はじめまして、XBRLJapanの開発委員会のメンバーKです。
こちらの記事で、PythonのBeautifulSoupを使ってEDINETのXBRLから財務諸表のデータベースを構築する方法を紹介しました。
実は、XBRLをBeautifulSoupで解析することで得られる大きなメリットがあります。今回はその紹介です。
0. こんなニーズありませんか?
XBRLからデータを取得し分析を行ううちに、「詳細タグ付けされていない情報も簡単に取得できればいいのに」と思われる方もいるのではないでしょうか。
インラインXBRLに含まれる企業の開示情報は、基本的に詳細タグ
または包括タグ
が付されています。
逆に言うと、詳細タグ付けされていない情報も、包括タグの単位では取得可能です。
もし仮に、包括タグ内でHTMLテーブルとして表現されている情報が欲しい情報ならば、それをデータフレームにできる可能性があります。
それは、BeautifulSoupで特定箇所を抜き出しPandasのread_html()
で処理することで、有価証券報告書内の特定箇所に含まれるHTMLテーブルをデータフレームにできます。
1. はじめに - セットアップ
Pandasのread_html()
を使用するために、html5lib
というライブラリが必要になりますので、これをインストールします。(その他必要なライブラリもあわせて記載しました)
$ pip install pandas beautifulsoup4 lxml html5lib
2. 包括タグの名称を調べる
有価証券報告書内の特定箇所と包括タグの名称の紐づけは、金融庁が公開しているタクソノミ要素リスト
を参照してください。
2021年版EDINETタクソノミの公表について
https://www.fsa.go.jp/search/20201110.html
特定箇所の包括タグ名称が分かれば、以下に記載しましたサンプルコードのtag_each_elems = dict_tag.get('jpcrp_cor:MajorFacilitiesTextBlock')
のクオーテーション内を変更することで、特定箇所の情報が取得できます。
3. 処理の流れ
BeautifulSoupとPandasを使って、包括タグ内のHTMLテーブルをデータフレームにする手順は以下流れです。
- BeautifulSoupでインラインXBRLを読み込む
- すべての包括タグで囲われた要素を抜き出す
- 抜き出したすべての包括タグを、名称と要素を含む辞書型にする
- 辞書の中から、特定名称の要素を抜き出す
- 抜き出された要素をPandasの
read_html()
で処理する。
上記4.で抽出した結果をstr()
で囲って、文字列にするのがポイント(上記4. の結果はbs4オブジェクトのため、エラーが出てしまう)
#4. サンプルコード
主要な設備の状況
のテーブルをデータフレームにするサンプルコードは以下です。
import glob
import pandas as pd
from bs4 import BeautifulSoup
# XBRLのzipファイルを解凍した階層をpath_baseとして指定してください。
path_base = '//****/**/'
def get_df_facilities(arg_docid):
# インラインXBRLファイルの検索
list_path_fs = glob.glob(path_base + arg_docid + '/XBRL/PublicDoc/**.htm')
# インラインXBRLが見つかった場合の処理
if list_path_fs:
for path_fs in list_path_fs:
# fsファイルの読み込み。bs4でパース
with open(path_fs, encoding='utf-8') as f:
soup = BeautifulSoup(f.read(), 'lxml')
# nonNumericタグのみ抽出
tags_nonnumeric = soup.find_all('ix:nonnumeric')
# nonnumericの各要素を格納するカラの辞書を作成
dict_tag = {}
# nonnumericの内容を辞書型に
for tag in tags_nonnumeric:
dict_tag[tag.get('name')] = tag
# ターゲットとなるタグの要素を取得
tag_each_elems = dict_tag.get('jpcrp_cor:MajorFacilitiesTextBlock')
# 辞書型の値をgetして、値がなければnoneが返る。noneはfalse扱いのため、これを条件に分岐。
if tag_each_elems:
try:
df_facilities = pd.read_html(str(tag_each_elems))
return df_facilities
except ValueError:
print('No tables found')
例えば、以下の主要な設備の状況
のテーブルは、
以下のようになります。
ですが、残念ながら
- カラム名がレコードとして認識されている
- HTML上でセル結合されている場合は、重複して値が入っている
- 1つの包括タグ内に複数テーブルが存在する可能性があるため、データフレームはリストに格納されて返ってくる
- 提出会社の主要な設備の状況と、国内子会社・在外子会社の設備の状況を区別するのが困難
と言った問題がありますが、「手打ちするしか術がない」状況から一歩前進させられるのでは、と思います。
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