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単発プロンプトと差別化するアイデア出し手法提案

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結論

単発プロンプトでアイデア出しする時代は終わりです。

これからのアイデア出しは
「AIに1万案以上出させて、良い未来を選ぶゲーム」になります。

本記事では、

  • 製品を分解し
  • 素材を抽出し
  • 新素材で代替できるかを1万回以上シミュレーションする

というワークフローを実装し、
素材の活用方法という場所で、実際に「人間が思いつくには時間もコストもかかるレベルのアイデア」を10個以上作りました。

概要

  • 単発プロンプトのアイデア出しは成果物に差がでなく、アイデア出しにもAIのワークフローが求められている
  • そこで、アイデア出しにもAIの圧倒的な手数を活かし、大量の手数から必要な結果のみを選ぶワークフローが必要とされている(zennのteslaさんの記事から着想を得た)と考えた
  • 上記のようなアイデア出しのワークフローを、「素材の活用方法探索」で実装してみた

はじめに

生成aiが世の中を変えたものに、Vibe codingがあります。
もはや、Claude Code、Codexやコパイロットがない世界は考えられませんね。

ただその他の分野では未だに、Vibe codingのような確定した革新的な手法を表す名詞が存在しない、単発のプロンプト頼りの遅れた分野がたくさんあります。
その一つがアイデア出しです。

アイデア出しは、最近こそ少しずつ単発プロンプトではなく、AIエージェントなどで考えさせる例が出ているものの、大枠ではデファクトスタンダードと呼べる手法がない状況にあります。
結果として、生成AIは出たものの、その単発プロンプトによる成果物に差があまり出ないことが発生します。

そこで、突然出てくるのが、zennのteslaさんの記事「今年の生成AIのテーマは「シミュレーション」である」です。

要約としては、3点

  • AIは「打ち手(アイデア・施策)」を人間の処理能力以上に大量生成できる
  • その結果、「全部試す」ではなくシミュレーションで絞る時代になる
  • 重要なのは「作る力」ではな"未来を選ぶ力"になる

今回の記事の意図は、このシミュレーションをいかに使っていき、既存のアイデア出しの中でも問題定義できる特定の課題(素材の活用箇所)を解決するかという記事になります。

成果物

読者得られるもの

  • 単発プロンプトで差別化がつかなくなったアイデア出しの現状から抜け出すヒント
  • 生成AIの次の流れの一つ、シミュレーションに関する実装例

読者に注意してほしいこと

  • 今回のシミュレーションはAPI費がとても重い(1回150ドル以上かかる)
  • 今回は「素材を使う場所を提案するAI活用」で問題定義したので、それ以外の用途では要件定義からしなおさないといけない

今までの単発プロンプトのアイデア出しの限界

さて、これを読んでいる人には今までの生成AIのアイデア出しでも十分だと思う人もいるかもしれません。
確かに今の生成AIは頭がいいので、一発の単発プロンプトでもいいアイデアを出してくれることも多いです。

しかし、単発のプロンプトでは人間の出せる打ち手、つまり「プロンプトを入力し検証する根気」と「人間の考えきれる範囲の狭さ」がボトルネックになります。

例えば、ある新しい素材が製造業企業で発明されて、それを実地に活かすときに、その素材を生成AIでアイデア出しの壁打ちをしたとします(実際に働いたことがないので想像で書いている部分もあります…)。
その時に、人間が単発プロンプトを考えて1つ1つアイデアを入力していく形でいくと、有名どころで市場規模のある製品(車など)だけへの活用場所を考えるのであれば、ある程度は機能します。
生成AIは頭がいいので、有名どころの製品であればそこそこ筋のいい新素材のアイデアを考えてくれます。

しかし調べる範囲が一旦広がると、人間が1つ1つチェックをする手間や、プロンプトを入力する手間や、生成AIの比較的マイナーな製品への言語化能力・解決能力の弱さが見受けられます。
そして何より、調べる範囲を広げると、プロンプトを入力する人が、気づかない製品などの抜けもれが多く発生します。
しかし、実際に量産まで考えられそうないいアイデアは、マイナー気味で人が思い浮かぶ中では気づかない部分に隠れていることもあります。

つまり、人の力で単発プロンプトに頼ると、やはり以下がボトルネックになると自分は思っています。

  1. プロンプトを入力し検証する根気
  2. 人間の考えきれる範囲の狭さ

ここら辺の話は、zennのteslaさんの記事にも書いている通りです。

単発プロンプトはどう進化させるべきか?

