はじめに
社内向けシステムの運用では、日々さまざまな問合せが発生します。
本記事では、問合せの内容をデータとして分析し、実際にシステム改善につなげた事例を紹介します。
「同じような問合せが繰り返される」「運用対応に追われて改善まで手が回らない」
そんな状況を改善するための取り組みを、運用・技術寄りの視点でまとめました。
1.問合せを放置すると起きる問題
問合せ対応を都度対応で済ませると、次のような問題が起きます。
- 運用担当の負荷が増える
- 改善・開発作業が後回しになる
- システムの使いづらさが放置される
- 属人化が進む
これを改善するため、問合せを「改善のためのデータ」として扱うことにしました。
2.問合せをデータとして記録する
まずは、問合せ内容を定量的に扱えるように整理しました。
記録した項目
- 問合せ日時
- 問合せ元部署
- 対象機能/画面
- 問合せ種別
- 内容
- 対応方法
- 再発性の有無
スプレッドシートやログ管理ツールなど、
後から集計・分析できる形で残すことが重要です。
3.問合せの分類
問合せは以下のように分類しました。
- 操作方法が分からない
- 仕様の誤解
- UIが分かりづらい
- エラー・不具合
- データ不整合
- 要望・改善依頼
分類することで、
人が説明すべきものとシステムで解決すべきものを切り分けることができます。
4.ログ分析から見えた問題点
問合せだけでなく、アプリケーションや操作ログも確認しました。
これにより、問合せが多い機能の実際の操作状況や問題点が可視化できます。
ログから分かった傾向
- 特定の画面で操作中に止まっているユーザーが多い
- 入力項目が多く、操作が複雑になっている箇所がある
- エラーや警告が発生している箇所が問合せと連動している
このような傾向から、UI改善や補足説明の追加が必要であることが分かりました。
5.分析から分かったこと
- 問合せ内容上位の機能 ≒ ログ上でも操作の問題が多い
- 問合せの多くは「説明すれば解決する内容」
- UI・仕様改善で減らせる問合せが多い
ここで、どこを改善すれば効果が出るかが明確になりました。
6.改善の優先度付け
改善対象は以下の観点で決めました。
- 問合せ内容の傾向が集中している機能
- 利用頻度が高い機能
- 修正コストが低い箇所
全部直そうとせず、効果が出やすいところから手を付けることがポイントです。
7.実施した改善例
UI改善
- ボタン名・項目名を業務用語に合わせて修正
- 必須項目を視覚的に強調
画面内ガイドの追加
- ツールチップ
- 補足説明文
- 入力例の表示
処理の自動化
- 手動で対応していたデータ修正を管理画面やバッチ処理で対応可能に
仕様の見直し
- 誤解されやすい挙動を仕様ごと修正
- あいまいな動作を明確化
8.改善後の変化
- 同一内容の問合せが大幅に減少
- 運用対応の負荷が軽減
- 新しい改善に時間を割けるようになった
特に、説明しなくても伝わる状態を作れた効果は大きかったです。
9.問合せはシステムの弱点を教えてくれる
問合せは単なる運用負荷ではなく、システムの弱点を可視化してくれる情報です。
- 問合せが多い → 分かりづらい箇所がある
- 誤解される → 表現・仕様に問題がある
- 手作業が多い → 自動化できる余地がある
問合せを起点に改善を回すことで、
運用もシステムも少しずつ楽になっていきます。
まとめ
- 問合せはデータとして扱う
- ログ分析で改善ポイントを可視化する
- 修正しやすい箇所から手を付ける
- 問合せ削減は運用改善そのもの
社内システム運用に悩んでいる方の参考になれば幸いです。