はじめに
初めまして、株式会社ウイズ・ワン、ServiceNow担当のR-Kです。
近年ますますの発展を見せているAI領域ですが、実はServiceNowにも多くのAI関連機能・製品があることはご存知でしょうか?
ServiceNowとAIを組み合わせることで、生産性や作業効率の向上が期待できるだけでなく、高度なデータサイエンスの知識がなくても容易にAIを活用できます。
そこで、本記事ではそれらAI機能が一体どんなものなのか、その特徴やメリットを一挙にご紹介します。
今後ServiceNowを導入したいと考えている方、AI機能による効率化に興味がある方のお役に立てれば幸いです。
本記事は2025/02/25時点での情報となります。
1. Now Assist
Now Assistは生成AI機能にServiceNowのワークフロー自動化プラットフォームを組み合わせた機能です。
ServiceNow独自のAIモデル(AIへの指示と出力の仕組み)を使用し、次のような生成AI機能を提供します。
― 主な生成AI機能の例 ―
これら機能は総称して スキル と呼ばれ、デフォルトで多くのニーズを満たしたものが備わっています。
また、スキルは簡単にオン/オフが切り替えられる手軽さも魅力です。
例えばこんなシーンに…
- ITSMエージェント
⇒ ServiceNow上のインシデント(問題票)に関してAIに要約させることで、対応時間を削減。(要約スキル) - ServiceNowを利用する従業員
⇒ 何かアイテムをリクエストする際、AIを備えたチャットボットとの会話形式で最適なアイテムを発見・注文。(会話型のやり取りスキル) - ServiceNow開発者
⇒ AIにフローやスクリプティング作成を支援させ、作業時間を短縮。(コンテンツの生成スキル)
参考1: Now Assist - ServiceNow
参考2: Now Assist
参考3: Now Assist for Creator Implementation Bootcamp [日本語]
2. Now Assist Data Kit / Now Assist Skill Kit
Now Assistを導入してみたはいいもの、デフォルトのスキルがどうしても自身の環境や処理プロセスに合わない…
他部門から開発者に、新しい機能のスキルが必要だとリクエストが来る…
という状況を解決するのが、この Now Assist Data Kit と Now Assist Skill Kit です。
これらを利用することで、 状況に応じたスキルを追加作成・カスタマイズすることができます。
また、作成したスキルがどれくらい有用か、以下の観点からAIが自動評価するシステムを備えています。
― 2つの評価観点 ―
例えばこんなシーンに…
- ServiceNow開発者
⇒ 業務部門からのリクエストをAIを活用したスキルによって実現。
⇒ デフォルトのスキルではどうしてもカバーできない作業向けに新たにスキルを作成。
参考1: Now Assist Data Kit
参考2: Configure skill deployment settings
参考3: Now Assist Data Kit FAQ
3. Natural Language Understanding
略称としてNLU、日本語に訳して自然言語理解とも呼ばれます。
自然言語、つまり私たちが普段使っている言葉の「意図」や「文脈」をAIに学習・理解させる仕組みを提供します。
Natural Language Understandingによって、 仮想エージェントやAI検索の利便性をさらに向上させられます。
NLUモデル という発言例と関連インテント・エンティティの関係性・組み合わせを利用してAIに自然言語を学習・理解させます。
インテントやエンティティなど、あまりなじみのない言葉ではありますが、簡単に表現すると下図のような構造です。
参考1: Exploring Natural Language Understanding
参考2: NLU models
4. Natural Language Query
デフォルトで利用可能なNow Platformの機能です。
ユーザーが入力した自然な言葉を使って、データを検索する仕組みです。これにより、 複雑な検索条件を指定しなくとも、探している情報をリストに表示できます。
また、CMDB Query Builderの[Intelligent Search 検索ボックス]においても同様に 自然な言葉でデータの取得 ができます。
また、 [Synonyms] モジュールから、独自の同義語やショートカットを作成することが可能です。
ぜひとも、組織にとって便利な検索をカスタマイズしてみてください!
