要点サマリー
- kiro-cli は「コマンド補助」ではなく 思考と作業を外部化するためのCLI
- 重要なのは 各機能の役割分担を理解して使うこと
- agent / context&compact / save&load / todo を組み合わせることで
再現性・継続性・属人化防止を実現できる
対象読者: kiro-cli利用初心者
はじめに
あけましておめでとうございます!Dirbatoの社内技術横断支援組織Backbeatに所属している柴田です!
前回の初投稿時にはご挨拶が漏れてしまっており、この記事であらためてご挨拶させていただきます。
私は、インフラ畑を耕して10余年。最近のAIエージェントの進化には、朝のバージョンアップ通知でコーヒーをこぼすレベルで驚いています。
今回の記事は、その感動を「噴きこぼす前に外部化」するためのCLI kiro-cli の使い方完全ガイドです。
kiro-cli とは何か(前提整理)
kiro-cli は、単なる AI チャット CLI ではありません。
本質的には、
思考・判断・作業の前提を構造化し、再利用可能にするためのツール
です。
「その場の会話」で終わらせず、
- 前提を固定し
- 作業を分解し
- 状態を保存し
- いつでも再開できる
という 実務向けの設計がされています。
その実務向けの機能として、今回は以下6つの機能を紹介したいと思います。
- agent:AI に与える役割・権限・参照ドキュメントを事前定義する機能
- context:現在の会話セッションにおける情報量を確認する機能
- compact:現在の会話セッションにおける情報量を圧縮(削減)する機能
- save:会話セッションそのものを保存する機能
- load:会話セッションそのものを復元する機能
- todo:タスクの自動分解と進捗管理を支援する機能

※弊社生成AIにかっこいいイメージで出力してもらった相関イメージ図です。
1. agent ― 能力・権限・知識ベースを定義する
何ができるのか
agent機能 は、AI に与える役割・権限・参照ドキュメントを事前定義する機能です。
- どんな専門性で振る舞うか
- どのドキュメントを「正」として参照するか
- どのツールを、どこまで使ってよいか
を固定できます。
どんな場面で使うか
- プロジェクトごとに前提や制約が異なる場合
- チームで作業品質・セキュリティ水準を揃えたい場合
- 本番/開発など環境ごとに権限を切り替えたい場合
実務での具体例
{
"description": "AWS管理専用エージェント(sample)",
"resources": [
"file://README.md",
"file://docs/sample-guidelines.md"
],
"allowedTools": ["use_aws", "fs_read"],
"toolsSettings": {
"use_aws": {
"allowedServices": ["s3", "lambda"],
"autoAllowReadonly": true
}
}
}
👉 「この agent を使う限り、前提を外した提案は出ない」状態を作れます
使わない場合に起きがちな問題
設定しないAIは、割と「話を聞かずに突っ走る人」になりがちです。
- kiro-cliを起動するたびに、毎回同じ前提説明が必要になる
- プロジェクトごとに判断基準がブレる
- 不要な権限を持ったまま作業してしまう(セキュリティリスク)
- 前提情報があっておらず、変な設計/実装に突っ走る
2. context&compact ― セッション内の情報量を制御する
何ができるのか
context機能 は、現在の会話セッションにおける情報量を管理する機能です。
- コンテキスト使用量の確認
- 会話履歴の要約(圧縮)
- 長時間セッションの安定化
どんな場面で使うか
- 技術調査や設計検討で会話が長くなる場合
- ログやエラーメッセージを大量に扱う場合
- 応答が遅くなってきたと感じた場合
実務での具体例
# コンテキスト使用量確認
/context
# 会話履歴を要約して圧縮
/compact
👉 重要な論点だけを残して作業を継続できます
使わない場合に起きがちな問題
- コンテキスト上限に達して会話が途切れる
- 重要な前提情報が押し出されて消える
- 応答品質・速度が低下する
ご参考
◆agentなしでkiro-cliを呼び出した後のコンテキスト量

◆agentありでkiro-cliを呼び出した後のコンテキスト量

※各種設計書やガイド、IaCコードなどを読み込ませた状態
◆agentあり+直近のチャットを呼び出した状態のコンテキスト量

※バーチャートと%に違和感がありますが、、、
上記コンテキスト量が上限を超えてしまうと、
The context window has overflowed, summarizing the history...
が出力され、強制的にcompact機能が動きます。
指示中に発生すると、移行の回答文章が英語で応答されてしまうので、極力発生しないようにcontext&compact機能を利用して、コンテキスト量の制御をしたほうが望ましいです。
(作業指示をして他のことをしている間に出力された回答が英語になっていてびっくりすることも多々あります。。。)
3. save & load ― 思考と作業を「再開可能」にする
何ができるのか
save & load は、会話セッションそのものを保存・復元する機能です。
- 作業途中の状態を丸ごと保存
- 複数プロジェクトの並行管理
- 後日・別端末での再開
どんな場面で使うか
- 数日にまたがる調査・設計作業
- 複雑な技術的議論の記録
- 将来の再利用・ナレッジ化
実務での具体例
# 保存
/save api-refactoring-phase1
# 再開
/load api-refactoring-phase1
👉 「昨日どこまで考えたか」を完全に復元できます
使わない場合に起きがちな問題
- 技術的な思考プロセスが失われる
- 同じ調査を何度も繰り返す
- チーム内で知見を共有できない
4. todo ― 複雑な作業を分解し、進捗を可視化する
何ができるか
todo は、タスクの自動分解と進捗管理を支援する機能です。
- 抽象的な指示から具体タスクを生成
- 中断・再開時の状況把握
- 完了履歴の保持
どんな場面で使うか
- 実装・調査・設計が混在する作業
- 数時間〜数日にまたがるタスク
- 他メンバーへの引き継ぎ
実務での具体例
新しいAPIエンドポイントを実装して
テストとドキュメントまで完了させたい
この後、kiroと壁打ちしながら、各種設計や実装を進めていくと、kiroが終わったタスクの消込もしてくれます。
/todos view
/todos resume
👉 「次に何をやるか」を常に明確にできます
使わない場合に起きがちな問題
- 作業の抜け漏れが発生
- 中断後の思考復元コストが高い
- 完了した作業を振り返れない
TODO機能の有効化について
TODO機能は実験的機能として提供されており、デフォルトでは無効になっています。使用するには以下の設定が必要です。
有効化方法:
1. 実験機能として有効化:
/experiment
メニューからTODO Listsを選択してONにする

※私のCLI画面です。既にTodo ListsがONになっています。
2. 設定コマンドで有効化:
kiro-cli settings chat.enableTodoList true
有効化後の機能:
- AIが適切なタイミングで自動的にTODOリストを作成
- /todos コマンドでTODOリストの表示・管理・削除が可能
- .kiro/cli-todo-lists に保存されたTODOリストの再開が可能
現在のKiro CLIでは実験機能として明確に分類されており、手動で有効化する必要がありますので、ご注意ください。
5. 機能を組み合わせた実務活用イメージ
agent :前提・権限・知識を固定
context&compact :セッション内情報を最適化
save :思考と作業を保存
load :いつでも再開
todo :作業を分解・追跡
👉 kiro-cli は「考える → 分解する → 継続する」ための道具
まとめ
- agent は 再現性のための設計
- context&compact は 柔軟性のための運用
- save / load は 思考の永続化
- todo は 行動の構造化
これらを意識的に使い分けることで、
kiro-cli は単なるAIチャットを超えた実務支援ツールになります。
