はじめに
この記事では、Webエンジニアの自分が今年読んだ本について、読もうと思ったきっかけや読んだ所感も含め、まとめています。
プログラミング
プログラミングに関する本はこちらの一冊です。
Felienne Hermans 著、水野貴明 訳 「プログラマー脳 ~優れたプログラマーになるための認知科学に基づくアプローチ」 秀和システム、2023
今年は既存プロジェクトを引き継いで取り組む機会が何度かありました。その際、前担当者のコードがなかなか頭の中に入ってこないことがよくあり、ストレスを感じていました。「コードを読むことは比較的好きだと思っていたけど、何でだろう?」と思っていた時、この本に出会い、認知科学から(根本から)説き明かそうとしている点に魅かれて読むことにしました。
こちらの本では、まず冒頭でコードを読む際に発生する際の3種類の混乱を3種類とそれぞれ影響を与えている認知プロセスについて説明しています。その後、各認知プロセスに対する詳しい解説や混乱への対処法を説明しています。対処法については、既知の内容も多かったですが、混乱の内容を種類分けして、その原因に応じた対応をすることの大切さを改めて学ぶことができました。
フロントエンド
今年自分はフロントエンド開発をメインで行いました。
自分が携わったプロジェクトでは、品質まわりが課題になっていたので、それに関する本を読みました。
どちらも詳しい技術的な内容を解説するというよりも実践向けの本でした。
吉井健文 「フロントエンド開発のためのテスト入門 今からでも知っておきたい自動テスト戦略の必須知識」 翔泳社、2023
平野昌士 「フロントエンド開発のためのセキュリティ入門 知らなかったでは済まされない脆弱性対策の必須知識」 翔泳社、2023
アジャイル
会社でアジャイルの理想のあり方を探求しようという話が出たので、改めてこちらの本を読み、学び直しました。
西村直人、永瀬美穂、吉羽龍太郎 「SCRUM BOOT CAMP THE BOOK【増補改訂版】 スクラムチームではじめるアジャイル開発」 翔泳社、2020
スクラムを学んでいる人はほぼ読んでいる本だと思うので、はじめからひと通り読むことにしました。
知識パートとストーリー込の実践パートのバランスがよく、理解しやすい内容でした。
森一樹 「アジャイルなチームをつくる ふりかえりガイドブック 始め方・ふりかえりの型・手法・マインドセット」 翔泳社、2021
自分が携わったプロジェクトでもふりかえりはしていましたが、マンネリ化・形骸化している部分があり、あまり効果的なふりかえりができていないと感じたので、ふりかえりに焦点を当てて勉強しようと思い、読みました。
ふりかえりの目的・進め方から様々な手法までふりかえりに関することをたくさん学ぶことができました。実際、自分が携わったプロジェクトでも Fun / Done / Learn や YWK、5つのなぜ、SMARTな目標など、こちらの本で紹介された手法を取り入れてみました。一方、ふりかえりの目標設定やそれに応じたふりかえりをするという点については、取り入れようとしたものの、あまり深い議論ができず、上手く実践に結び付けることができませんでした(それについても「ふりかえり」したい)。
常松祐一 「アジャイルプラクティスガイドブック チームで成果を出すための開発技術の実践知」 翔泳社、2023
「SCRUM BOOT CAMP THE BOOK」でスクラムの全体像はつかめたので、実践的な知識を学びたいと思い、読むことにしました。
開発面での具体例が特に豊富にあり、すぐに活かせる内容が数多くありました。
プロジェクトマネジメント
プロジェクトマネジメントに関する本はこちらの2冊です。
橋本将功 「プロジェクトマネジメントの基本が全部わかる本 交渉・タスクマネジメント・計画立案から見積り・契約・要件定義・設計・テスト・保守改善まで」 翔泳社、2022
自分の携わったプロジェクトのスケジュール管理や要件・仕様の関係者間の認識合わせなどにいろいろと課題を感じていたので、プロジェクトマネジメントを一度体系的に学ぼうと思い、読みました。
タイトルの通りプロジェクトマネジメントの基本を体系的に学ぶことができました。また、本の中でプロジェクトマネージャーの仕事は球拾いという趣旨の記載があり、そういうことを着実にやってくれるプロジェクトマネージャーがいるプロジェクトは進めやすく、よい結果が出せそうだと思いました。
倉貫義人 「人が増えても速くならない」 技術評論社、2023
プロジェクトを進めていく中で、ビジネス側のメンバーと見積もりと実績の乖離や開発スピードと開発メンバー数の議論をすることが多く、その中でお互いの前提が違うなと感じすることが多々あり、その辺りを整理したいと思い、読みました。
文量は多くないですが、上記のような課題やそれに対する対策を具体的かつ簡潔にまとめてくれていて、とても参考になりました。
組織マネジメント・プロダクトマネジメント
組織マネジメント・プロダクトマネジメントに関しては、これから紹介する本のタイトルにもなっている「プロダクト・レッド・グロース」という考え方をどこかで耳にして、とても共感していたのと、Podcast の fukabori.fm で「プロダクト・レッド・オーガニゼーション」について語っている回を聴いたので、読んでみることにしました。
「プロダクト・レッド・オーガニゼーション」及び「プロダクト・レッド・グロース」に記載されていることを実践できるプロダクトは確かに強いなと思いました。自分のプロジェクトでは、現状できていない部分のほうが多いので、来年は少しずつ取り入れていきたいです。
Todd Olsonh 著、横道稔 訳「プロダクト・レッド・オーガニゼーション 顧客と組織と成長をつなぐプロダクト主導型の構築」日本能率協会マネジメントセンター、2021
Wes Bush 著、八木映子 訳 「PLG プロダクト・レッド・グロース 「セールスがプロダクトを売る時代」から「プロダクトでプロダクトを売る時代」へ」 ディスカヴァー・トゥエンティワン、2021
まとめ
こうして読んだ本についてふりかえってみると、読んだ内容や読んで得た学びがより深まると感じました。特に年のはじめのほうに読んだ本については内容を忘れかけていたので、思い出すよい機会になりました。
また、今回紹介した本の中には一部しか読むことができていない本もあるので、年末年始に改めて読んでみたいと思います。
それでは、みなさまよいお年をお過ごしください!