はじめに
最近、AIエージェントを使った情報収集や意思決定支援のサービスがいろいろ登場してきました。
ふと思ったのですが、もしこうしたAIエージェント同士が商品の提案や価格交渉といった「商談」までやり取りできるようになったらどうなるでしょうか?
今はまだそういう技術やサービスの話題はあまり見かけませんが、
最近の技術トレンドを見ていると、例えば:
・LLM(大規模言語モデル)による柔軟な対話生成
・RAG(Retrieval-Augmented Generation)で商品情報や在庫情報を動的に参照
・API連携(REST / GraphQL)でリアルタイムな価格・在庫取得
・LangChain / AutoGen などを使った AIエージェント間プロトコル設計
・マルチエージェントシステム(MAS)系の研究成果
こうした技術を組み合わせたら、AIエージェント商談サービス のプロトタイプくらいはもう作れそうな気がします。
誰か本気でこういうサービスを作り始めたら面白いなあ、と思いながら、
今回は もしそんなサービスが普及したら流通や買い物の世界はどう変わっていくのか? をちょっと想像してみました。
AIエージェント同士が商談する買い物
今の買い物の流れ
1️. 検索窓にキーワードを入れて
2️. 自分で色々なサイトを巡って情報を集め
3️. 価格や在庫を確認し
4️. 購入手続きを進める
だいたいこんな流れですよね。
AIエージェント時代の買い物
もしAIエージェントが普及すると、こんな風になるかもしれません:
- ユーザーは「こういうのが欲しい」と自然言語でリクエスト
- ユーザー側のAIエージェントがその意図を理解
- 各販売側の AIエージェントに問い合わせて
- 価格・在庫・配送条件などを収集・交渉
- 条件が整ったものをまとめてユーザーに提案
- ユーザーはOKを出すだけ
価格のあり方も変わる?
こうなってくると、今の「定価」という概念はだんだん変わってきそうです。
AI同士が商談している間に、価格はリアルタイムに調整されていくでしょう。
例えばこんな価格モデルが一般的に?
モデル | 内容 |
---|---|
ダイナミックプライシング | 需要やタイミングで変動 |
パーソナライズドプライシング | ユーザーごとに価格が変わる |
エージェント間自動交渉 | AI同士がリアルタイムで価格交渉 |
サブスクリプション+変動課金 | 定額+オプション料金 |
もし流通全体がAIエージェント化したら?
さて、もしこういう AIエージェントによる商談 が当たり前になったら、
当然 ECだけでなく流通全体にも波及していきそうです。
主に変わっていきそうな部分
① 卸売業者の役割の変化
② 物流企業の役割の変化
③ メーカーと消費者の関係性(今より近くなる?)
④ AIエージェントを提供するプラットフォームの台頭
今回は特に 卸売業者 と 物流企業 のところを少し詳しく考えてみます。
卸売業者はどうなる?
従来、卸は「情報」や「価格調整」の部分で価値を出していました。
でもAIエージェント同士が直接価格や在庫をやり取りできるなら、
その役割は薄れます。
じゃあ全滅か?というとそうでもなく:
・AIエージェント同士をつなぐためのAPIやデータ基盤を整備する側に回る(IT企業化)
・物流面や品質保証のハブになる(物理的な問題はまだ解決されない)
など、新しい価値の出し方は十分にあります。
物流企業はどうなる?
一方で、今度は物流企業側に「物理的な商流の課題」がどんどん集まってきそうです。
例えば:
・メーカーはロット単位でしか出荷できない → ロット崩しは誰がやる?
・複数メーカーの商品をまとめて小口配送したい → どこでやる?
・返品対応や品質管理は誰が担う?
こうしたところは今後 物流企業が担う領域が増えていくのではと考えました
まとめ
AIエージェント同士の商談が当たり前になったら
・価格はもっと柔軟・動的になる
・情報の仲介はAIで済む時代に
・卸売業者は IT企業化/AIインフラ提供側 に
・物流企業は 物理的な問題解決側 に進化
・商流全体が今よりも シームレス になっていく
おわりに
AIエージェント同士が商談する未来は、技術的にはもう 手の届くところにあります。
もしこの流れが加速したら、私たちの買い物体験はもちろん、
物流や流通の仕組みそのものも大きく変わるかもしれません。
そうなると、新しいAIの使い方やサービスの形もいろいろ出てきそうです。
今後の動きがとても楽しみですね。