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【AWS】Macユーザー向け:AWSにWindows Server(日本語版)を立ててリモート接続する手順

Last updated at Posted at 2025-09-24

はじめに

この記事では MacユーザーがAWS上にWindows Server 2022を立てる手順 を解説します。

「AWSにサーバーを立てたいけど、何から始めればいいかわからない」
「Windows環境をMacから使いたい」
そんな方に向けて、VPCの作成 → サーバー起動 → リモート接続までの流れを整理しました。


この記事で学べること

  • AWSの基本用語(VPC、サブネット、EC2など)
  • Windows Server 2022 をAWS上に立てる方法
  • Macからリモートデスクトップで接続する手順

全体像(イメージ)

  • Macを使っていても、AWSにサーバーを建てれば「クラウド上のWindowsパソコン」を用意できます。
  • Macからは リモートデスクトップ (RDP) でそのWindowsにログインできます。

AWS関連の用語と意味

用語 意味 なぜ必要か
AWS Amazonが提供するクラウドサービス サーバーやネットワークを借りる基盤
VPC (Virtual Private Cloud) 自分専用のネットワーク空間 家でいう「土地」に相当
CIDR IPアドレス範囲の表記(例: 10.0.0.0/16) ネットワークの広さを決める
サブネット VPCをさらに区切った区画 一軒分の敷地
パブリックサブネット インターネットに直結するサブネット 外部から接続するために必要
EC2 (Elastic Compute Cloud) AWSの仮想サーバー 家の中の「パソコン」
Windows Server 2022 日本語版 サーバー向けWindows OS 今回使うOS
m4.xlarge EC2のインスタンスタイプ(4vCPU/16GB) 実用的に使える構成
タグ (Tag) リソースに貼るラベル 管理・識別に便利(例: example_
業務終了時に停止 EC2は時間課金 夜は停止してコスト削減

ステップ1: VPCを作成(ネットワークの土地)

サーバーを建てる前に、まず「土地」にあたるネットワーク空間を用意します。
AWSではこれを VPC (Virtual Private Cloud) と呼びます。EC2(仮想サーバー)は必ずVPCに所属するため、最初にこの作業をしないと何も始まりません。

VPCを自分で作ることで「どの範囲に何があるか」を把握でき、学習でも運用でも管理しやすくなります。


操作手順

  1. AWSマネジメントコンソールで「VPC」を検索し、サービスを開く

  2. 左メニューで「VPC」→「VPCを作成」

  3. 入力内容を設定する:

    • 名前タグexample_vpc
      (個人名ではなく example_ を付けると識別しやすく、匿名性も保てます)
    • IPv4 CIDR ブロック10.0.0.0/16
      (約65,000個のIPアドレスを使える広い範囲)
  4. 「VPCを作成」をクリック

👉 これで「自分専用のネットワークの土地」が完成です。

image.png


なぜこの作業が必要なのか

  • EC2を置くための場所が必要
    → VPCがないとサーバーを起動できません。

  • デフォルトVPCを使わない理由
    → 自作した方がネットワーク構造を理解でき、後々の本番環境でも応用可能。

  • CIDRを/16にする理由
    → 後から広げることはできないため、最初は余裕を持たせておく。
    /16にしておけば 10.0.1.0/2410.0.2.0/24… と細かく区切れる。


ここでできたもの

  • VPC本体(10.0.0.0/16 のネットワーク空間)
  • 初期ルートテーブルやネットワークACL(ただしまだ外部と通信できない閉じた空間)

👉 このあと「サブネット」を作って、サーバーを置く場所を決めます。


ステップ2: サブネットを作成(サーバーを置く区画)

VPCは広い土地ですが、そのままではサーバーをどこに置くか決まっていません。
そこで「区画」を切ってサーバーを配置します。これが サブネット です。

さらに今回はMacから接続するためにインターネット接続が必要なので、パブリックサブネット を作ります。


操作手順

  1. 左メニュー「サブネット」→「サブネットを作成」

  2. 入力内容を設定する:

    • VPCexample_vpc(ステップ1で作成したVPC)
    • 名前タグexample_public_subnet
    • アベイラビリティゾーン:例 ap-northeast-1a(どれでもOK、統一すると管理が楽)
    • IPv4 CIDR ブロック10.0.1.0/16(256個のアドレスを割り当てられるサイズ)
  3. 「サブネットを作成」をクリック

👉 これでVPCの中に「サーバーを置ける区画」が完成しました。

image.png


なぜこの作業が必要なのか

  • EC2は必ずサブネットに配置される
    → VPCだけではサーバーを起動できません。

  • パブリックサブネットにする理由
    → 今回はMacからRDPで接続するため、外部と通信できる区画が必要。

  • CIDRを/24にする理由
    /24 は256アドレス → サーバー254台まで置ける。
    /16から切り分ければ整理された「住所体系」を作れる。


ここでできたもの

  • example_vpc 内に example_public_subnet が完成
  • まだインターネットへの出入口(IGW)がないため、外とはつながっていない

