにも明らかな変化が生まれています。
本記事では私たちの現場で生まれた ジュニア × Copilot × シニア の新しいレビュー文化について共有します。
1. “動くコード”はゴールではない時代に
Copilot は便利ですが次のような課題もあります。
- なぜこの設計なのか
- どういう思想で書かれているのか
- 将来のメンテナンス性はどうか
AIで簡単に動くコードが作れるようになった今だからこそ、コードの意味や文脈を理解する力がより重要になっています。
2. ジュニア × Copilot × シニアで回るレビューサイクル
私たちの現場では次のような自然な流れができています。
- Copilotがコードを生成
- ジュニアが理解を試みる
- シニアがレビューで背景を補う
- 腹落ちして次に活かす
Copilotが入口を作り、シニアが文脈を与え、ジュニアが理解を深めるというサイクルです。
この 循環 が以前より 速い学習と成長 につながっています。
3. レビューは「指摘」から「コーチング」へ
AI生成コードは抽象的だったり、設計意図が分かりづらいことも多く、シニアの負荷は増えました。
しかし意外にもシニア側からは振り返りの中で次のような前向きな声が出てきました。
- ジュニアの理解が早く、成長を実感できる
- 背景説明を通じてレビューが対話として成立する
- 育てる楽しさが生まれている
レビューが バグ指摘の場ではなく“学びの場” に変わってきていると感じます。
4. ジュニアが“AIを使いこなす側”へ変化している
レビュー文化が育つにつれ、ジュニアにも変化が見えてきました。
- PR前に生成コードの背景を調べる
- すべてAIに任せず部分的に使い分ける
- 自分のコードをAIにセルフレビューさせてみる
あるメンバーはこう言ってくれました。
「もっと理解したいので資格取得に挑戦してみます!」
経費で落ちますか?笑
AIが単なる“自動化ツール”ではなく、 “学習のきっかけ” へと役割を変えた瞬間でした。
5. 最適解ではない。でも“育つ文化”になっている
このやり方が最効率だとは思っていません。
もっと洗練された育成方法もあるでしょう。
それでも現場では確かな変化が生まれています。
- 背景理解が深まる
- 技術的な対話が増える
- ジュニアが主体的になる
- シニアもやりがいを感じられる
これはたしかに “成長を促す文化” として機能していると感じます。
おわりに
AIによって開発スタイルが変わる中で、レビュー文化も大きく変わりつつあります。
ここで紹介した内容は特別でなく、似た構成のチームならどこでも起こり得る変化だと感じています。
さらに言うとチームとして知見を貯め、成長サイクルが回るような仕組みを整えることで、プロダクトに新たな価値を追加していくことがAI時代のマネージャーの役割なのかなとも思いました。
「こんな形でも成長が生まれる」という一例として参考になれば幸いです。
参考リンク
私のチームはまだまだ立ち上がったばかりのチームであり、0→1のプロダクト開発をしています。
以下の記事はチームや個人がさらに成熟してくると顕在化する課題や方向性に示唆を与えてくれるものでしたので紹介しておきます。