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Azure IoT Hubに送信したデータを可視化する(App Service編)

Last updated at Posted at 2021-05-19

はじめに

横河電機のエッジコントローラe-RT3 Plus F3RP70-2L1をAzure IoT認定デバイス2に登録する担当者として、Azure IoT Edgeについて勉強しました。
その内容を数回に分けてご紹介します。
こちらで第6回目の記事となります。
3回目までの記事で、エッジデバイスへのAzure IoT EdgeランタイムのインストールからサンプルのPythonモジュールをデプロイして動作確認する流れを説明しています。

また、4、5回目の記事でエッジデバイスのデータを収集しIoT Hubへ送信するPythonモジュール、データを書き込むPythonモジュールを作成、デプロイする手順を説明しています。

ここからはIoT Hubへ送信されたデータを可視化していきます。
今回はAzure App Serviceを使用し、Webアプリを作成してみます。

AWS IoT Greengrassのインストール手順の紹介はこちらからどうぞ!

環境

動作確認したデバイス(OS)

  • PC(Windows 10)+Google Chrome
    Web閲覧用です。

  • e-RT3 Plus F3RP70-2L(Ubuntu 18.04 32bit)+アナログ入出力モジュール
    モジュール構成、配線は前回と同様に以下の通りです。

    • e-RT3 Plus F3RP70-2L(CPUモジュール)
    • F3AD08-6R(アナログ入力モジュール)
    • F3DA04-6R(アナログ出力モジュール)
    • F3BU05-0D(ベースモジュール)
    • F3PU20-0S(電源モジュール)

こちらのデバイスでは armhf アーキテクチャのパッケージが動作します。
また、Windows 10 搭載のPCでモジュールの開発とデバイスの操作を行っています。
(前回までの記事と同様です。)

IoT EdgeとDockerのバージョン

Terminal
$ iotedge --version
iotedge 1.1.1
$ docker --version
Docker version 20.10.5+azure, build 55c4c88966a912ddb365e2d73a4969e700fc458f

ゴール

最終的なゴールは以下の図のような、Azure IoT EdgeランタイムをインストールしたUbuntu 18.04搭載のエッジデバイスでPythonのデータ収集モジュールとデータ書き込みモジュールを作成し、収集モジュールのデータをIoT Hubへ送信し、Power BIとAzure App Serviceで作成したWebで可視化することです。
App ServiceとPower BIでデータを可視化する手順や構成はMicrosoftの公式ドキュメント34を参考にし、図中のアイコンはこちらを使用しています。

今回はApp ServiceでWebアプリを作成し、IoT Hubへ送信されたデータをWeb上で可視化することをゴールとします。

具体的な流れは以下の通りです。

  1. Azure App Serviceのリソースを作成する
  2. Webアプリを作成し、デプロイする
  3. IoT Edgeデータ収集モジュールアナログ入力モジュールの全チャネルのデータを2秒周期で収集し、IoT Hubへ送信する
  4. Iot Hubへ送信されたデータをWebアプリで可視化する

goal.png

準備

今回説明する内容は、IoT Hubへ可視化したいデータが送信できていることを前提に説明しています。

開発環境

GitはWebアプリのデプロイで使用するため、必要に応じて上記のリンクから取得してください。
また、開発の手順は基本的にはMicrosoft公式のドキュメント3に従っていますが、こちらではAzure PortalとVS Codeを使用します。

