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S/4HANAにおける「SAP Joule」の基本的なことのまとめ

Last updated at Posted at 2025-04-26

はじめに

本記事は「「SAP Joule」の基本的なことのまとめ」の1項目の説明をなります。全体を把握した方はまずはそちらをご確認下さい。

また、本記事は概要把握や個人とトライアル利用の参考として、まとめたものなので、プロジェクトでの利用の際は、SAP社への問合せの実施や正式情報であるHelp Portalを活用して下さい。

このページでは「SAP S/4HANA Cloud Private Edition」で利用できる「SAP Joule」の機能について紹介します。機能は大きく「利用者向けの機能」と「コンサル・開発者向けの機能」の2つに分類されます。いずれの機能も、利用可能なバージョンに制限があり、かなり新しいバージョンが利用前提となっているため、その点は注意が必要です。

JOULE.jpg

利用者向けの機能

S/4HANAの利用者(エンドユーザ)向け機能について説明します。これらの機能は3つのカテゴリーに分類できます。詳細は「SAP Help Portal - Joule- Joule Capabilities - Joule in SAP S/4HANA Cloud Private Edition」をご参照ください。なお、これらの機能を利用するには「SAP S/4HANA Cloud Private Edition 2023 FPS01」以降のバージョンが必要です。

Navigational Capabilities

この機能は「Finding Apps」という名称で提供されています。ユーザーが実現したい目的を自然文で入力すると、最適なアプリケーションを提案する検索機能です。例えば「購買発注を作成するには?」といった形で質問すると対象のアプリを提示するなどのユースケースが想定されています。

Transactional Capabilities

S/4HANAの操作をFioriアプリケーションではなく、チャットベースで実行できる機能です。詳細は「Transactional Use Cases」のページで確認できます。

Informational Capabilitie

SAPヘルプポータルやその他のリソースから情報を取得する機能です。「Informational Use Cases」として説明されています。

コンサル・開発者向けの機能

S/4HANAの導入に関わる人が読者の方の中でも一番多いのではないでしょうか、ここでは、S/4HANAコンサル・開発者向けの機能についてご説明致します。現状、発表されているのは下記の2機能になります。

Joule for Consulting

こちらはS/4HANAのビジネス設計とカスタマイズを支援する機能です。2025年4月現在、詳細情報は限られていますが、「SAP Sapphire Orlando 2024」での説明が参考になります。ユーザーが実現したいことを入力すると、関連情報や回答を提示し、さらにシステム設定やコード実装までを自動的に行う仕組みです。一般的な生成AIと比較すると、SAPの最新リソースを基にしているため誤回答が極めて少なく、また設定から実装までを一気通貫で実施できることが特徴です。

Joule for ABAP Developer

ABAPによる開発をサポートする機能です。この機能の重要なポイントは、従来のABAPではなく、「開発者拡張(Developer extensibility)」や「ABAP Cloud」と呼ばれる新しいABAP開発手法をサポート対象としていることです。SAP社によると、これらの開発のために2.5億行のABAPコードを学習させた独自のモデルを利用しているとのことです。

AIによる開発というと設計書から直接コードを生成するようなものを想像するかもしれませんが、実際にはJouleがコーディング作業をアシストする形となります。これらの機能は、プライベートクラウドの場合「SAP S/4HANA Cloud Private Edition 2025」から対応しています。このバージョンは2025年4月現在の最新版であるため、すでにS/4HANAを利用している企業は、まずバージョンアップが必要となります。さらに、一部の機能は「SAP S/4HANA Cloud Private Edition 2027」でのリリースが予定されており、新機能は最新バージョンにのみ対応する方針となっています。

具体的な機能は「Help Portal - Joule for ABAP」に記載されており、「ABAP Development Tools for Eclipse」を通して以下の機能が提供されます。
以下は、上記のページに記載されている「SAP S/4HANA Cloud Private Edition 2025」で提供される機能を、2025年4月時点で生成AIを使ってまとめたものです。

分類 機能名 特徴概要
🧠 説明・可視化系(Explain) - Joule Chat
- ABAP Explain Skill
- CDS Explain Skill
開発オブジェクト(CDS、ABAPコード)や選択行の意味・構造・ビジネス目的を説明。文脈に応じたインタラクティブな理解支援が可能。
📚 ドキュメント参照系 - Developer Documentation Skill 高レベル概念〜技術詳細まで自然言語で質問可能。ナレッジベースのアクセス性向上。
🧪 ユニットテスト支援系 - ABAP Unit Test Skill
- CDS Unit Test Skill
- CDS Test Class Generator
クラスやCDSに対して、テストケース・テストデータを自動提案・生成。テスト設計工数削減と品質向上に寄与。
🔧 コード生成・予測支援系 - Joule Code Prediction
- ABAP Cloud Generators: Transactional App from Scratch
ABAPコードを予測、および自然言語からの自動生成。RAPアプリを自然言語で設計・実装可能に。開発生産性が向上。
🌐 外部連携支援系 - OData Service Consumption Skill ユースケースに応じてODataクライアントコード生成・リクエスト支援。外部サービス連携の迅速化に貢献。
📌 S/4HANA最適化支援系 - Q&A for Simplification Items
- Explain ATC Findings
- Code Proposals for ATC Findings
Simplification ItemsやATC検出に関する説明・修正コード提案を提供。S/4H

現在はこれらのサポート機能が中心となっています。「SAP S/4HANA Cloud Private Edition 2027」では、従来のABAPコードを「開発者拡張(Developer extensibility)」準拠コードへ自動的に変換する機能のリリースが予定されています。こちらもAIにまとめてもらいました。

分類 機能名 特徴概要
🧠 レガシーコードの意味理解 AI-Based Explain of ABAP Reports in Custom Code Migration App) 移行対象となる古いABAPレポートの業務的な目的や意味をAIが説明。移行・再利用の判断がしやすくなります。
📊 CDSベースの分析自動化 CDS Analytical Query Generation powered by AI CDS Analytical Model Generation powered by AI 既存の分析モデルに基づいて、AIがCDS分析ビューを自動生成。
🛠 Clean Core対応の自動支援 Semi-Automated Fixes of Clean Core related ATC Findings Jouleを使って、SQLステートメントのCDS化など、Clean Core対応の修正案を自動提案。

もう少し簡単に情報の検索がしたい

Jouleは確かに便利そうですが、バージョン制約や追加料金が必要なことから、もっと手軽に生成AIを活用したいと考える方も多いでしょう。特に、SAPのポータルやブログの内容を生成AIで検索したいというニーズが高いと思われます。この点について、「SAP for Me: Generative AI Solutioning for Support Knowledge Search」によると、Jouleとは独立したSAP for Meの機能として、2025年5月中旬に一般利用可能な形でリリースされる予定とのことです。この新機能のリリースが待ち遠しいところです。

まとめ

本記事では、SAP S/4HANA Cloud Private Editionで使えるSAP Jouleの主な機能について、紹介しました。

まず、エンドユーザー向けには、アプリを探す「検索機能」、チャットで操作できる「業務実行機能」、そして情報を探す「ナレッジ検索機能」があります。これらは2023年以降の新しいバージョンで使えます。

一方、コンサルタントや開発者向けには、設定やカスタマイズを支援する機能や、ABAP開発をサポートする機能があり、コードの自動生成や説明、テスト支援などをAIがサポートします。これらは2025年以降の最新バージョンで利用可能です。

いずれも、最新バージョンの利用が前提となっているため、導入にはバージョン確認が重要です。

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