参考1: Exploring Natural Language Query
参考2: Using Natural Language Query
5-1. Predictive Intelligence
Predictive Intelligence(PI、予測インテリジェンス)はユーザーの入力に基づいて 予測 と 推奨 を行うプラットフォーム機能です。
関連データを考慮して予測を支援することに重点を置いています。
Predictive Intelligenceは次の4つの形式で予測や推奨を行います。
― Predictive Intelligenceの形式 ―
例えばこんなシーンに…
- ITSMエージェント
⇒ インシデント(問題票)に関して、Predictive Intelligenceの予測や支援を活用。エージェントが問題の分類や分析にかかる時間を削減。
5-2. Predictive Intelligenceのトレーニング
Predictive Intelligenceは 機械学習(ML:Machine Learning) によって、過去の経験(履歴データ)から学習する形でAIをトレーニングします。
インスタンスから履歴データやトレーニングに利用するデータのセット(ソリューション定義)をServiceNowトレーニングサーバーに送信することで、 単純な手順でAIのトレーニングが可能です。
なお、その際に送信した全ての顧客データは、トレーニング完了時にトレーニングサーバーから削除されます。
参考1: Predictive Intelligence
参考2: Explore Predictive Intelligence
参考3: Predictive Intelligence Fundamentals [日本語]
参考4: Predictive Intelligence Implementation [日本語]
6. Task Intelligence
タスクベース1のレコード作成や調査をAIによって自動化し、エージェントの生産性を上げる機能です。
また、エージェントと顧客がやり取りする工程を削減することで作業効率を向上させられます。
Task Intelligenceは大きく4機能を備えています。
Task Intelligenceの導入によって、日常的なタスクをAIに任せ、エージェントはより複雑なタスク解決だけに集中できるようになります。
例えばこんなシーンに…
- ITSMエージェントがどのタスクから解消すべきか判断に時間がかかる場合…
⇒AIがケースに含まれるテキストから ユーザーの感情を分析、優先度を判断して設定。(感情分析・自動入力)
┗エージェントが 優先度判断に要する時間を短縮。 即座に優先度の高い業務に対応可能。
┗重大ケースを迅速に解決することが、 顧客の満足度向上に直結。
参考1: Task Intelligence - ServiceNow
参考2: Task Intelligence
参考3: Configure Task Intelligence for Customer Service
7. Document Intelligence
ドキュメントからデータを抽出するプロセスを、AIによって自動化・迅速化する機能です。
AIがドキュメントからデータとして保持すべき部分を識別・抽出します。
従来のデータ抽出においては、手動でデータを判別する必要がありましたが、Document Intelligenceを使用することで、識別・抽出作業を自動化できます。
例えばこんなシーンに…
- ドキュメントからデータを取得したいが、ドキュメント媒体が多岐にわたり、さらにドキュメント内容とデータの対応が煩雑…
⇒ドキュメント内の 取得するデータをAIが判断して抽出し、レコードの対応するフィールドに 自動入力(マッピング) する。
Ex)履歴書ドキュメントのデータをDocument Intelligenceで抽出。
履歴書に限らず、ドキュメント製作者によってフォーマットが若干異なること等あるかと思います。Document Intelligenceでは、カスタマイズによってフォーマットの揺れに対応可能です。
また、人間のレビューを取り入れると、漸増的に利便性を向上させられます。
参考1 :Document Intelligence
参考2: Exploring Document Intelligence
おわりに
今回は大まかにServiceNowのAI関連機能をご紹介させていただきました。
気になった機能があった方はぜひ、各参考リンク先を訪れてみたり、対応するNowLearningで学習してみることをおすすめします!
また、 今後当アカウントで各AI機能に関する詳細な記事を公開予定です。
この記事によって、ServiceNowのAI機能の魅力やメリットが少しでも皆様にお届けできていれば幸いです。
掲載情報は2025/02/25時点での情報です。
また、実際にこれら機能の導入を検討する際は、必ずご自身でデータの利用規約や取り扱いに関する最新の情報を確認し、所属組織と相談・合意の上でご使用ください。
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タスク[task]テーブルを拡張して作成されるテーブルのレコード。代表的なものとして、インシデント [incident] レコードや問題 [problem]レコード、ケース [sn_customerservice_case]レコードなど。これらはServiceNowにおいて依頼や要求などのデータを表し、担当者が解決する。 ↩