IoT Hubコンシューマーグループの設定

  1. Azure PortalからIoT Hubを開き、左側のメニューから「組み込みのエンドポイント」を探してクリックします。
  2. 画面が切り替わったら「コンシューマーグループ」の設定を探し、任意のコンシューマーグループを作成します。 作成したコンシューマーグループ名はあとで使用するため、メモしておくと便利です。

iothub_002.png

IoT Hub接続文字列の取得

  1. 画面左側のメニューから「共有アクセスポリシー」を探してクリックします。 画面が切り替わったらポリシー「iothubowner」をクリックします。
  2. 画面の右側に各種キーが表示されます。 「接続文字列—プライマリキー」または「接続文字列—セカンダリキー」のどちらかをコピーし、メモしておきます。

iothub_003.png

Webアプリの作成

ここからはAzureのWebアプリ構築サービスであるApp Serviceの設定とWebアプリの構築を行います。

App Serviceリソースの作成

  1. Azure Portal画面上部の「リソースの作成」をクリックします。
    画面が切り替わったら上部の検索ボックスに「Web App」と入力して検索し、同名の候補を選択します。その後、青い「作成」ボタンをクリックします。

    webapps_003.PNG
    webapps_004.PNG

  2. 必須マークが付いている項目を入力・選択します。
    Webアプリはチュートリアル3で紹介されているサンプルを基にして作成するため、ランタイムスタックはNode 10.6を選択します。

    • プロジェクトの詳細 サブスクリプション、リソースグループ:任意のものを選択または作成
    • インスタンスの詳細 名前:任意の名前を入力(WebサイトのURLの一部になります)
      公開:コード
      ランタイムスタック:Node 10.6
      オペレーティングシステム:Windows
      地域:任意の地域
    • App Serviceプラン Windowsプラン(<地域名>):新規作成または作成済みのプランを選択
      SKUとサイズ:任意のものを選択

    webapps_005.PNG

  3. 画面下部の青い「確認及び作成」ボタンをクリックします。
    設定内容を確認し、問題なければ「作成」ボタンをクリックします。

  4. 画面が切り替わり、「デプロイが完了しました」と表示されたら作成完了です。

App Serviceの設定

  1. Azure Portalのホームから作成したApp Serviceを選択します。
    左側のメニューから「構成」を探してクリックし、画面が切り替わったらアプリケーション設定の「新しいアプリケーション設定」をクリックします。

    webapps_006.PNG

  2. アプリケーション設定の追加/編集画面が表示されます。
    以下の表の内容で2つ設定を追加します。

    No. 名前 デプロイスロットの設定
    1 EventHubConsumerGroup 作成したコンシューマーグループ名 空欄
    2 IotHubConnectionString IoT Hub接続文字列 空欄
  3. 設定が追加されていることを確認し、「保存」ボタンをクリックして設定を反映します。
    画面上部にダイアログが表示された場合は「続行」ボタンをクリックします。

    webapps_007.PNG

  4. 続いて「全般設定」タブをクリックし、HTTPバージョンを2.0、Webソケットをオンに変更して同様に保存します。

    webapps_012.PNG

  5. 左側のメニューから「デプロイセンター」を探してクリックします。
    画面が切り替わったら、ソースから「ローカルGit」を選択し、「保存」ボタンをクリックします。

    webapps_008.PNG

  6. 保存されるとGit Clone URIが生成されます。
    Webアプリのデプロイ時に使用するため、メモしておきます。
    また、FTPS資格情報タブの名称が「ローカルGitまたはFTPSの資格情報」に変わります。
    ここをクリックして設定を続けます。

    webapps_011.PNG

  7. 画面が切り替わったらユーザースコープの設定を探し、任意のユーザー名、パスワード、パスワードの確認をそれぞれ入力し、保存します。
    ここで設定した内容もWebアプリのデプロイ時に使用します。
    ※同様の手順でユーザー名、パスワードの変更ができます。

    webapps_009.PNG

Webアプリのコード

Webアプリはチュートリアル3で紹介されているサンプルを基にして作成します。

  1. サンプルコード(ライセンスはこちら)を任意の方法で取得し、ブランチを作成します。
    今回紹介しているコードはタグ193943を基に作成しているため、クローン時は以下のコマンドで取得してください。

    Terminal
    git clone https://github.com/Azure-Samples/web-apps-node-iot-hub-data-visualization.git -b 193943
    cd web-apps-node-iot-hub-data-visualization
    git branch master
    git checkout master
    

