「UI/UXに興味があります」
管理職として中途採用にも関わるなかで、候補者の方のプロフィールを見る機会がありますが、近ごろこのような言葉を目にする機会が増えてきたと感じています。
特にWeb制作やフロントエンド志望の方に多い印象です。
これはとても良いことだと思っています。
実際「使う人のことを考える」という視点は、どの領域でも非常に重要だからです。
ただ一方で、少し気になることもあります。
UI/UXを「画面の見た目」や「Web制作」に閉じて捉えていないか
という点です。
本記事では、UXはもっと広いものであり、
- システム開発
- 業務アプリ開発
- RPA
- 日々の業務(メール・資料・手順書)
すべてに現れるものだ、という話をしたいと思います。
UXの本質は「相手の体験設計」
まず前提として、UXとは何か。
デザイン寄りの文脈では、
- 見やすいUI
- 使いやすい画面
といった説明がされることが多いと思います。
もちろんそれも重要です。
ただ、本質をもう一段抽象化するとこうなります。
UX = 相手がどう受け取り、どう動くかを設計すること
つまり、
- 迷わない
- ストレスがない
- 次の行動が分かる
- 無駄がない
こういった状態を作ることです。
実は、日常業務もすべてUX
この考え方で見ると、UXは特別なものではなくなります。
例えば、以下のような日々の業務の様々な場面でも表れると思います。
■メール
- 結論が先に書かれているか
- 相手が次に何をすればいいか明確か
→ 読み手の負担を減らしている=UX
■資料
- 見出しだけで内容が把握できるか
- 読み進めなくても要点が分かるか
→ 理解コストを下げている=UX
■手順書
- 初見でも再現できるか
- ミスが起きにくい構成か
→ 作業体験を設計している=UX
■業務の進め方
- 手戻りが発生しないか
- 情報の受け渡しがスムーズか
→ 業務そのものの体験設計=UX
ここまで来ると分かる通り、
人に何かを渡す・使ってもらう・理解してもらうものは、すべてUXの対象です
DX領域ではUXがそのまま価値になる
ここから少し、自分の専門であるDX領域の話に寄せます。
システム開発や業務アプリ開発、RPAなどに関わっていると、強く感じることがあります。
それは、
「作れるか」だけでなく「使われるか」が重要になる
ということです。
■よくある失敗
- アプリを作ったのに使われない
- 自動化したのに使われない
- 手動のほうが早い
- 結局人がフォローしている
要件や体制など様々な要因がありますが、
体験が設計されていない
ことも原因のひとつだと思います。
■システム開発は「業務UX設計」
システム開発でやっていることは、単に機能を作ることだけではありません。
- 入力しやすいか
- 間違えにくいか
- 流れが分かるか
- 迷わず次の操作に進めるか
といった「使う人の体験」も重要です。
これらがうまく設計されていないと、
- 入力ミスが増える
- 作業に時間がかかる
- 結局現場で使われなくなる
という状態になりやすくなります。
つまり、
システム開発とは「業務としてどう体験されるかを設計すること」でもあります
■RPAも同じ構造
RPAもやっていることは同じです。
- 自動化の範囲
- 処理の順序
- 例外時の対応
これを誤ると、
- エラー対応に追われる
- むしろ手間が増える
- 現場が使わなくなる
という状態になります。
「UI/UXに興味がある」はどこで活きるのか
ここで最初の話に戻ります。
「UI/UXに興味がある」は、とても良い入口だと思います。
ただ、その価値は
画面を作るときだけに発揮されるものではありません
むしろ重要なのは、
- メール
- 資料
- 業務設計
- システム開発
- 自動化
すべてにおいて
相手の体験を良くしようとしているか
です。
現場でよく見る「ちょっとした違い」
実務で見ていて感じるのは、
できる方ほど、自然と「使う人の体験」に意識が向いている印象があります。
例えば、
- 迷いが生まれそうな箇所を減らそうとする
- 入力ミスが起きにくいよう工夫する
- 不要な工程を減らそうとする
こういった視点が、日常的な判断の中に含まれています
つまり、
相手の負担や迷い、ミスを減らす方向に自然と意識が向いている
これは、WebでもDXでも関係ありません。
共通しているのは、
体験を設計していること
です。
まとめ
- UXは「画面」だけの話ではない
- 本質は「相手の体験をどう設計するか」
- 日常業務(メール・資料・手順)もすべてUX
- システム開発やRPAもその延長線上にある
- 理解している人は、すでに日常業務で実践している
最後に
もし「UI/UXに興味があります」と感じている方は、
ぜひ一度振り返ってみてください。
これまでの仕事で、誰かの“手間”や“迷い”を減らしたことはあるか?
それが言語化できるのであれば、
それはもう立派なUXの実践だと思います。
そしてその考え方は、
Web制作だけでなく、システム開発やDX、業務改善の領域でも
そのまま価値になります。