私は小さなシステム開発会社の総務をしている。
総務をしていると、この業界の仕事のIT化がずいぶんと立ち遅れているということに気づく。おそらく20年前とやり方はほぼ変わっていないだろう。
見間違いではない。システム開発会社の業務が、IT化に遅れている。
勤怠管理
うちのような小さなシステム会社の場合、社内受託あるいは自社開発のプロジェクトを社内で行うということが多くはない。基本的に「人出し」と呼ばれる業態で、大企業から発注された仕事を大手SIerが請け、それを中堅SIerが下請けし、我々のような中小システム会社が孫請けし、仕事自体は発注元か大手SIerの会社内に各社から技術者が集まって、混成で作業をする。
建設業界でいうところのゼネコン、中堅ゼネコンと地域の土建屋みたいな関係で、JV(ジョイントベンチャー)で仕事してます、なんて言い方もしてみたりなんぞする。
こうした場合、タイムカードは2つ存在する。ひとつは作業現場の実績管理用のタイムカード、もうひとつは所属会社の勤怠管理・給与計算用のタイムカードだ。「客先勤怠票」と「自社勤怠票」なんて言い方もするが、総務として言うとこの呼び方は正しくない。派遣契約でない限り、客先の会社に勤怠管理されてはいけないからだ。請負契約にも関わらず客先に勤怠管理をされると、偽装請負と言われる。
客先で付けるのはあくまで、請負実績の管理や勤務場所の入退館・ファシリティ管理上必要な資料であって、勤務管理のためのものではない。
その客先のタイムカード、弊社では「作業実績表」と呼ぶが、これがまず人手を介すること必至。フォーマットは各社バラバラ、送信方法もバラバラである。
Excelファイルの場合もあるし、Excelを紙に出力して現場承認印をもらった後スキャナーでPDF化したものの場合もあるし、紙に印刷したものを持出許可を得て現場もしくは近くのコンビニからFAXで送ってくることもある。
FAXで送ってきても自動的にPDF化してクラウドにアップされる仕組みにはしているので手間は他の手段と変わらないのだが、結局どれも、ファイルを開いて、合計時間数の書かれた項目を人が読んで、請求システムに時間数を入力しなければならない。
ここがデータ連携すれば各社月度の定例業務がどんなに効率化するだろうと思うのだが、おそらくこの人出しの仕事が続く限り、この非効率は付いて回るのだろう。誰が音頭をとって、誰がシステムを開発して、どこの仕組みに合わせて、そしてだれがどの割合で費用負担をするのか。システム会社同士であるということが問題を複雑にしている。