はじめに
2022年4月末に投稿した、「SAP Business Technology Platform (BTP)の基本的なことのまとめ」が好評で、数多くの方々にご覧頂いたため、今回はその第2段の記事を書きました。
テーマは「Side by Side開発」です。理由や背景、仕組みの理解が無いままに、BTP上の「Side by Side開発」の議論がなされていることが多いため、理解の促進を目的とし、簡単な記事をまとめさせて頂きました。
また、本記事も概要把握や個人とトライアル利用の参考として、まとめたものなので、プロジェクトでの利用の際は、SAP社への問合せの実施や正式情報であるHelp Portalを活用して下さい。
また、本記事はS/4HANAをPrivate Cloudとして扱う場合(オンプレミスでの導入や「S/4HANA Cloud private edition」)を想定して記載しています。SaaSに近い製品(S/4HANA Cloud)の場合は考え方が少し異なりますので、その点はご注意下さい。
一言で言うと
一般的にSAP社のパッケージ製品(S/4HANAなど)を使用して業務アプリケーションを構築する際、標準機能では対応できない要件に対して「追加開発(アドオン)」が必要となります。
この追加開発は従来、SAPのパッケージ製品と同じ実行基盤上で実施していましたが、これを別基盤(主にSAP Business Technology Platform:BTP)に移し、APIによる疎結合連携としたアーキテクチャが「Side by Side開発」です。これに対し、従来の開発方法は「In App開発」と呼ばれます。
この開発方式により、システムアーキテクチャが根本的に変わり、標準機能と追加開発機能が「疎結合」となります。また、SAPのパッケージ製品の実行基盤上での制約(言語や機能)が取り除かれるため、より自由な開発が可能になります。例えば、S/4HANA上では基本的にABAP開発に限られていたものが、BTP上ではJavaやJavaScriptによる開発が可能になります。