👉 次は「インターネットゲートウェイ」を作って、外への門を開けます。


ステップ3: インターネットゲートウェイ (IGW) を作成(外との門)

サブネットまで用意できましたが、まだ閉じた空間です。
Macから接続するには「外との出入口」が必要です。これが インターネットゲートウェイ (IGW) です。

IGWをVPCに取り付け、さらにルートテーブルで「インターネットに出る道」を設定することで、サーバーは外部と通信できるようになります。


操作手順

  1. 左メニュー「インターネットゲートウェイ」→「インターネットゲートウェイを作成」

    • 名前タグexample_igw
    • 「作成」をクリック

image.png

  1. 作成したIGWを選択 → 「アタッチ」 → example_vpc を選択

    image.png

👉 これで「門」が土地に取り付きました。

  1. ルートテーブルを設定:

    • まずルートテーブルを作成します。
      image.png

    • ルートを編集」→「ルートを追加」
      image.png

    • 送信先0.0.0.0/0

    • ターゲットexample_igw を選択

    • 保存
      image.png

👉 これで「外に出る道」が開通しました。


なぜこの作業が必要なのか

  • IGWがないと:サーバーは外と通信できない → Macから接続不可、Windows Updateも失敗
  • ルート設定がないと:門はあるけど道がない状態 → 通信できない

ここでできたもの

  • example_vpc に外部への出入口(IGW)が追加
  • example_public_subnet からインターネットに出られるルートが完成

👉 これで、サーバーを建ててもインターネットにアクセスできる環境が整いました。次はいよいよ EC2インスタンス(Windowsサーバー)を起動 します。


ステップ4: EC2インスタンスを起動(Windowsサーバーを建てる)

ここまでで「土地(VPC)」「区画(サブネット)」「門(IGW+ルート)」ができました。
次はいよいよ、その上に 家=サーバー(EC2インスタンス) を建てます。

EC2(Elastic Compute Cloud)はAWSの仮想サーバーサービスです。
今回はここに Windows Server 2022 日本語版 をインストールして、Macからリモートデスクトップ接続できる環境を用意します。


操作手順

  1. AWSコンソールで 「EC2」 を検索 → サービスを開く

  2. 左メニュー「インスタンス」→「インスタンスを起動」

  3. 入力内容を設定する:

  • 名前タグexample_win2022
    → 管理しやすいように example_ を先頭につける
    image.png

  • AMI(Amazon Machine Image)
    → 検索欄に「Windows Server 2022 Japanese」と入力
    → 検証済みプロバイダーから以下を選択:
    Windows_Server-2022-Japanese-Full-Base-2025.08.13
    👉 日本語で操作できるWindows Server 2022がインストールされます

image.png

  • インスタンスタイプm4.xlarge
    → vCPU 4コア、メモリ16GBの構成。学習や検証で快適に使えるサイズ。
    → もし料金を抑えたいなら t3.large (2vCPU / 8GB) でもOK

  • キーペア
    → 「新しいキーペアを作成」を選び、.pem ファイルをMacに保存
    → 後で管理者パスワードを復号するために必須。紛失するとログインできません

image.png

  • ネットワーク設定

    • VPC:example_vpc
    • サブネット:example_public_subnet
    • 自動割り当てパブリックIP:有効(外部から接続するために必要)
  • セキュリティグループ

    • RDP (TCP 3389) → 自分のグローバルIPのみ許可
      👉 全世界から開けるとすぐに攻撃対象になるので必ず制限する
  • ストレージ:100GB
    → Windows Serverの初期値(30GB)ではすぐ足りなくなるため拡張推奨

4 「起動」をクリック

👉 これでクラウド上に「日本語版Windowsサーバー」が完成しました!
image.png


なぜこの作業が必要なのか

  • AMIの指定:OSを選ぶ作業。英語版ではなく日本語版を選ぶと初心者にも扱いやすい
  • インスタンスタイプ:性能とコストのバランスを取るため。小さすぎると遅く、大きすぎると高額
  • キーペア:AWSが暗号化している初期パスワードを復号するために必須。紛失したら再接続不可
  • パブリックIPの有効化:外部から接続するには必須設定
  • セキュリティグループ:RDPは攻撃されやすい。必ず自分のIPに制限する
  • ストレージ拡張:Windows Updateやアプリ導入で容量不足にならないため

やらないとどうなるか

  • AMIを誤る → 英語版になり操作が難しい
  • キーペアを失くす → サーバーに二度とログインできない
  • パブリックIPを無効 → サーバーは起動するが外部から接続不可
  • RDPを全世界開放 → 数分で攻撃ログが流れる危険性あり
  • ストレージ不足 → 数週間でOSアップデートすらできなくなる

ここでできたもの

  • example_vpc 内の example_public_subnetWindows Server 2022 日本語版のEC2インスタンスが起動
  • パブリックIPが割り当てられ、外部からアクセス可能な状態になった

👉 次はMacから リモートデスクトップで接続 して操作します。


ステップ4.5: VPCでDNSを有効化(パブリックDNS名を使えるようにする)

