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SAP TechEd 2023 Executive Keynoteのまとめ

Last updated at Posted at 2023-12-02

はじめに

この記事は SAP Advent Calendar 2023 の 12月2日分の記事として執筆しています。
2023年10月に行われたTechEDの「Executive Keynote」の概要と簡単な解説をまとめました。

各テーマごとに該当箇所の動画リンクとデモ動画のリンクを記載していますので、興味のある箇所を確認してください。

セッションでは、SAP顧客側のプレゼンテーションと新サービスの発表が交互に行われましたが、顧客側のプレゼンテーションの要約は含まれていません。

SAPブログのこちらの記事が動画のリンク等綺麗に整理されてたため、参考にさせて頂きました。

また、本記事は概要把握や個人とトライアル利用の参考として、まとめたものなので、プロジェクトでの利用の際は、SAP社への問合せの実施や正式情報であるHelp Portalを活用して下さい。

また、BTPそもそもがよくわからないという方は「SAP Business Technology Platform (BTP)の基本的なことのまとめ」をご確認下さい。

総括

生成系AIに関する話題」が全体の70%程度を占めていました。それぞれの個人の業務領域があると考えられますが、S/4HANA・BTPに関連する人々は、「Joule」と「SAP Build Code」については押さえておく必要があると考えています。

「Joule」とは。

SAP社の生成系AIベースとチャットボットアプリケーションを総称して捉えると良いでしょう。これはマイクロソフトの「Copilot」と同義です。この「Joule」が様々なアプリケーションに標準機能として組み込まれていくロードマップのようです。chatGPTのようにプロンプトを与えながらアプリケーションを作成していくイメージです。

「BTP Cockpit」、「SAP Start」、後続で説明する「SAP Build Code」などが初期の対象のようです。

Development

SAP Build Code

Keynote動画リンク

デモ動画リンク

プロコード向けの生成系AIアプリケーション作成の補佐ツールのようです。 このサービスが、今回のKeynoteの目玉です。

デモではロビーから入り、「Build Apps」と「SAP Build Code」のどちらでツールを作成するかを選択していたので、そのレイヤーの位置付けと想定されます。

その後のUIは「Business Application Studio」で、そこに「Joule」が追加されており、その後「Joule」にプロンプトを投げながらアプリを作成していきます。

最初にデータモデルとサービスを作り、その後別のプロンプト投げロジックも実装しています。データモデルを作った際にはテストデータも一緒に作ってくれているようです。テストデータが自動で作れるのはは便利ですね。 少し専門的な話になりますが、サービス作成時にUI側のアノテーションの要件実装してくれているようでした。

最重要トピックだけあって、既にサイトやプロモーション用の動画が準備されていました。

GenAI for ABAP Cloud

デモ動画

こちらは、開発者拡張に生成系AIが組み込まれたということのようです。

「開発者拡張」については、こちらの記事が参考になると思いますので、ご存じでない方はご確認ください。

また、会議管理するアプリを作成するというオーダーに対して、自動でアプリケーションが作られる様子が収録されています。

こちらはアプリだけでなく、テストデータも作られています。

SAP BTP Developer's Guide

こちらは、BTP開発において必要な情報がまとめられているガイドのようです。

SAP Help Portal:SAP BTP Developer's Guide

Integration and Automation

GenAI for SAP Build Process Automation

デモ動画

こちらでは、上のデモと同様に、ワークフロー(SAP Build Process Automation)に関して生成系AIを使用して自動でフローを作成しています。

まず最初に、必要なワークフロー要件ををプロンプトで伝えると、ライブラリの中から2つのフローが推奨されます。その後、選択したフローを実装するために必要なロジックも、プロンプトを使用して入力しています。

SAP Integration Suite Edge Integration Cell

動画リンク

このサービスは「SAP Integration Suite」をイントラ・オンプレ・閉域クラウドなど、お客様の環境で稼働させるサービスです。

こちらの記事を参照すると、稼働環境としては「Amazon EKS」や「OPEN SHIFT」などのマネージドサービスとして提供されるKubernetesのようです。

