はじめに
鷲津亮です。先日開催された RubyKaigi 2026 に3日間参加してきました。
参加の経緯
以前からカンファレンスに参加したいと思っていたものの、なかなか踏ん切りがつかずにいました。そんな中でピクシブ株式会社の学生支援制度のことを知り、これを機会に参加してみることに決めました。今回の参加にあたっては交通費・宿泊費・チケット代を支援していただき、現地で全日程を聴講することができました。改めてお礼申し上げます。
RubyKaigi とは
RubyKaigi は、プログラミング言語 Ruby の本体開発者や Ruby を取り巻くエコシステムの開発者が集まる年次カンファレンスです。
この記事について
3日間の体験を、参加したセッションとそれ以外の出来事をあわせて日付順に書いていきます。
Day 1
セッション
tagomoris さん「The Journey of Box Building」
Ruby 4.0 に入る Box building という機能についてのセッションです。
機能そのものの解説も興味深かったのですが、それ以上に印象的だったのは、この機能が言語本体に取り込まれるまでの過程の話でした。流れをまとめると以下のようになります。
- 過去の RubyKaigi から着想を得る
- PoCを作り、プロポーザルを出す
- その実装をベースに、カンファレンスやコミュニティで構想の共有・議論を重ねる
- 議論を経て、言語仕様として組み込まれていく
Ruby に機能を組み込むためのプロセスをざっくりと知ることができたのが特に良かったです。GitHub に issue を立てるだけではなく、カンファレンス等で構想を共有してフィードバックをもらうなど、いくつかのプロセスを踏む必要があることを知れたのは大きな収穫でした。
hasumikin さん「Funicular: A Browser App Framework Powered by PicoRuby.WASM」
Funicular という、PicoRuby で Web のフロントエンドを書ける SPA フレームワークを開発しているという話でした。
PicoRuby はもともとマイコン向けに開発された軽量な Ruby 処理系で、これを WebAssembly(PicoRuby.WASM)経由でブラウザ上で動かし、その上に SPA を書くためのフレームワークを乗せたのが Funicular です。デバッグに必要な拡張機能も用意されているそうです。一方で、SSR はサポートしていないとのことでした。
普段は Web 開発をしていることもあり、3日間のセッションの中で 一番理解しやすかったのがこのセッション でした。Ruby でブラウザ上の SPA を書くという発想は新鮮で、Ruby の活用領域の広がりを感じる時間になりました。
Day 1 の夜
Day 1 の夜は RubyKaigi 2026 Official Party に参加しました。会場は函館国際ホテルでした。
同じ学生支援で来ていた学生と話せた
会場では、同じく学生支援制度を利用して参加していた他の学生と話すことができました。普段の自分の周りには開発をしている学生が少ないので、他の学生がどんな技術を触っていて、普段どんなことに取り組んでいるのかを聞けたのはとても楽しい時間でした。
社会人エンジニアの方との会話
加えて、社会人のエンジニアの方とも話す機会がありました。SRE をされている方で、普段の業務内容についてや、就活についての相談にも乗っていただきました。普段の生活ではなかなか接点を持てない領域の話を直接聞けたのは、現地参加ならではの体験だったと感じています。
Day 2
セッション
tenderlove さん「A Faster FFI」
FFI(Foreign Function Interface)、つまり他の言語の関数を Ruby から呼び出す仕組みについてのセッションでした。
正直に書いてしまうと、内容が低レイヤー寄りで、何を話しているのか十分には理解できない場面が多かったです。
普段の Web 開発ではあまり触れないレイヤーの話だったので、まずは雰囲気を掴めたところからこれから少しずつ理解を広げていきたいと思います。
スポンサーブース回り
Day 2と Day 3では、会場のスポンサーブースをたくさん回りました。
両日にわたってスタンプラリーが実施されていたので多くのブースを訪問することができました。各ブースにはそれぞれ独自のクイズやゲームが用意されていて、クリアすると景品がもらえるところが多くありました。あわせて、各社が普段どんな事業や開発を行っているのかを直接説明してくれて、新卒採用を行っている企業も多かったので、企業選びの参考にもなりました。
Day 3
セッション
yukihiro_matz さん「Matz Keynote」
MatzさんのKeynoteでは、Spinel という新しいプロジェクトについての発表がありました。
Spinelとは
Spinel は、Matzさんが新しく作っているRuby用のAOTコンパイラです。
AIコーディング
セッションの中で、Matz さん自身が Spinel を実装するときの AIを使ったコーディング過程について話していたのが特に印象に残りました。最初は ChatGPT にコードを貼り付け、出力されたものをエディタに貼り付けるという使い方から始め、その後CLIベースの AI ツールが出てきてからは、それを使ってコードを書くようになっていったそうです。
自分も AI が出てきた当初はChatGPTにコードを貼り付けて、出力をエディタにコピーする、ということをやっていた時期があったので、率直に懐かしい気持ちになりました。同時に、Matzさんは遠い存在だと思っていたのですが、AI の使い方の変遷については自分と似たプロセスを辿っていたのだと知って、少し親近感が湧きました。
実際に Spinel のリポジトリ を見てみるとClaude Code のコミットが多く、発表で語られていた通り AI を使い込んで開発を進めていることが見て取れます。
普段は Web 開発をすることが多いので、AI コーディングというと自分の業務に近い領域での話を聞くことが多いです。今回 Matz さんの発表を聞いて、言語処理系のような低レベルな領域でも AI が大きな力を発揮しているということを知れたのは、新しい視点が得られた気がしてよかったです。
まとめ
長らく踏ん切りがつかなかったカンファレンス参加に、ピクシブ株式会社の学生支援制度のおかげで参加することができました。3日間を通じて、Ruby といっても PicoRuby や mruby などさまざまな Ruby があり、それらが動的に進化を続けていることを知ることができました。
セッションだけでなく、Official Party で他の学生や社会人エンジニアの方と話せたり、スポンサーブースで各社の取り組みを直接聞けたりと、現地参加ならではの収穫が多くありました。普段の自分の周りでは触れにくい話を浴びるように聞ける機会で、学生のうちに参加できてよかったと感じています。
改めて、貴重な機会を支援してくださったピクシブ株式会社の皆様に感謝いたします。