EC2には「パブリックIP」だけでなく「パブリックDNS名(例: ec2-54-xxx-xxx.ap-northeast-1.compute.amazonaws.com)」が割り当てられます。
これを使うと、インスタンスを再起動してIPが変わっても同じ名前でアクセスできます。

ただし、そのためにはVPCの DNS解決DNSホスト名 を有効化する必要があります。

image.png


操作手順

  1. AWSコンソール → VPC を開く

  2. example_vpc を選択

  3. 右上「アクション」→「VPCの設定を編集」

  4. 以下を有効化する:

    • DNS解決を有効化
    • DNSホスト名を有効化
  5. 「保存」をクリック

👉 これでEC2インスタンスにパブリックDNS名が割り当てられます。


なぜこの作業が必要なのか

  • パブリックIPだけで接続すると、再起動でIPが変わり毎回調べ直す必要がある
  • DNS名を使えば常に同じ名前で接続可能
  • Elastic IPを後から設定する場合も、このDNS設定は有効化しておくのがベストプラクティス

ステップ5: Macから接続(RDP: リモートデスクトップ)

ここまで準備できたら、いよいよMacからクラウド上のWindowsサーバーへ接続します。
AWSではRDP(リモートデスクトッププロトコル)を使ってWindowsにログインできます。


操作手順

1. Microsoft Remote Desktopをインストール

  • Macの App Store を開き、「Microsoft Remote Desktop」を検索してインストール

image.png

2. Administratorパスワードを取得

  1. AWSコンソール → EC2 → 対象インスタンスを選択
  2. 上部「接続」ボタン → 「RDPクライアント」タブを開く
  3. 「パスワードの取得」をクリック
  4. .pem ファイルを指定して「パスワードを復号」
  5. Administratorの初期パスワード が表示されるのでコピー

image.png

3. Remote Desktopで接続設定

  1. Macで Microsoft Remote Desktop を起動

  2. 「+」をクリックし「Add PC」を選択
    image.png

  3. 入力内容:

    • PC名:EC2のパブリックDNS名(例: ec2-54-xxx-xxx.ap-northeast-1.compute.amazonaws.com)を入力し「Add」をクリック
      image.png
    • その後以下を入力
      • ユーザー名Administrator
      • パスワード:復号したもの

4. 接続開始

  • 接続をクリック
  • 証明書の警告が出る場合は「続行」を選択
  • Mac上にWindowsのデスクトップが表示され、操作可能に!
    image.png

補足(おすすめ設定)

  • Elastic IPを割り当てると、IPが変わらず安定して接続できる
  • 接続後すぐに Administratorパスワードを変更 → セキュリティ強化
  • Windows Update を実行して最新状態にしておく
  • サーバーの時刻を 日本時間(JST) に設定すると運用が楽

ここでできたこと

  • Macからクラウド上のWindows Serverにログインできるようになった
  • これで「クラウド上のWindowsパソコン」を自分のMacから操作できる

注意点

ここまでの手順で、MacからAWS上のWindows Serverに接続できるようになりました。
しかし、実際に使う際にはいくつかの注意点があります。これを理解していないと、思わぬ料金が発生したり、セキュリティリスクにつながるので要注意です。


1. コスト管理

AWSのEC2は 利用時間に応じて課金 されます。
起動したままにしておくと、使っていなくても料金が発生してしまいます。

👉 必ず「使い終わったらインスタンスを停止」しましょう。
(削除ではなく「停止」なら再度起動して同じ環境が使えます)


2. セキュリティ

  • RDP (3389) を 全世界に公開するのは厳禁
    必ず「自分のグローバルIPアドレスのみに制限」してください。

  • 接続後はすぐに Administratorのパスワードを強力なものに変更 しましょう。
    AWSの初期パスワードはランダムですが、それでも変更しておいた方が安心です。

  • 定期的に Windows Update を実行して脆弱性を塞ぐことも重要です。


3. ストレージ容量

Windows Serverはアップデートやアプリケーションのインストールでどんどん容量を消費します。
30GBではすぐに枯渇するため、最初から 100GB以上 にしておくのが安心です。


4. ネットワーク安定性

  • Elastic IP を使わない場合、インスタンスを停止・起動するたびにパブリックIPが変わります。
    そのたびに接続先を調べ直すのは不便なので、必要に応じてElastic IPを割り当てると良いです。

おわりに

この記事では、

  • VPCを作成(ネットワークの土地を用意)
  • サブネットを作成(サーバーの区画を切る)
  • インターネットゲートウェイを設定(外との門を作る)
  • EC2インスタンスを起動(Windowsサーバーを建てる)
  • Macからリモートデスクトップで接続(実際に操作する)

という流れで、AWS上にWindows Server 2022を立ててMacから利用する方法 を解説しました。

クラウドを使うと、自宅にハイスペックなPCがなくても「必要なときだけ高性能なWindows環境を用意」できます。
学習・開発・検証など幅広いシーンで活用できるでしょう。

最初は少し複雑に感じるかもしれませんが、
一度体験してみると「クラウドにサーバーを建てる」という感覚がつかめるはずです。

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