このサービス登場の背景を簡単に説明します。「SAP Integration Suite」は、パブリックベースであるBTP上で稼働するサービスです。そのため、SaaSとお客様環境にあるS/4HANAをつなぐ場合には、SaaS(インターネット)←→SAP Integration Suite(インターネット)←→S/4HANA(イントラネット)となり、自然な連携となります。しかし、お客様環境にあるローカルシステムとS/4HANAをつなぐ場合には、ローカルシステム(イントラネット)←→SAP Integration Suite(インターネット)←→S/4HANA(イントラネット)となり、イントラネット間のシステムであるにもかかわらず、一度インターネットに出る必要があり、アーキテクチャとして不自然であり、課題がある状況でした。

よって、ローカルシステムとS/4HANAを接続する際は、SAP社のローカルで動作する昔からあるデータ連携製品であるProcess Orchestration(PO)と「SAP Integration Suite」を連携させるか、ローカル環境で動く他社のデータ連携基盤を選択する状況にありました。

そのあたりが課題となり、「SAP Integration Suite」導入の障壁となっていたため、本サービスが登場したと推測されます。

参考:SAP Help Portal: What Is Edge Integration Cell

SAP Datasphere

動画リンク

SAP Datasphere Semantic Onboarding

デモ動画

専門領域ではないですが、デモの動画を見る限り、「Datasphere」から取得元のS/4HANAデータを指定する際に、テーブル・ビュー単位で指定すると、関連するテーブル・ビューを表示して選択をサポートしてくれる機能のようです。デモ動画では品目のCDS View(i_Product)を指定し、関連情報を表示してくれています。

S/4HANA Cloud

Keynote動画リンク

SAP HANA Cloud Vector Engine

こちらに関しては、専門的な話のため、詳細は省略しますが、HANAデータベースに生成系AIに必要なデータを取り扱うための機能が追加されました。

SAP Analytics Cloud

Keynote動画リンク

こちらの内容は非常に理解しやすく以下の3点です。

  • Lightweight Viewer」という機能が登場し、パフォーマンスが60%程度改善されました。また、既存の画面に関しても高速化のための改善を行っているとのことです。
  • Just Ask」が機能に組み込まれ、自然言語でのデータ分析ができるようになるとのことです。
  • Just Ask」は近日中に「SAP Joule」に統合されるとのことです。

SAP Business AI

Keynote動画リンク

AI部門のトップであるWalter Sun氏が、SAP社のAIがビジネス向けのAIであり、「Relevant、Reliable、Responsible」を重視しているというコンセプトを説明していました。

Sun氏は、最近SAP社に引き抜かれてきた、かなり有名な人物のようです。詳細はプレスリリースで確認できます。SAP社がAIに真剣に取り組んでいることが感じられますね。

Generative AI Hub

「SAP AI Core」という、AIのモデルを開発運用するプラットフォームサービスがあるのですが、そこに該当機能が追加されました。

デモを見る限り、このサービスはデータに対する言語モデルの適切さを簡単にテストするためのもののようです。生成系AIを利用する際には、どの言語モデル(例:gpt-4やLlama2)を選択するかが重要です。このサービスでは、最初に取り込むデータを選び、その後に言語モデルを選択し、その後に問いかけ(プロンプト)を入力して結果を見ることで、対象とするデータに対してどのモデルが適しているかを判断することをサポートしています。

最後は、MSやデロイトとのパートナーシップの話でしたが、そちらは省略します。

ちなみに、最後のリキャップでフォーカスされた3製品は、「SAP Build Code」、「SAP HANA Cloud Vector Engine」、「Generative AI Hub」でした。

最後に個人的な見解

アプリケーション開発の視点から考えると、成績AIが開発をサポートしてくれるということは非常に有用だと感じました。デモでは、プロンプトによりゼロからアプリケーションを作っていましたが、個人的にはソースコード入力の補佐やテストデータの作成などの補助機能の方が今後重要になってくると考えています。

プラットフォーム視点でのソリューションに関しては、他のハイパースケーラーでも同様なサービスが存在しているため、SAPがこれを続けていけるかどうかには疑問が残ると個人的には考えています。

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