では、「単発プロンプト」の代替案は何か?

それが zenn の tesla さんが書いているのを「アイデア出し」に変えた「AIの無限の打ち手を使いアイデアをシミュレーションをし、無数のアイデアから採用するアイデアを選ぶ(全ては精査しない)」方法です(teslaさんへ、超絶勝手な解釈ですみません!)。
ここら辺の話は、teslaさんの記事が面白いので、そちらを見ていただければと思います。

今回のところは、以下のコンテストがあったので、

「素材(粉末積層箔)を活用する場所を探索するアイデア出し」のみで、一旦PoCを作りました。

このPoCがどういう問題定義で、何をしていて、どういう成果物を作るかを説明します。

問題定義

今回の問題定義は「素材(粉末積層箔)を活用する場所を探索するアイデア出し」ですが、これをもっと噛み砕いていうと、「その素材が競合他社をどう代替するか」を考えることだと考えました。
なので、製品で使われている素材とその特徴を抽出し、それと同等の機能をその素材が提供できるかを比較しアイデアを生成させる方向性にしました。

従来 vs 本手法

従来 本手法
発想数 数個 数百
網羅性 人間依存 機械的に網羅
精度 スコアで選別

動作解説(最短)

  1. 素材名を決める(例:粉末積層箔)
  2. step1で動作フロー生成
  3. step2で素材抽出
  4. step3で代替アイデア生成
  5. 100回ループ
  6. score>90 をgrep

動作解説

PoCは、以下のような動作手順でできています。

0:素材をその素材の特徴を入力します。

1:まずは、step1で「ある製品の内部動作のフロー」で表します。
例えば、入力する製品が LEDライトなら、以下のような感じです。「電源入力・保護」から「温度監視・出力抑制(保護動作)」まで一通りの機能が出てきます。

step1のJSON例 ```json { "flow": [ { "process": "電源入力・保護", "features": ["ACアダプタ/商用電源/電池などに対応", "過電流・過電圧・短絡保護(製品により)", "突入電流の抑制(製品により)"], "category": "電力変換・保護" }, { "process": "整流・平滑(AC入力の場合)", "features": ["ダイオードブリッジでAC→DC変換", "コンデンサでリップル(脈流)低減", "入力電圧変動に備えた平滑容量設計"], "category": "電力変換・保護" }, { "process": "定電流駆動(LEDドライバ)", "features": ["LEDの明るさは電流で管理", "降圧/昇圧/昇降圧のスイッチング電源方式が多い", "効率と発熱のバランスを考慮"], "category": "電力制御" }, { "process": "調光・制御", "features": ["PWM調光(高速点滅)または電流値調整で明るさ制御", "スイッチ/タッチ/リモコン/センサ連動(製品により)", "ちらつき(フリッカ)低減設計(製品により)"], "category": "制御・ユーザー操作" }, { "process": "発光(エレクトロルミネッセンス)", "features": ["半導体pn接合で電子と正孔が再結合し光を放つ", "青色LED+蛍光体で白色化が一般的", "光束・演色性・色温度はチップと蛍光体配合で決定"], "category": "光学(発光)" }, { "process": "配光・光学部品による取り出し", "features": ["レンズ/拡散板/反射板で配光角を形成", "眩しさ(グレア)低減の拡散", "光のムラを抑える混光設計(製品により)"], "category": "光学(配光)" }, { "process": "放熱(熱の移動・拡散)", "features": ["発光効率の未変換分が熱になるため放熱が重要", "アルミ基板・ヒートシンク・筐体で熱を逃がす", "温度上昇は寿命・光束維持率に影響"], "category": "熱処理" }, { "process": "温度監視・出力抑制(保護動作)", "features": ["サーミスタ等で温度を検知(製品により)", "過熱時に電流を下げて発熱を抑える(サーマルフォールドバック)", "安全性と長寿命化のための保護制御"], "category": "安全・保護" } ] } ```