    ※Proxy設定が必要な場合はこちらのようにPCのシステム環境変数に設定を追加してください。

  2. VS Codeでweb-apps-node-iot-hub-data-visualizationフォルダを開きます。
    以下のように各ファイルを編集します。

  • public/index.html
    Webのタイトルやチャートのタイトルを編集します。
    今回は以下のように編集しました。

    index.html
    <!-- 14行目 -->
    <title>e-RT3 Plus &amp; AD08 Real-time Data</title>
    
    <!-- 23行目 -->
    <span>e-RT3 Plus & AD08 Real-time Data</span>
    
  • public/js/chart-device-data.js
    チャートの設定を編集します。
    サンプルコードでは、サンプルモジュールが収集した温度と湿度のデータを縦軸にとってチャートを描画するように設定されています。
    今回は、モジュールが収集したAD08のチャネル1とチャネル2のデータを縦軸にとってチャートを描画するように各パラメータを置き換えます。
    以下の表のように public/js/chart-device-data.js のパラメータを置き換えてください。

    置き換え前 置き換え後
    temperatureData ch1Data
    humidityData ch2Data
    temperature, Temperature, Temperature (ºC) ch1
    humidity, Humidity, Humidity(%) ch2
  • scripts/event-hub-reader.js
    サンプルコードでは、IoT HubがTelemetryを受信した日時を横軸にとってチャートを描画するように設定されています。
    今回は、前回デプロイしたデータ収集モジュールがAD08からデータを収集した日時を横軸にとるように編集します。

    event-hub-reader.js
    // 28行目
    events[i].body.datetime,
    

Webアプリのデプロイ

作成したWebアプリをデプロイします。

  1. VS Codeのメニューバーから表示(V)>ターミナルを選択し、ターミナルを開きます。
    カレントディレクトリがweb-apps-node-iot-hub-data-visualizationになっていることを確認します。

  2. 以下のコマンドで編集内容を反映します。

    Terminal
    git add .
    git commit
    
  3. 以下のコマンドでリモートリポジトリを追加します。
    Git clone URIはApp Serviceの設定の6.でメモしたものです。

    Terminal
    git remote add webapp <Git clone URI>
    
  4. 以下のコマンドでWebアプリをプッシュします。
    このときユーザー名とパスワードを聞かれるので、App Serviceの設定の7.で設定した内容を入力します。

    Terminal
    git push webapp master:master
    
  5. 以下のように表示されたら完了です。
    完了するまでは多少の時間がかかります。

    Terminal
    remote: Deployment successful.
    To <Git clone URI>
     * [new branch]      master -> master
    
  6. Azure Portalから作成したApp Serviceを選択し、左側のメニューから「デプロイセンター」を探してクリックします。
    「ログ」タブを選択し、Webアプリのプッシュが反映されているかを確認します。

    webapps_013.PNG

  7. 確認できたら左側のメニューで一番上の「概要」をクリックします。
    「開始」ボタンをクリックし、Webアプリを開始してください。

    webapps_014.PNG

可視化の確認

Webアプリを開始したら、同ページに掲載されているURLから作成したWebへアクセスします。
すると、収集されたデータがリアルタイムで描画されていく様子が確認できます。
データ収集モジュールがIoT Hubへデータを送信する周期をモジュールツインを使用して変更すると、チャートの見え方が変わります。

※今回の設定ではURLを知っている全員がWebにアクセスできるようになっているため、確認ができたらWebアプリは停止してください。

2秒周期でIoT Hubへデータを送信している場合
webapps_016.PNG

5秒周期でIoT Hubへデータを送信している場合
webapps_015.PNG

まとめと次回

今回はe-RT3にデプロイされたIoT Eedgeモジュールが収集しIoT Hubへ送信されたデータをApp Serviceで作成したWebアプリで可視化しました。
次回はPower BIを使用して可視化してみます。

次回

参考

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