Turbonomic バージョン 8.15.6 (2025年4月リリース)以降、Red Hat OpenShift Virtualization(以下OCP Virt)を介して OpenShift クラスターにデプロイされた仮想マシンをサポートするようになりました。
今回はOCP VirtをTurbonomic管理対象に追加した際に利用可能な機能についてご紹介します。
OCP VirtをTurbonomicの管理対象に追加するには?
こちらの記事をご参照下さい。
特にOCP Virtだからといって特別な手順は必要なく、通常の(コンテナだけを管理する場合と同様に)OpenShiftとしてターゲット追加頂くのみです。
但し、サポートされているOCPバージョンなどの前提 はありますので、念の為ご認識下さい。
Turbonomic上のOpenShift Virtualization 仮想マシン
Turbonomic では、OpenShift Virtualizationの仮想マシンはワークロード・コントローラーとして表現されます。また、仮想マシンとしてTurbonomic上に表示されているものは、実体はKubernetes環境におけるワーカーノードを指しますので、ご留意ください。
Turbonomic上の仮想マシンエンティティは、実際にはOpenShiftクラスター内のワーカーノードを表します。
Turbonomic上の表現 | 実体 |
---|---|
ワークロード・コントローラ | OCP Virtの仮想マシン |
仮想マシン | OpenShiftクラスター内のワーカーノード |
実際の例を一つご紹介します。
ワークロードコントローラーのエンティティには、OCP Virtの仮想マシンがコンテナポッドとして関連付けられていることに注意してください。
Turbonomic で OpenShift Virtualization 仮想マシンの移動を実行するには、ワークロードコントローラーに関連付けられたコンテナポッドを移動する必要があります。Turbonomic では、これらのコンテナポッドに、実行可能な移動アクションが含まれています。
OpenShiftでは、コンテナポッドは定義、デプロイ、管理が可能な最小のコンピューティングユニットです。OpenShiftクラスター上に仮想マシンを作成すると、これらのポッドが(仮想マシンごとに1つ)実行され、最終的に複数のワーカーノードに配置されます。
ノードで輻輳が発生した場合、これらのコンテナポッドをあるワーカーノードから別のワーカーノードに移動する必要があります。
実際の仮想マシンの移動アクション例
移動アクションが生成されると、コンテナポッド(実体はOCP Virtの仮想マシン)に対して次の画像のような詳細が表示されます。
これらの画像には、注目すべき重要なポイントがいくつかあります。
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まず、アクションに関係する仮想マシン(ワーカーノード)のエンティティです。この場合、コンテナポッドが存在する仮想マシンはworker2.ocpv.cp.fyre.ibm.comです。Turbonomicがコンテナポッドの移動先として計画している仮想マシンはworker0.ocpv.cp.fyre.ibm.comです。
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次に注目すべき点は、提案された変更によるCPUとメモリへの影響です。この場合、ソース仮想マシンではリソース使用量が減少しますが、ターゲット仮想マシンではリソース使用量が増加します。 また、そのBefore/Afterが事前に可視化されています。
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最後に、これらのアクションは実際に(自動化を含めて)Turbonomicから実行可能です。アクションが完了すると、OpenShift の新しいワーカーノード上で仮想マシンが中断なく稼働されます。
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そしてこれらの変更された構成(新しいポッド名や更新された仮想マシンエンティティなど)は、10分毎のTurbonomicの検出サイクルで更新され、必要があれば更なる推奨アクションが生成され続けます。
まとめ
いかがでしょう、このOCP Virtの仮想マシンのノード間の移動機能は、OCP Virtualization がインストールされたOpenShift ターゲットをTurbonomic インスタンスに追加するだけで利用可能となります。
これは、言ってみれば、VMwareの上位ライセンス(vSphere Enterprise Plus)でご利用可能であったDRS(Distributed Resource Scheduler)と同等のノード間のリソース最適化機能が、OCP Virt環境でも簡単にご利用頂く事が可能なものとなりますので、Turbonomicのライセンスをお持ちであれば使わない手はありません!是非お試し頂ければと存じます。
補足:
なお、今回公開されたバージョン8.15.6では、OCP Virtをサポートする初期リリースとなり、利用可能な機能は限定的ではありますが、今後、従来のVMware向けで提供されていた各種機能(仮想マシン自体の動的なサイズ変更や、環境最適化のシミュレーションなど)は追って実装が予定されておりますので、そちらについても続報を是非ご期待頂ければと思います!