2:次に、その各内部動作で使われている素材を一覧で出します。
例えば、LEDライトの「配光・光学部品による取り出し」なら、以下のようになります。自分は完全にこの分野には素人なのですが、「光学用ポリカーボネート(PC)」から、「シリコーン(LED用レンズ/二次光学・封止材)」まで幅広く使われていることが分かります。

step2のJSON例 ```json [ { "material": "光学用ポリカーボネート(PC)", "requirements": [ "高い光透過率", "黄変しにくい耐候性(UV安定性)", "成形精度(レンズ形状・プリズム形状の再現性)", "耐熱性(LED近傍の温度環境)", "耐衝撃性(落下・割れにくさ)" ], "selectedFeatures": [ "レンズ/拡散板/反射板で配光角を形成", "眩しさ(グレア)低減の拡散" ] }, { "material": "光学用アクリル(PMMA)", "requirements": [ "高い光透過率", "低ヘイズ品から拡散グレードまでの材質選択性", "耐候性(屋内外での黄変抑制)", "表面品質(傷・曇りが少ない)", "寸法安定性(配光性能の再現性)" ], "selectedFeatures": [ "レンズ/拡散板/反射板で配光角を形成", "光のムラを抑える混光設計(製品により)" ] }, { "material": "拡散材(PMMA/PC+拡散剤:TiO2・シリカ・拡散ビーズ等)", "requirements": [ "適正な散乱特性(ヘイズ/透過率のバランス)", "色味の安定(白化・色偏りが出にくい)", "粒子分散の均一性(ムラ・スジ抑制)", "耐熱性(長期点灯での劣化抑制)", "耐候性(黄変・脆化抑制)" ], "selectedFeatures": [ "眩しさ(グレア)低減の拡散", "光のムラを抑える混光設計(製品により)" ] }, { "material": "反射材(アルミニウム:鏡面/梨地)", "requirements": [ "高反射率(可視域)", "表面処理の耐食性(酸化・腐食の抑制)", "形状精度(反射配光の再現性)", "耐熱性(近接熱源環境)", "表面粗さ管理(グレア/ムラ低減に寄与)" ], "selectedFeatures": [ "レンズ/拡散板/反射板で配光角を形成", "光のムラを抑える混光設計(製品により)" ] }, { "material": "反射コーティング(白色反射塗装・PET反射フィルム等)", "requirements": [ "高い拡散反射率(光取り出し効率)", "密着性(剥離しにくい)", "耐熱性(退色・収縮・黄変抑制)", "耐湿性(反射率低下を抑制)", "面内均一性(ムラの原因になりにくい)" ], "selectedFeatures": [ "レンズ/拡散板/反射板で配光角を形成", "光のムラを抑える混光設計(製品により)" ] }, { "material": "シリコーン(LED用レンズ/二次光学・封止材)", "requirements": [ "高い光透過率", "耐熱性・耐光性(高温/青色光での劣化抑制)", "黄変しにくさ(長期安定)", "屈折率設計性(配光角設計に寄与)", "成形性・寸法安定性(光学形状維持)" ], "selectedFeatures": [ "レンズ/拡散板/反射板で配光角を形成", "光のムラを抑える混光設計(製品により)" ] } ] ```

3:最後に、その素材を代替するような特徴を、試したい素材で活かせるようなアイデアを生成AIに3つ考えてもらいます。
アイデアは以下の型になっていて、scoreでおおまな点数が・severityで懸念の深刻さが点数で見れる形になっています。。

[
  {
    "idea": "アイデア1",
    "advantages": ["優れている点1", "優れている点2", "優れている点3"],
    "disadvantages": ["懸念点1", "懸念点2", "懸念点3"],
    "severity": "懸念点の深刻度(5段階評価 1懸念なし〜5重大な懸念)",
    "score": 点数
  },
  ...(アイデアの数だけ繰り返し)
]

この1〜3を loop.ts(npm run loop)では、100件試します。
1件のAPIコールで1〜2ドルかかるので、100件試すと、150ドル以上はかかってしまう計算にはなってしまうのですが、100件試すと「scoreが90以上のアイデア」や「severityが2のアイデア」が少しだけ生成されます。
これらの点数が高いアイデアを中心にgrepし選んで見ることで、上にも書いた単発プロンプトの以下の問題を解決しようとするのが意図です。

  1. プロンプトを入力し検証する根気 → 点数が高いもののみ検証
  2. 人間の考えきれる範囲の狭さ → 製品を100個出し、その動作で使われている素材を代替できるかを1つ1つ検証することは人間にはほぼできない

ちなみに、以下の画像を見れば分かりますが、1.75回loop.tsを回したら、1日で最大286ドルが吹っ飛びました。笑(OpenAI APIのtier5に近づいた。やったね!)

これでできたアイデアで良質なのは10件以上あったのですが、ここではscoreが90点近くあったものを参考に載せます(ちょっとまだ「自分の目を使った検証中」であまりアイデアを載せられませんが...興味があったら自分で試してみてください)。

  {
    "idea": "粉末積層箔を「マイクロ構造転写用の金型/インサート(ロール to ロール含む)」として使い、光学樹脂(PC/PMMA/シリコーン等)に微細凹凸を転写して“拡散板/レンズ”を量産する(間接的に採用)",
    "advantages": [
      "最終部品は高透過樹脂を使えるため、素材要件(透過率・屈折率設計性・成形性)を満たしつつ、粉末積層箔の微細空隙テクスチャを光学機能として活用できる",
      "ランダム拡散(グレア低減)や混光に効く微細パターンを比較的低コストに付与でき、既存の拡散材(添加剤分散やサンドブラスト)より設計自由度が出る可能性",
      "金型側が金属系で耐熱・耐摩耗性を持ちやすく、青色光での黄変問題とは無縁(長期安定な加工ツール)"
    ],
    "disadvantages": [
      "粉末積層箔の表面再現性(ロット差)や耐久性(転写回数による摩耗)を金型品質として管理する必要がある",
      "狙いの配光/拡散特性を得るには、空隙スケール分布の最適化と光学シミュレーションが不可欠",
      "“素材そのものを部品にする”提案ではなく、BtoBでは加工プロセス提案(設備・条件)まで含めたバリューチェーン設計が必要"
    ],
    "score": 89
  }

こちらは、LEDライトの発光のムラを避けるための「拡散板/レンズ」向けに、粉末積層箔のスポンジ状の部分を転写した光学樹脂を使おうというアイデアです。粉末積層箔は転写のための金具として使うのみではありますが、高い実現性と安定性のあるアイデアだと思いました(とは言え自分も素人分野なので間違っている可能性もありますが / なお金具提供のみなので、市場規模が大きくなさそう)。

「我こそは、生成AIを使ったアイデア出しの生贄のために大金を払ってもいい!」という人は使ってみてもいいかもしれませんね!

最後に

今回はあくまでもPoCだったので、簡単な TypeScript スクリプトで作ってしまったのですが、これには他の応用もできそうで、例えば今回は「素材→使い道」でしたが「使い道→素材」の方向性で考えることもできそうです。
つまりは、問題定義さえできれば、生成AIの圧倒的な手数で問題を解決できる可能性を示せたかなとは思います。
これをきっかけに、あなたのアイデア出しが単発プロンプトから正しい問題定義から作られたワークフローに進化してくれたら嬉しいです。

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